顎を張れなくて悩んでいるひとへ

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きょうは、楽器演奏を学ぶ中で先生や教則本から

・顎を張りなさい、と教わったがそれがうまくいかなくて悩んでいるひと
・顎を張りなさい、と教えているがそれがうまく伝わらなくて困っている先生方



のために、この「顎を張る」ということについて、「それがうまくいかなくて困っているひとの視点」から考えていきます。



【アンブシュア恐怖症】

何を隠そう、わたしは長らく「アンブシュア恐怖症」でした。


初めてプロのホルン奏者の先生にレッスンを受けたときから、それは始まりました。


あるフレーズでうまくいかないことを相談すると

「それはアンブシュアがおかしいからだ」

と言われました。

「もっと顎をちゃんと張りなさい」

とのことでした。


この「顎を張る」という考え方がその後、実に10年以上もの間わたしにとっては恐怖感とともに大きな課題でありつづけました。


ドイツに行ってからも、「アンブシュアがおかしい」「顎を張れ」といろんな人たちに言われました。

しかし、実はわたしにはその意味や重要性が全く実感できないし、理解できなかったのです。



【顎を張ると下手になった】

実感も理解もできなかったのは、言われた通りにやると、うまくできないだけでなく、普段より明らかに吹けなかったからです。


・言われた通りにやろうとすると、唇が振動しなくなる。
・言われた通りにやろうとすると、音は鳴っても薄っぺらい音になる。
・言われた通りにやろうとすると、音域が極端に狭くなってしまう。
・言われた通りにやろうとすると、顎が痛くなる。


… いったいどうしたものか。

アンブシュアがまちがっている、それではうまくいかないと言われ、代わりに提示されたやり方をやると、まちがっているはずのやり方でやっているときより明らかに結果が悪くなるのです。

しかも、痛みまでありますから、長期間頑張ってみることも非常に難しい状況でした。



【考え始めるとドン底に】

「どうして、顎を張らないといけないの?」

「顎を張っているようには見えないのに素晴らしい演奏をするプレイヤーがいる。それって一体どういうことなの?」

「正しいアンブシュアは、アンブシュアで作るものなのか?そこに息や姿勢やプレスは関係してないのか?」


いろいろな疑問や疑念が渦巻きました。混乱したし、辛かったです。


そこでわたしが最終的に選択したのは、

顎を張る事について考えるのをやめる

ことでした。


アンブシュアのことを考えるのは避けるようにしました。

考えてしまうと、

「自分のアンブシュアは間違っているから一生うまくならない」

という思考に取り憑かれてしまい、全く練習できなくなってしまうからでした。



【いつの間にか、アンブシュアが良いと言われるように…】

その後、色々なことを知り、学び、練習し、身につけていくなかで段々、わたしのアンブシュアは「顎が張られているように見える」アンブシュアになっていったようでした。

いわゆる「正しい」とか「良い」と言われることもあるアンブシュアになっていきました。

どうして、「まちがっている」と言われた状態が、それを直接変えようとはせず、むしろ考えないようにしていたら、いつの間にか「良い」と言われるようになったのかは分かりません。

しかし結果としてできることが増えていき、問題が解決されていき、アンブシュアもOK になった。

その過程で、アンブシュアについて考えることへの恐怖感は徐々に減っていきました。



【じぶんの頭の中のアンブシュアおばけ】

2013年の春、勉強のために解剖学の本を読んでいるとき、たまたま顔の筋肉についてのページを読み始めました。


すると、あることに気がつきました。

自分が思っていたような意味での「顎を張る」ということができる筋肉が、なかったのです。

自分がずっと、「できないできない」と悩んでいて、悩みのあまり強い恐怖感まだ抱えてなるべく考えないようにしていたその中身が、実は筋肉のついている場所やその働く方向などを読んでいると、そもそもできないことだったことに気がつきました。


