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学生ホルン吹きさんより、質問を頂きました。
【質問者】
吹奏楽歴10年目、ホルン7年目の学生です。中学3年間トランペットをしておりました。
先生の記事やレッスンされている動画を見て試行錯誤しましたが、どうしても上手くいかないため、質問させていただきます。
私の悩みは音に厚みがなく、Fを伸ばすと震えたような音になり、さらに音域が上がるとppほどの音の小ささになり、息が口内にせき止めたような状態になって苦しいことです。
単発で最高音はB♭までしか出たことがないです。7年ホルンをしていて音が年々小さくなっていっているようで、また音域が狭くなっているように思います。
先生の記事は
【金管楽器の3つのアンブシュアタイプ】
【中学生との、高音開発レッスン】
【ホルン 跳躍と高音をもっとラクに吹くために】
【座り方と姿勢を工夫して、高音域がパッと改善】
【吸うときにお腹に力を入れるのは、惜しいけど正反対】
【息の支えって何だろう】
【呼吸の誤解を大掃除】
【息のパワーの作り方】
【ハイFを余裕越え】
等を拝読、拝見させていただきました。
アンブシュアタイプは鏡で中高位置タイプだと楽器を付けて分かり、音が上がるときにマウスピースを右上に動かし、下がるときに左下に動かすようにすると、これまですぐに唇が疲れていたことがあまり疲れなくなりました。
その後、先生の記事を読み、主に以下のことを実践してみました。
・座奏時は右足を大きく広げ、立奏時は左足を前に出す。
・音が上がるときに体を前に倒し、マウスピースと体を近づけるようにする。
・お腹を意識的にへこませるようにする。
座奏時に足を広げると、足が邪魔に感じなくなり、吹きやすさを感じました。
体を前に倒すことはあまり変化が感じられませんでした。
息を吸った後に勢いよく吐き出そうとすると口内でせきどめされたような感覚になり、90%上唇で吹いた状態になって強くマウスピースを押し付けると息がプーッと漏れてしまいました。
問題は姿勢や息の使い方の問題か、アンブシュアの最適な位置を理解できていないのか、と私自身考えております。
また、先生や上手に演奏されるホルン奏者の方を見ていると、息を吸って吐くときにそのエネルギーが十分に楽器に行きわたっているようなのですが、私は一部分しか使えていないように感じています。
乱文申し訳ありません。今年でもう楽器触れ合える機会が最後かもしれず、思い通りに一度は吹けるようになりたいという強い思いがあります。
何かご助言いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
【バジル】
まずアンブシュアタイプですが、見た目の位置ではなく動きで判断するので、
音が上がる時に右上、下がる時に左下なら「超高位置タイプ」です。
文面からは、実際に何が起きているかは想像するしかなく、
できれば実際の演奏を見てアドバイスしたいので本当ならぜひレッスンに来て頂きたいところです。
文面から推測できることから言えば、
①息のせき止めは正しい
金管楽器は吸った息をそのまま吐いて音にしているのではなく、体内にとどめて圧力を作っています。
ですから、せき止められるということはおそらく正しいことですので、「せき止め分の時間を計算に入れて」吹くといいますか、あえてせき止めよう・溜めようとして吹くとどうなるでしょうか。
補足的に、こちらも読んでみてください:
【アンブシュアの「支え」エクササイズ】https://basilkritzer.jp/archives/9865.html
②音量のこと
音が上がるにつれて音が小さくなるのも、基本的には正しいことです。息と唇のバランスが同じのまま音をあげるとそうなります。
ですので必要なのはおそらく、高い音に限らずですが、音量(=吐く息の量)とアンブシュアのバランスを調節する技術です。
下記の記事がそれにあたります。
唇と息の助け合い〜ダブルパラメーター・エクササイズ〜https://basilkritzer.jp/archives/1468.html
楽器演奏は、ほとんどのひと(私も)にとって、7年くらいではなかなか「自由」にはなりません。
おそらく想像しておられるレベルはプロのレベルや20年30年とやっているひとたちのレベルの「自由」さになっているのではないかと思います。
…そういう状態には、焦っても早く到達できるわけではありませんから、「もう続けないかもしれないから」という理由で焦ってそれを体験しようとするよりは、「どうしたら続けていけるかな」ということと、「いまの自分らしく、これまでやってきて成長した範囲内で」やれる演奏をやろうとする方が有意義です。
Basil Kritzer