風に唄えば〜ホルンの練習法〜

【「考える」ホルン教本、発売!】

この度、わたくしバジル・クリッツァーが翻訳と監修を手がけたホルン教本

『風に唄えば ホルンの練習法』きゃたりうむ出版(原題:Singing on the Wind/Aspects of Horn Playing)

が発売されました。

著者はスイスのトーンハレ管弦楽団ホルン奏者ナイジェル・ダウニング氏で、チューリッヒ芸術大学で講師も務めています。
この本はホルン教本のなかでは珍しい、「ホルン演奏を上達していくのに必要な考え方・理解の仕方の原則」にアプローチしたものです。

その点、

「ホルンがもっとうまくなる/ウォーミンアップと練習を考える」フロイディス・リー・ヴェクレ著/大野総一郎訳/音楽之友社
「自分の音で奏でよう!ベルリン・フィルのホルン奏者が語る異端のアンチ・メソッド演奏論」ファーガス・マクウィリアム著/中島大之監修/ヤマハミュージックメディア

に連なる系譜の本だと思います

この本に掲載されている譜例はごくシンプルなものばかりで、文字(そして楽しい挿絵!)が大部分です。なぜか?

著者は、「こういうものを吹けばうまくなる」というような、《吹く》と《できるようになる・上達する》の間の因果関係が説明されず放置されるような教え方・考え方を持たないからです。

・ホルン演奏の正しい基礎とは何か?
・それはどのような考え方と取り組み方で身につけることができるか?
・基礎から次の段階へとどのように発展するのか?
・奏者ひとりひとりの個性の重要性とその開発の術は何か?

といったような問題意識からこの本は書かれているからです。

ただ何も考えずにこれさえやっておけばいい、あれさえ吹いておけばいい…..そんな考え方や教え方はもうとっくに古いですよね。それで上手になれるひとなんて、極々限られた幸運と才能に恵まれたひとたちだけです。

中学生ですら、もっと知りたい・考えたい・理解したいと思って楽器に向き合っています。なのに、なかなかそこに踏み込もうとするメソッドや教本はありません。その数少ない一つが、ダウニング氏の書いたこの本なのです。

この本では、呼吸についての説明が多くなされています。

次にアンブシュアやタンギング、スラーなどの重要な基礎的技術的項目が明快な筆致で解説されます。

そして繰り返しになりますが、「そもそもどういう考え方の原則でそういったことに取り組むのか」ということが一番最初にしっかりと説明されます。

また、原著にはない邦訳版の特典として、

◎ナイジェル・ダウニング氏へのインタビュー

◎ダウニング氏に師事した大阪フィルホルン奏者・高橋将純さんのエッセイ

◎ダウニング氏に師事し、翻訳者のバジル・クリッツァーのホルンおよびアレクサンダーテクニークの師である元・チューリッヒ交響楽団ホルン奏者のウルフ・トゥーレ氏へのインタビュー

が掲載されています。

これらのインタビューの共通の大きなテーマ・見所は『師弟関係』であり、「教え方・学び方」にあります。これまで存在した種々の教則本・メソッドではほとんど触れられてこなかった点です。

でも、音大生の半分以上は疑問に思ったり苦しんだりしているようなことであり、広くプロアマ関係なく楽器を真剣に演奏しているひとは大っぴらに
は言えずとも内側に秘めてきた大きな関心事でしょう。

ぜひ、手にとってお読み下さい。販売は、アマゾンオンデマンドプリント方式です。

購入はこちら:
『風に唄えば ホルンの練習法』きゃたりうむ出版(原題:Singing on the Wind/Aspects of Horn Playing)