自分が考えていた中身はこうです。

わたしが金管楽器の先生方から「顎を張りなさい」と指導を受けていたとき、先生方は人差し指の指先で下唇の真下から顎先の真ん中にかけて指差し、「下に張りなさい」とわたしに伝えていました。

わたしは、それをそのまま厳密に受け取っていました。言われたこと、見せられたことだけを、なんの解釈や例外の余地もなくそのまま理解しようと、実践しようとするわたしの傾向が悲劇のもとでした。

この傾向は、自己否定的で完璧主義的で、不安感の強い自分自身の人格からきていますから、アンブシュアに関するわたしの苦しみは根本的には自己責任です。教えてくれた先生方を責めたいとは思いません。

しかしながら、混乱を避け、もっと効果的に教える工夫はどの先生にでもできるはずだと思いますので、いまこれをお読みの金管楽器の指導者の方がおられたらぜひ続けてお読みください。



【顎のどこを、どこの力で、どっちに張るか】

話をもとに戻すと、わたしがやろうとしていた

「下唇の真下から顎先にかけての部分を、下向きに張ろうと一生懸命引っ張る」

ということは、

① 不可能に近い
② 金管楽器演奏にとって不利である

ということを、わたしは解剖学の本を読んでいるうちに気がつきました。


〜不可能に近いということについて〜

解剖学の本をいくつか調べてみると、わたしが思っていたような

「下唇の真ん中の真下から、顎先にかけて付着していて、そのエリアを下に引っ張る筋肉」

が見当たらなかったのです。


かわりにこのエリア内についているのは、「オトガイ筋」と呼ばれるものでした。

実は、この筋肉は、

「下唇を上方向に動かしたり、下唇をめくり出したりする筋肉」

でした。


つまり、わたしがやろうとしていた場所でやろうとしていた中身とは、ほぼ逆のことをやる筋肉だったのです。

そりゃあうまくいきませんよね….


しかも、このオトガイ筋の「下唇を上方向に動かしたり、下唇をめくり出したりする」という役割は、上下の唇を触れ合わせる方向に働いてもいますから、アンブシュア形成(ここでは、上下の唇が触れ合って振動できるような距離感にすること)においてはプラスに働いているのではないかと考えられます。

そうすると、わたしのやろうとしていたことは、アンブシュア形成を手伝おうとする筋肉の動きの邪魔ばかりだったのです。

そりゃあうまくいきませんよね….


〜金管楽器演奏にとって不利であるということについて〜

ここまでの話で、わたしの考えていたことがアンブシュア形成(上下の唇が触れ合って振動できるような距離感にすること)と抗うようなことだったことはすでに触れました。

これが、わたしにとっての「顎を張る」という考え方をわたしが実行すると、音がスカスカになってしまったり、音域が狭まってしまったりしていた原因でもあったと思います。

というのも、音を鳴らすこと、とくに高音域では不可欠と思われるな「上下の唇の閉じ合わせ or 近づけ」をわざわざ自力で妨害してしまっていたのですから。

わたしの思い描いていた「顎張り」は、結果的に下唇を上唇から引き離すばかりだったのですね。

アパチュアが開いてしまって大変になるのが、想像に難くないと思います。



【顎張り状態をもっと簡単に実現する方法】

アンブシュアの機能や見た目は、身体のいろんな動きや、空気の状態、マウスピースや楽器の状況と関わっているでしょうから、顎がうまく張れなくて悩んでいるのは、わたしのようなある種の勘違いによるもの以外にも様々な原因がある可能性があります。

ですから、この記事だけで全てのひとのこの悩みを解決するわけにはいかないでしょう。

しかしながら、わたしと同じような、あるいは似たような軌跡を辿り似たような悩みを持っているひとには助けになる可能性があるので、いくつか試してみるとよいアイデアを記します。


