ことしも恩師、キャシー・マデン先生が来日。毎年書いている、「キャシー・マデン先生との学び備忘録」シリーズ、2014年版のはじまり〜
いま現在の条件・状況における「自分の使い方」を分析する
今月、これから何度もキャシー先生の授業に参加する機会がありますが、初参加となった昨日の授業での学びから。
きのうのぼくの質問は、
「自分の信頼しているひと、自分が属している組織、あるいは自分自身に対して、誰かが悪口や意地悪を言っているのを見たり聞いたりしたときに、協調作用を回復するにはどうしたらいいですか?」
というものでした。
授業で自分の質問の番が回ってくるのを待つ間、何を質問しようかずっと考えていましたが、このことをテーマにしようと決めた瞬間、怒りのようなものを自分の身体の中にすごく感じました。感情ではなく、身体感覚です。
胃やお腹に、動き、こわばり、ムカムカ、何かこみ上げてくるような感覚でした。
ここから、やり取りが始まります。
キャシー『意地悪に接したとき、どんなことが起きるの?どんなことを感じるの?』
バジル『いまは、この授業の安全で建設的な場と雰囲気で、意識的になれているからちょっといつもとちがう。いまは協調作用自体はある程度保てている。けれど普段はもっと硬くなる。』
キャシー『それじゃあ、きょうは実際またそういう状況になったとき用の、「バックポケット(予備)プラン」を作るということね』
バジル『そうです。いまでも一定の効き目のあるバックポケットプランを一応持ってはいるんです。それは、意地悪に接して湧いてきたエネルギーを、ブログを投稿するなどの建設的な作業に振り向けるということです。そうすると、数分から数時間で気付いたら意地悪のことはもう気になっていないことに気付きます』
キャシー『なるほど。つまりあなたがいま欲しているのは、感情を建設的な状態まで通していく方法ということね。それがあなたのいま言っている意味での建設的、ということね』
バジル『言われてみれば、そうですね』
キャシー『それであれば、行動までスキップしてしまう前に、あなたの感情に気付いて(acknowledge)あげる必要があるわね….』
バジル『….ああ….確かに、そう言われてみると、いまは怒りと悲しさを感じているのが普段よりよく分かります。普段はこれをあまり認識できなくて、恐怖と疑念ばかり感じています。』
キャシー『いま現在の条件・状況における「自分の使い方」を分析する、これがアレクサンダーテクニークの大事なステップね。だから、頭が動いて、自分全体が付いてきて、「いま何を感じている?」と問いかける。 ということをやりましょう。』
バジル『そうか….ラクになってきました』
キャシー『ええ。協調作用がとても変わったわね。』
バジル『なんだか、笑えてきました。』
キャシー『感情と言うのは、すべて立派な存在理由があって生まれているの。何かを気付かせるため、次へと動いていくために存在しているのよ。感情は、何をどうしようとしても、感情として生まれるし、存在するし、感じるものなのよ。だから、その感情を認めないでいると、筋肉はその感情を溜め込んで固定してしまうのよ。それがいま、抜けて、動いてたのね。感情が動くと、笑いに変わることはよくあるわよ』
バジル『なんだか、もっとニヤけてくるなあ。意地悪を言っている相手のことをボロカスに怒鳴っているところを想像したら、もっと笑えてきちゃった』
キャシー『そう、あなたが心の中やプライベートな場所で何をしても大丈夫なのよ。』
バジル『そうか、それで気付いたことがあります。うちの父親が、そういえば上手にこれをやっていました。ちょっと嫌なことがあると、すぐ大声で怒鳴ったり、ウダウダ言ったりするんです。でもその声が子供ながらに迷惑で、「自分はこれをすまい」と思ってしまっていました』
キャシー『なるほど!子供にとって、大人の大声はびっくりするものね。子供は、そういうときに、子供なりの未熟な論理でそうやって心に決めてしまうことがあるの。それをいま、アップデート(更新)できたわね』
バジル『どうしたらいいか、分かってきました』
キャシー『ここから先も、できることがあと2ステップあるから、みんなに説明するわね。
ひとつは、いま現在の条件・状況の情報収集なんだkれど、五感で回りを認識すること。たとえば触覚。壁の角に背中を触れて、少しこすってみる。棚においてあるものを手に取って、手触り、肌触りを感じる。それで、いま・ここに意識を向けやすくなる。
もうひとつは、頭が動いて、自分全体がついてきて、「〜が好き」と声に出す。本質的に自分にとってポジティブなものを声に出すことで、ポジティブな動きをしているし、ポジティブな振動、響きを生み出し動かしているでしょ。自分が大切にしているもの、大事にしていることに意識やエネルギーを向けることができる。それをケアすることができる。これをやると、怒りや悲しみを非常に強く感じていたとしても、あなたにとって大事な目の前の仕事などをちゃんと行うことができるのよ』