マウスピースと唇から全身へ

*アレクサンダー教師養成課程の授業に出席して、ホルンの演奏を先生たちにいつも見てもらっています。これまでも時々書いているので、ご存知かもしれませんが、ほんと毎回発見と収穫があります。今週はBodyChance校長ジェレミー・チャンス先生の久々の授業。見てもらったのは、2ヶ月ぶり。今回も自分としては大きな収穫があったので、備忘録としてメモをそのまま掲載します。

テーマ:
唇/アンブシュアの思考をどう全体に含めるか?

・唇とマウスピースの接触
=マウスピースを唇の方へ+股関節から動いて胴体全体をマウスピースの方へ

下手くそですが絵で表現すると…

その2.jpg

呼吸のコントロールと力のためにすでに骨盤や腰のエリアへの思考はある。唇や口腔の息の流れ、マウスピースと唇の接触への思考もある。しかし両者の統合がされていない感じがあった。

私の演奏を見て動きを観察していたジェレミー先生は、唇/アンブシュアの思考と呼吸や身体全体の思考をつなげるテクニックとして、唇とマウスピースを接触させる段階で、胴体が股関節から動いて唇もマウスピースの方へ近づくと考えることを提案してくれた。

マウスピースを唇の方へ、という動きのイメージはすでにあった。

それに加えて、唇からマウスピースへの接触ももちろんあるわけだ。
このイメージを作る際、股関節から胴体全体が動き、脊椎に乗っている頭そして頭の一部であるアンブシュアもマウスピースへ接触する。

そのイメージを実践してみると、これまでなぜか別々にしか思考できなかった呼吸の支えのこととアンブシュアのことが、一つに統合され、どちらもひとつの思考の視野に照らされて感じがした。

すると、構える/吹く/呼吸/唇の操作 がひとつのシンプルなものになった。持った感じも軽いし、そして何だか吹きやすい。

股関節から胴体?頭まで動き、唇とマウスピースが近付く。
マウスピースと唇を含む全身が共に動いて出会う。

*****

ちなみに、少し話が逸れるがどこか不自然な区別や過剰なハイライトがあったのだろう。
骨盤や呼吸の意識に、「こうしよう」という明確な意図のほかに、「?にならないように」という否定的意図つまり心配が隠れていたのだ。

脳の言語野は、否定形を使った抽象的な思考ができる。しかし運動プログラムは否定形を認識しない。それは動きが筋肉の作用であり筋肉は「収縮する」というひとつのアクションしか持たないからだ。「収縮しない」というものは存在しない。ONかOFFかであり「ONでない」という状態はないのだ。

どこをどう動かすのか。それが明確であれば、「したくないこと・やりたくないこと」を考える必要はなくなる。このマインドの効率の良さは、動きに如実に反映される。いや、動きの効率よさは、マインドの指令の明確さから来るのだ。

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マウスピースと唇から全身へ」への1件のフィードバック

  1. 準備は身体がやってくれる

    *アレクサンダー教師養成課程の授業に出席して、ホルンの演奏を先生たちにいつも見てもらっています。これまでも時々書いているので、ご存知かもしれませんが、ほんと毎回発見と収穫があります。今週はBodyChance校長ジェレミー・チャンス先生の久々の授業。見てもらったのは、2ヶ月ぶり。学んだことの前半は前回の稿、「マウスピースと唇から、全身へ」にまとめました。今回はまた別のテーマです。 テーマ: 明確なプランが身体を準備してくれる 管楽器の演奏には、呼吸の力をたくさん使います。 種々の腹筋、そして骨盤底筋群。腰部や腹部で非常に強い力を必要とします。 文字通り、力を使う。能動的に「力を使う/動かす」のです。 強い圧力を胴体に作り出しており、それに対応して安定を保つため胴体全体も張りがあります。楽器を支える為にも筋肉の張りは高まります、全身の力を使います。安定作用は受動的な力のものも多く含まれますが。 力を能動的にも受動的にも使うわけですが、それは何の為か? 音を奏でるためです。 力を使うタイミング、場所、量、方向。全ては奏でたい音が決めています。 その力を生み出すのは、その力を発揮するのに必要なタイミングに応じています。 力は能動的に使う。それはそうなのですが、この力を生み出しタイミングを測るための「準備」はどうなのでしょう? 私は「力を生み出し能動的に使う」という作業と「その力を生み出す準備」を混同していたようです。 奏でたい音を分かっていて、それに必要な動きを分かっていて、能動的に力を使い、動き動かせば、それらをまとめ準備する作業は身体がやってくれるということを忘れていました。 「自分」の責任でやるのは、 1:奏でる音を考え、 2;必要な動きを必要な力を使って能動的に行うこと。 それでよいのですね。 私は1と2の間の「準備・調整・統合」まで自分でやろうとしていました。 これは身体に任せてよい作業です。 身体のほうが「自分」よりうまくやってくれます。 自分がやろうとすると、絶対過剰になります。動きを硬く悪くする。姿勢も人工的になってしまいます。 身体は、明確に目的と手順を指示しておけば、あとはその通りに必ずやってくれます。 身体が硬いあるいは思い通りに行かないとすれば、それは目的または手順が不明確/現実とずれていて不可能なことなときです。 準備と調整は身体に任す。 自分の仕事は、指示…

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