A:綿棒ハミハミ・エクササイズ

まずは、「張ろうとする」という意識を持たなくても、張られた状態を体験・理解できるかもしれない単純なエクササイズです。


1:軽い綿棒を用意します。
 
2:綿棒の先を、上下の唇の厚みのある赤い部分で挟みます。歯や歯茎には触れません。

3:その綿棒を手に持ったまま、何度か上下の唇で綿棒の先を挟むような感じでちょんちょんと触れ直します。

4:そうすると、上下の唇の、いわゆる「寄せる・集める」と形容さ  れる動きの感覚を知ることができます。

5:この「寄せる・集める」感覚をなるべく保ちながら、綿棒から手を離します。綿棒は上下の唇で挟んである状態になります。歯や歯茎には触れません。

6:うまくいけば、この時点で唇の赤く見える部分の周りが全体的に力が入り張ります

7:それが起きないままでも綿棒を挟んでいられるひとは、唇を少し動かして綿棒を動かしてみてください。綿棒が落ちないように。落ちないように動かしていると、唇の赤く見える部分の周りが全体的に力が入り、「張り」が生まれるかもしれません。


ここまでで、唇の「寄せる・集める」感覚と、唇やその周りを「張る」感覚が得られたひとは、楽器を吹きながらその感覚を作ってみてください。

演奏してみると、どんな結果や感じになるでしょう?
(ぜひ教えてください)。


B:唇中心付近の真下から顎先にかけて「上へ&前へ」とイメージする

上記のエクササイズで効果があってハッピーなひとは、それで十分です。

効果がなかったひとや、さらに興味が尽きないひとはつぎはこれを試してみてください。


わたしと同じ悩みを持っているひとは、唇の中心付近の真下のエリアは、下方向へ張ろうとするかわりに、 上方向&前方向へ張ろうとしてみてください。

イメージ的には、下唇を上唇に向かわせる、またはマウスピースへ向かわせる

ようなつもりで。


C:張る場所を変える

AとBでもうまくいかなひと。
AかBかでうまくいったけれどさらに興味が尽きないひと。

つぎはこれを試してみてください。


幸いなことに、「下方向に張る」筋肉は、唇の真ん中の真下から顎先にかけてのエリア以外には、ちゃんとあります。ここに着目してみるのもひとつの方法です。

その筋肉とは、

・口唇下制筋
・口角下制筋

と呼ばれるもので、名前からも分かる通り、口の角や下唇を下に引っ張る筋肉です。真ん中〜顎先エリアよりは横・外側に付いています。

そして、上唇側にもやはり上や横に引っ張る色々な筋肉があります。

・口唇下制筋
・口角下制筋
・上唇を上や横に引っ張る筋肉

たちが互いに働く事で拮抗し、細かく、あるいは時にはダイナミックに動くアンブシュア全体に、状況に応じて必要な制御や安定を確保しているのだと考えられます。

そこで、

「真ん中〜顎先以外の周り全体を張ろう

としてみてください。ひとによってはこうすることで、悪い副作用なく「顎を張る」ことができるかもしれません。


以上、A、B、Cがいまのわたしに提案できる、「顎張りに悩むひとがやってみるとよいエクササイズ」です。

全てが役立つひともいれば、なんらかの理由でどれかは役立ちどれかは逆効果になるひともいるでしょう。あるいはどれもピンとこない可能性もあります。

ひとまずやってみてください。

それでどんな手ごたえや成果、あるいは疑問や不都合が生まれるかをぜひ教えてください。



【音にもっと近いところにある筋肉】

最後に、金管楽器の演奏において音を変えるための唇の操作をいちばん直接的に担当していると思われる筋肉についても見ておこうと思います。

ひとによっては、「顎を張る」ということを一切考えずに、いまからお話する内容に着目した方が好ましい結果が得られるかもしれないからです。


