「呼吸の出入りの、ちょっとした話」 その3 ピップ・イーストップ著 バジル・クリッツァー訳

☆ロンドンのホルン奏者、ピップ・イーストップ氏の論文です。
原文→http://eastop.net/?p=476

姿勢について考慮すると

 肋骨のなどの動きによる胸郭の拡大と縮小が最大限に起こることができるようにするためには、そして肋骨を引き上がる筋肉がその仕事を最大限にできるようにさせてあげるには、姿勢に関して、2点考慮に入れるとよいことがある。
 
1点目は、脊椎がそれなりにまっすぐ起立している必要があるということで、

2点目は、頭が、気持ちよく適度にリラックスした首に支えられ、脊椎の一番上でバランスがとれている必要がるということである。

この二つの条件が満たされていると、肋骨の間には十分な空間が生まれ、それを動かす筋肉、とくに先に述べた斜角筋に、胸郭を拡大するために肋骨を動かす機会が生まれるのである。

対になった筋肉ー拮抗作用

 体の中の実に多くの筋肉もしくは筋肉群は、拮抗作用を持つようになっており、対になっている。この原理を描写するのに良い例は、顎の周辺にある。ある筋肉群は顎を引き下げて開ける仕事をしていて、もう一方の筋肉群は顎を引っ張って閉じておく仕事をしている。
 通常は、一方の筋肉群は、もう一方が邪魔されずに仕事ができるように、休んでいるが、ときに両方が精巧に働いて、互いの働きを制御したり調節したりするような状況がある。顎の場合は、これは、例えば卵のようにもろいものを軽く、でも安定させて歯の間に挟んでおく、というような状況で起きる。

 横隔膜の拮抗とバランスもちょうどこのように行われていて、それは腹筋によってなされている。横隔膜もそうであるように、腹筋もシート状であるが、腹壁において何層にも重なっているのだ。横隔膜との関係で、腹筋群がどのように働くのかを理解する事が管楽器奏者にとって、呼吸の仕組みを理解する鍵となる。

 とりあえず次のことは覚えておいて欲しい。

簡単に言って

横隔膜=息を吸う
腹筋群=息を吐く、楽器を吹く

ということなのだ。

腹筋のこと

 とても強力な腹筋群は、肋骨の下側から骨盤までを包んで「おなか」を形作る。体の前面では、胸骨から恥骨までずーっと続いており、体の側面では肋骨の下縁から腰骨の上の端(骨盤の上部)まで続く。体の後側では、腰椎の両側の長さに沿って続く。

 横隔膜とは違って、腹筋の張り具合を指で感じ取ることは簡単にできる。お腹をリラックスさせて、優しく指でお腹を押してみよう。そして、軽く咳をしたらどうなるだろう。咳をする時、つまり、声門から抵抗を押して息を押し出すとき、明らかに腹筋の収縮が主に息を体の外に押し出す仕事をしているのが分かるだろう。

その4へつづく

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