ピップ・イーストップ氏の論文・エッセイ

次の投稿から、ロンドンのホルン奏者、ピップ・イーストップさんのホルン演奏の関する論文・エッセイを訳して掲載していきます。(本人から了承を得ています。)

ピップ・イーストップさんは、ロンドンで20年以上活躍してるフリーランスのホルン奏者で、「ロンドン・ホルン・サウンズ」の2種類の録音の両方にも参加しています。とくに最新の Give It One では、メインといっていいほどの重要な役割を担っています。ロイヤル・フィル、ロンドン・フィル、BBC交響楽団などのイギリスのトップオーケストラにたびたびエキストラ出演され、ロンドン室内管弦楽団の主席ホルン奏者です。王立音楽大学でも教鞭を取っています。

2005年の夏、ドイツからロンドンへ、彼のレッスンを受けにいきました。
当時、「どのように練習したらよいのか」といったことや、「どのように成長は起こるのか」と言った事に僕は大変悩み、苦しんでいました。

ドイツでも、さまざまな「良い先生」だという評判のあるホルン奏者のレッスンを受けにいったりして、疑問や悩みに取り組む糸口を必死で探していましたが、誰も、本当に考え抜いて「練習の原理」や「信頼できる考え方の原則」、あるいはホルン演奏の生理学的側面の事実を理解している人はおらず、自らの経験や自分のやってきた習慣を、「正しいこと」だとして教えようとするだけでした。

結局、ホルン奏者で「自分が吹く」ことができていても、「どうやって能力を開花させ、学んでいくか」ということは知らない人がほとんどだと分かりました。オーケストラにたくさんの生徒を送り込んだ「実績」を持つ有名な教師でも、この点では同じでした。

ひとつだけ、僕には希望のようなものがありました。
アレクサンダー・テクニークです。
人間の活動全般に焦点を当て、生理学的事実に基づくこの教育方法論のレッスンをそれまでにも何度か受けたことがありました。腰痛が解消されたり、ホルンの不調が解消されたり、その効果や理論が非常に深い物であるとは感じていましたが、ホルン演奏にどうつなげるのか、主体的にどうやって応用していくのか、それは分かりませんでした。

すべてがうまくいかず、何度もホルンをやめようと思ったものでしたが、悩みが高まると、ふといつも、アレクサンダーテクニークという選択肢が頭に浮かびました。

そこで、情報を集めました。
一線で活躍するホルン奏者で、アレクサンダーテクニークの教師である人を探したのです。

その結果、このイーストップさんの論文に行き当たりました。
経歴を見ると、ロンドンで一流の奏者で、アレクサンダーテクニークの教師資格を持っている。
そして、従来の「ホルン奏法の常識」を、科学的・論理的に検討し、疑義を呈しているその論文を見て、「これだ!」と思いました。

そして、コンタクトを取り、ロンドンに飛行機で行って2日間レッスンを受けました。

彼は、いまはホルンの演奏と指導活動に専念しており、アレクサンダー教師の活動は休止していました。その経緯も、エッセイの中に書かれていますので、翻訳します。

なんにせよ、このレッスンがきっかけで、「頭を使い、自分の合理的理由付けを信頼する」ということを学びました。そしてその年の秋から、留学先のドイツでも同様に、ホルン奏者でアレクサンダー教師である人を見つけることができ、その後の僕の生き方につながっていきました。

次の投稿から、ピップ・イーストップさんの論文を随時翻訳して掲載していきます

ブログでは読めない話もたくさん!ぜひメルマガをGET♪

レッスンの申込や出張依頼などについては、こちら!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です