口輪筋は上下両方の唇を取り囲むような見た目になっている筋肉です。唇の赤い部分とその近くの肌の部分に及んでいます。

で、この筋肉は「上下の唇の距離の微調整」と「アパチュアの形の微調整」に便利な筋肉だとわたしはいまのところ考えています。

というのも、上下の唇そのもの筋肉であり、アパチュアそのものの筋肉筋肉だからです。アパチュアの「すぐ隣」にあるのです。


また、この筋肉は多層から成り、

表層:唇を閉じ合わせ、前方向に押し出す
深層:唇を歯に対して押し付ける

ということをやってくれているとのことです。

口輪筋

金管楽器の演奏の言葉で言えば

表層は

1:上下の唇を互いに近づける
2:唇をマウスピースの方にへ向かわせる

ということになります。

深層は、口輪筋自体を歯に密着させて安定させる=いろんな力がかかっても表層の微調整を可能にしてくれる、そんな機能を持っているのではないかと推測します。


この口輪筋に着目すると、よい結果が得られるひともいるでしょう。その可能性に着目して次のエクササイズを提案します。


つまようじギリギリタッチ・エクササイズ

1:つまようじの尖っていない方を口の方に向けて持ちます。

2:口や顎の力はちょっと抜いておいて、上下の唇がすこーしだけでもいいので離れている状態にします。

3:つまようじを慎重にゆっくり唇へ近付けます。

4:つまようじが唇にわずかに触れたら、それ以上奥には入れずに、何度かわずかに触れて、離して、触れて、を繰り返します。

5:これでかなり、唇の微細な感覚を感じやすくなります。

6:つまようじがわずかに唇に触れたら、両唇をわずかに動かしてつまようじを両唇でほんのすこしだけ挟みます。

7:わずかに挟んで、ゆるめて、挟んで、ゆるめてを繰り返します。

8:これを唇の周囲にあまり力が入らないよう注意しながら、スピードアップして10回ほど繰り返します。速く挟み、ゆるめ、挟み、ゆるめ…というふうに。これで口輪筋の動きの感触が得られます。

9:その感触が残っているうちに、楽器を吹いてみます。どんな手ごたえや成果、あるいは疑問や不都合が生まれまずか?ぜひ教えてください。



【顎を張れない自分や生徒さんの名誉回復を!】

顎を張れない悩みや、顎を張ろうとして陥った不調は、そんなあなたや生徒さんが悪いのではありません。

むしろ、ある意味では「教わった通り」してしまっている結果とも言えます。

問題は、

・下向きに張れないところ
・下向きに張ると損するところ

を「下方向に張ろう」と無理強いしていたことにあるのです。


この記事で、悪循環を脱するきっかけが得られるひとがいたら、とても嬉しいです。

ぜひ書いてあることをご自分なりに取り入れ、試してみてくださいね。
やってみた結果や質問など、どしどしお待ちしております。


Basil Kritzer





30 thoughts on “顎を張れなくて悩んでいるひとへ

  1.  こんにちは。顎を張る件、目の前がぱっと開ける感じでした。
     私もアンブッシュアには悩まされていました。張ろうとすると顎が胸の方に向かって下がり、下唇が上唇の下に巻き込まれ、マウスピースをあてても全く安定しませんでした。低音の練習をしていたときに、顎は前に出す感じでと指導本に書いてあるのを思い出し、色々やっているうちに、低音に限らず、顎を前に出すと安定するような感じがするようになりました。バジルさんのおっしゃる、唇(特に下唇)を前に出すようにして顎先は上にしてみると、顎を前に出した感じと似ているような感じがします。大げさに言えば志村ケンの『アイーン』とか、伊東四朗の『ニン』と言った時の顎の感じでしょうか。すみません。ふざけているようですがいたってまじめです。

