今回の記事は、私にとってもまだ新しく、実践や理解、実感も始まったばかりです。
それは「からだを100%信頼する」ということ。
楽器を吹くとき、「自分」と「からだ」が全面的な信頼関係でいられるとよいと思いませんか?
「自分」とは、「楽器を吹こう」「こう表現しよう」「息をもっと出そう」と考えていたり、出す音をイメージしていたりする「自分」です。ここでは仮に『自意識』という呼び方をしましょう。
意図する存在。こうするぞ、と決める存在。それが『自意識』とします。
『からだ』は、実際に息を出したり、楽器を支えたり、バランスをとったり、アンブシュアを音がでるような状態にしてくれている存在です。
この『自意識』と『からだ』はある意味、「社長と部下」という関係に似ています。
自意識は、「いまからこうするからな」と指令を出しています。
からだはそれを聞いて、「よし分かった」と実行してくれます。
ショッキングなことをいまから言います。
私たちのからだは、いついかなるときも実は完璧な遂行能力を持っています。
そんなはずないって?
実際想い通りの音は出ないし、音をハズしたり、指が回らなかったりする?
ですよね。
しかし、実はからだは常に100%社長であるあなたの言う事を聞いていて、
言われた通りのことをほぼ100%にその通りに実行しています。
そう、音をハズしているときも、それは言われた通りにやったまでなのです。
実は社長であるあなたの「指令」に問題があったのです。
たとえば、吹く直前に音以外の関係ない事に気が行ったかもしれません。
その瞬間、忠実で有能この上ない部下であるあなたのからだは、その注意が逸れた先にあるもののための動きを実行し始めます。
もしあなたが、「ハズしたくない」と考えたとすれば、忠実で100%完璧な仕事をするからだは、言われた通りに「まず音をハズしてそして直す」という動きを遂行します。
心当たりはありますか?
アタックの瞬間にちょっと詰まったり、ちょっとだけ音が混ざったりする、あれです。
からだはあまりにも素直です。社長が「ハズすな」と指示すれば、まず「外す」ということをやってみて、次に本来望んでいる音を出します。
「ハズす」という言葉をきちんと聞いているのです。
もしあなたが、「ちゃんと音が出るかな?」という疑いを持つと、あまりにも有能なからだは「ちゃんと出さない」という仕事を完璧に遂行してくれます。
非常に優れ、有能この上ない完璧な部下であるあなたのからだは、
社長の言う事を逐一もらさず聞き、実行します。
その有能なからだを、あなたは信頼していますか?
社長業のポイントは、
・価値観と戦略を明確にし、透徹し的確な指示を出し
・実行は自分の部下、従業員に信頼して任す
ことにあると、色んなビジネス書にも書いてあります。
からだという理想的で完璧な部下を持った社長のあなたも同じです。
部下に猜疑心を抱いて、ネガティブなことばかり言っていたら、その会社はちゃんと事業ができるでしょうか?
社長が現場の細部まで余計な口出しをして良いことがあるでしょうか?
有能な技術専門職員の細かい日々の技術的で理系的な専門領域に、文系頭の社長がちょっかいを出して、何ができるでしょう?
あなたとからだも同じ。
懇切丁寧に「ここはこうしたいからよろしくな」「ここはこうするといいんだよ」と教えてあげればもちろん部下はスムーズに仕事ができます。
だから、アンブシュアの使い方や息の使い方を緻密に研究し考える事は良い事です。正確で綿密なプランをもらえればもらえるほど、からだという部下は何をしたらいいかスムーズに理解します。
でも、社長がアンブシュアの仕事を「やろう」としないで!息の仕事を「やろう」としないで!
指示を出せば、あとは100%信頼して任せて、応援してやればいいのです。
部下や部門によっては、細かい指示を嫌がるヤツもいます。
逆に色々教えてやる必要があるヤツもいます。
それは会社や部下によって様々です。
どことどういう関係を作ったらいいか、気長に探りましょう。
任せられれば任せられるほど、組織は活性化します。
社長の一番大事な仕事は、つきつめれば「価値観」を明示すること。
演奏に置き換えれば、それは
「こういう音が出したいから、よろしく頼んだよ」ということです。
イメージを豊かに明確に。
あとはからだを100%信頼して任せれば、からだは必ずそれを現実にする方法を生み出してくれます。
赤ちゃんが、ただ大人をまねし、「歩こう」と思って色々試すうちに必ず歩けるようになるのと同じ。そのときのからだを、あなたはまだ持っています。
ぜひ試してみて下さい。