  2. 非常に具体的かつ実践的で、自分の問題点を解決する素晴らしいヒントを得ることが出来ました。私はトロンボーンを演奏しているのですが、全く同じ悩みを抱えるに至って、二年ほど前から、ほとんど演奏活動が出来ておりませんでした。それまでは、オーケストラ、吹奏楽、ブラスアンサンブル、ビッグバンドと自由に幅広く、しかも楽しく演奏活動が出来ていたのですが、この、アンブシュア恐怖症から来る、心的プレッシャーにも悩まされ、ついには普通のチューニングの音さえ出せなくなっております。
    今回の、このテーマに基づく具体的かつ理論的なメッセージには、目から鱗です。早速今日から、またあの楽しかった演奏活動が戻って来る事を願いつつ、新しいアプローチを行ってみたいと思います。ありがとうございました。

    • 渡邊さま

      記事が役立った事、非常に嬉しく思います。渡邊さまの音楽活動がまた始まる事を、願っております。

  3. Pingback: 「顎を前に出す」ってどういうこと? | バジル・クリッツァーのブログ

  4. 記事を見た瞬間「oh」と声が出てしまいました。なにしろこの記事で書かれているように良いものを悪いものへと一生懸命変えようとしていたので…この記事を見て安心しました!

  5. こんにちは!初めまして!

    先ほどこの記事を読み、木管の場合はどうなんだろうか?
    と、気になってしょうがない状態になり、コメントをさせて頂きます m(_ _)m

    バジル先生のブログ、アレクサンダーテクニークの事を最近に知ったばかりで、色々と読ませて頂いております。

    アマチュアでアルトサックスを吹いてる40代の私ですが、やっぱり吹き方が間違っているんだな…と、気付いているところです f^_^;

    今だけ定演に向けてアルトではなく、初めてバリサクを担当する事になったのですが、吹き慣れない楽器でブログなどに書かれていた事を思い出しながら勉強中です♪♪

    前置きが長くなってすみません m(_ _;)m
    金管と木管とはもちろんマウスピースは違いますが、木管は顎先を前に突き出す感じで吹いてますが正しいのでしょうか?

    実は、かなり何年も前から演奏中に顎が痛くなる事があり、おそらく顎関節症になってると思います。

    顎先が梅干しのようにシワシワにさせながら吹いてます。
    そういう状態はダメだと知っていますが、でもそうしないと音が出ません。
    なので、梅干しになるのはもう良いと決めて演奏しています。
    ただ、イメージは唇をすぼめた感じが良いのか、口角を少し引っ張る感じが良いのか、未だに分からない状態で吹いております。

    木管も、唇は前へ…
    と、イメージした方が良いのか…

    今まで長年にわたり(中学時代からアルト)限りなく100% に近い状態(姿勢や吹き方)で演奏してきたのかと思うと…
    なんか悔しいやら、この歳になって気付いた事に嬉しいやら。。。

    複雑な心境です♪♪笑

    まだまだ頭ん中が整理がつかない状態ですが、何かアドバイスを頂ければ幸いです m(_ _)m♪

    • ひろみさま

      はじめまして。コメント&質問をありがとうございます。


      【梅干し状態について】

      ホルンでも梅干しはだめ、という言い方はありますが、
      実際にはプロのプレイヤーでも梅干しになっているひとはたくさんいます。

      しかも当代きってのソリストはまさに梅干し。
      https://www.youtube.com/watch?v=QWI8xrbbOQk



      サックスの場合は、わたしが見てきたかぎりでは梅干しを

      ・梅干し状態を一切使わないひと(張りっぱなし)
      ・梅干し状態と、張っている状態を行き来するひと

      がいるように思えました。

      上手なひとは、

      ・張る
      ・梅干しにする
      ・おちょぼ口にする

      やこれらの間のようなものもいろいろと音色、音程のコンテクストに応じて使い分けていらっしゃるのを見たこともあります。

      サックス奏者の方のブログでこういう記事もあります。
      http://ameblo.jp/aikohime3/entry-11962221322.html



      【顎の痛み】

      顎を前にと意識しているひとは、確かに顎の痛みを感じる結果になっていることがあるように思います。

      わたしのレッスンの経験上では、この記事で書いている「下唇を上&前方向へ」という意識を使うと、顎はそれについてくる感じで、自分でグイっと動かそうとしなくても動いてくれる可能性がけっこう高いように思えます。

  6. これは非常にためになる。私のトランペットの先生もアゴを張るときは「下から上に下唇が上唇を追い越す感覚で」といいますが、
    1:上下の唇を互いに近づける
    2:近づけるのは前(マウスピース)方向で
    3:顎先は上方向でOK!
    と一致しますね。筋力の成り立ちから解説していただくと、よりイメージが明確になります。

  7. バジルさん

    この記事拝見させていただきました。
    私は高校から楽器を始め、レッスンについたときアンブシュアを直されました。その時言われたのはアントニオ猪木さんみたいに、顎を出しなさい。でした。その当時の私からしたら楽器を始めて間もない訳で、なにもかも新鮮に吸収しました。まるで使い始めのスポンジのように。
    すると大学に入って違う先生に顎を張れと何百回か言われ、意識してきましたが全く安定して張れずにいました。そうしていたら今度は違う先生から「Kはアインゼッツェンなんだね、アインゼッツェンはいんだけど、顎は張れた方がいいね。」と。
    その後、私は顎を張れないのはアインゼッツェンのせいだ。アインゼッツェンの馬鹿野郎!なんて思ってやっていました。アインゼッツェンを直したくて、留学も考えましたが、正直アンブシュアを治すのはもう遅いかもしれないし、どの先生がいいのかもわからないから、開き直ってアインゼッツェンだから張れないのは仕方ない。とホルンを吹いてました。しかし、最近違う先生に習い始めると、またもや「アインゼッツェンなんだね、ウィーンフィルは昔アインゼッツェンが多く、だけど顎は張っていた、あなたも顎は張るように鏡見ながら練習しましょう」と。
    もう私からすれば嫌になる!!張ってもそれが持続されないんだよ!あの馬鹿野郎!と何回人差し指で顎をたたいてきたのか。だけど、こんなにも多くの先生がホルンを吹くうえで、顎を張れというなら張るしかないと、最近感じ始め、今も鏡見ながら練習しています。だけど、張れた時の音は音が伸びる?感じ。張れていないときは、普通の伸ばしの音。どう考えも顎を張らないとダメなんかなあ。とやっています。
    こんな状態でこのきじを拝見したら、もうあたまパニック状態で、コメントしてしまいました。すみません。

    • Kさん

      それはそれは大変な思いをしてこられたのですね。

      顎を張れ、とは言わない先生も、それをやっていないように見える素晴らしい奏者も(たとえばバボラクさんとか ^^)たくさんいますよ。

      だから、顎を張ることを目指すのではなく、ご自身の望む演奏に向かってまっすぐ取り組む、というのはどうでしょう?

      この本も大変参考になります。
      http://www.amazon.co.jp/金管奏法のカリスマ-アーノルドジェイコブスはかく語りき-ブルース-ネルソン/dp/4891909943


      これは顎張りメソッドとは別の考えに基づいた、別の体系です。アメリカやイギリスでは顎張れという教えは少ないです。
      顎を張れとは教えない先生を、金管楽器であればホルンの先生でもなくていいから見つけて師事するのもよいと思います。


      このサイトも大変おすすめです。
      http://www.rogerrocco.net

      アンソニー・プログというトランペットの先生も素晴らしいですよ。

  8. いつもTwitter、ブログ見ています。
    いま私は大学のオーケストラでホルンを吹いています。高校から始めて今年で5年目になります。
    最近、次の演奏会のための練習が始まりチャイコフスキーの曲の1stをつとめさせて頂くことに乗りました。
    まだ練習は始まったばかりなのですが、どうもスタミナが最後まで持たなくなってしまいます。高音をフォルテで鳴らし続けたあと、バテてしまうのかうまく吹けません。
    もう一つ課題がありまして、元々自分の音は柔らかめの音で、バリバリ吹くタイプでは無いのですが、チャイコフスキーということもあって金管楽器らしいバリッと鳴った音で吹きたいなと思っています。しかし鳴らそうとすれば鳴るのですが、中身のないような音になってしまい困っています。

    支離滅裂な文で申し訳ないのですが、これらの課題を解決するヒント、いただけたら嬉しいです。

    • かもさま

      コメントありがとうございます。

      いまのご質問内容では結果しか書いておられないので、どのような考え方に基づいてどんな吹きかたをしているかが分からないため、残念ながら何もお答えできません。

      「スタミナ」
      「バテ」
      「音色」

      などでわたしのブログを検索し、15~20個ほど関連しそうな内容を読んで、役立ちそうなことをしばらく試して、質問内容がより具体的になったらまたぜひご質問をお寄せください。

      こう考えて、
      こういうふうな吹き方でやっていて、
      そうするとこうなって、
      それをこう感じて、

      というような経過を読むことができると、わたしもアドバイスができます。

  9. Pingback: 先生の褒め言葉を素直に受け取らないのは、危険! | バジル・クリッツァーのブログ

  10. はじめまして。
    長い間、お手本アンブシュアに囚われて過ごしてきたものです。
    お手本の形を追求すればするほど演奏が不自由になり、とうとうまともに音も出せなくなってしまったところでこの記事と出会いました。
    思い切って今までの囚われをすべて捨て、口を閉じて息を吐いてみました。出せなくなってしまった音が、とてもいい音で蘇りました。顎には梅干しがあります。これまでの私にとって、梅干しは排除するべき悪でしたが、今では愛着を感じてしまうほどです。
    紹介された3つのエクササイズは、綿棒ハミハミ・エクササイズが私にはしっくりきました。寄せる、集める動きのおかげで唇の振動が効率的になり、長らく感じていなかった良い練習をした後の唇がジリジリする感覚までもが蘇ってきました。
    アンブシュアにかかわる筋肉がフリーになったことで、今まで不自由だった呼吸にも良い影響が現れてきました。

    素晴らしい記事を、本当にありがとうございました。

    • はこだてたろうさま

      このたびは素敵なコメントをありがとうございます。
      大変励みになります。

      この実体験談を、ブログやメルマガで紹介したいのですが、いかがでしょうか?

      • お返事ありがとうございます。
        ブログ等でご紹介頂けるとのこと、何も問題ございません。
        同じ悩みを抱えた方が自分のアンブシュアを取り戻すためのお役に立てれば嬉しく思います。

  11. Pingback: アンブシュアにかかわる筋肉がフリーになった | バジル・クリッツァーのブログ

  12. はじめまして
    趣味でトランペットを始めて3ヶ月の社会人です
    チューニングB♭の上のCまでしかどう頑張っても鳴らせなくていろいろ情報を集めていたらバジル先生のブログにたどりつきました。

    アンブシュア関係の記事を一通り拝見してから、綿棒ハミハミエクササイズを試したところ、いきなりFまで鳴りました。それどころか油断するとハイB♭まで音がかっ飛んで行く始末です。
    まだきれいな音でもなく、いつでも出せるわけではありませんが、練習を重ねればなんとかなりそうな手ごたえを感じました。

    音がでなかった原因は、結局アンブシュアが悪かった(アパチュアが大きかった)せいだと思います。
    体力に自信があり、たくさんの息を吐くのは得意だったので、
    息をとにかくたくさん吐いて、唇を締め上げれば大丈夫だろうと単純に考えてしまいました。
    結果、無駄に大量に息が吐き出されるせいで、唇が太い息を受け止めきれずに吹き飛ばされて、トランペットの音より大きなバズィング音を出していました。
    それでもいらない根性をフルに発揮して、唇を締め上げ、マウスピースを口に無理やり押し付けて息を吹き込むものだから、今度は唇から息が吐けず、頭の方に圧がかかり顔が真っ赤になって酸欠で倒れそうになるという始末でした。

    綿棒ハミハミエクササイズの唇の使い方で楽器を吹くと、とても細い息が吹けるので、高い圧をかけても唇が空気に吹きとばされることなく振動して、高い音が出せるようになったのだと思います。

    本やネットにはもっともらしい情報であふれていて、溺れかけてしまいましたが、このサイトにたどり着けて本当に良かったと思っています。
    他の方のコメントを拝見すると、highB♭が出るとか出ないで悩むレベルはとっくに超えているようですが、私と同じような初心者の方への参考になればと思い、コメントさせて頂きました。

    またバジル先生には、夢にでてくるくらい悩んでいた事をあっけなく解決して頂き、感謝しきれないほどの思いです。
    本当にありがとうございました。

    • takowasaさん

      わー!!
      とても励みになるコメント、ありがとうございます。

      ぜひブログ記事でこのコメントを紹介したいと思うのですが、いかがでしょうか?

      • お返事ありがとうございます。
        ブログ記事の件、何も問題ありません。
        むしろ光栄に思います。

        頑張るほどに高音が出なくなる楽器であるトランペットに、四苦八苦している方の参考にしていただければ、私も嬉しく思います。

  13. Pingback: ハイBbまで音がカッ飛んでいく!! | バジル・クリッツァーのブログ

  14. facebookから来ました。
    中学でトランペットを始めた時に「顎を下に引いて、唇を横に引く。」と教えられました。
    でも、実際にそうすると唇の中央は離れる動きになり、20年以上経った今でも音域が上がるにつれて上唇をマウスピースの外向きに動かす癖が抜けません。
    唇は合わせる方向にキープすることは頭では理解していますし、中音域より低い音域の練習ではうまく出来ています。
    しかし困ったことに、楽譜を読みながらの演奏や、合奏中に周囲に注意を向けたりすると、途端に低い音域でも無意識に唇を引き出してしまいます。
    何か、内向きの力をキープするイメージを作る良い方法は無いかと探しているときに、綿棒の記事を見つけました。

    実は唇の問題と同時に、舌の先端を口腔内で上向きに宙ぶらりんにしてしまう癖も持っています。
    「タンギングは舌を引く」と教えられて、引いた先の居場所が分からないのが原因だと思いますが。
    個人的には、舌の先端は下顎の前歯から下唇の間のどこかにあるべきだと考えています。
    仕事がら、空気の流れを扱っていますので、理詰めで導いた仮説です。
    この舌のポジションも何とかしたいと悩んでいました。

    2日前から、綿棒のエクササイズを少しアレンジして取り組んでいます。
    半分の長さに切った綿棒を、おそらく先生のおっしゃる位置よりも少し深めに唇で挟んで、口腔内に飛び出した綿棒の先端を、下の歯に先端を固定した舌で軽く触れる状態をキープしています。
    これによって、顎を下げてなおかつ唇を閉じるという相反する動きのイメージも分かりやすくなりました。
    既に実際の演奏でも、好影響が出始めています。
    先ず音色が明らかに明るくなりました。
    高音域になるほどスピードが乗り、抵抗が気にならなくなりました。
    まだGあたりで筋肉のバランスが保てなくなりますが、音域の恐怖から解放されたと感じ始めています。

    ありがとうございました。

    • かでんたさま

      こういっらコメントを頂けると、とても励みになります。
      ありがとうございます。

      これからもブログをどうぞよろしくお願い致します。

      Basil

  15. Pingback: 自分の音が気に入らないとき「口輪筋」をうまく使うことで音色が良くなる! | GONLOG

  16. Pingback: つまようじと金管楽器高音域の関係 – やまむらこういちのへっぽこあぽこ

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