◎ジュリアード音大在学時代にジェイコブズのレッスンを受けた学生の音を聴いていると、どの音域でも音がよく響いていてその結果均質になっているのがとても印象的だった
◎シカゴ交響楽団の金管セクションの特徴として、多くの人が思うように音のパワーがすごいというのはあるが、それは音がよく響いていたからであって
・静かな音もすごくよく響いていた
・近距離で聴くと単純に綺麗な音というわけではなかった
◎昔(60年代や70年代?)、シカゴのノースウェスタン大学(シカゴ交響楽団のメンバーが多く教鞭を取った)では『弓と禅』が必読書指定で、ジェイコブズもそれに肯定的だった。
◎技術のメカニクス、仕組みについての意識を向けない。その階層で考えるのではなく、音楽で考える。それが脳から メカニクスへの指令となる。そこには禅に通ずる無我の境地に似たものがある。
◎ジェイコブズはよく、レッスンの受講者に対して、受講者自身が思う 素晴らしい演奏を模倣することを促した。なぜならそれは 受講者自身の頭と心の中に 素晴らしい演奏が確立するということであってそれこそが永きにわたる変化と学びになるから。息の吸い方などを指導したとしても変化はその場1回限りのものになって長持ちしない。
◎楽器の吹き方の先生は、生徒の頭の中の素晴らしい音楽。
◎自分が考えた音・音楽だけを考えて吹く。それが安定して楽器から具現化されるのには3週間から3カ月かかる。
◎文化革命後の中国で一番最初に国外から招聘された東ドイツのトロンボーン奏者がいた。その奏者が言ったことを通訳が当時一言誤訳してしまい、その結果 当時の中国のトロンボーン奏者がまるまる1世代、まったく育たなくなってしまった。二十年以上うまく吹けず苦労していたトロンボーン奏者に、頭の中の理想の音楽だけに集中してもらいながら吹かせたら、会場の全員が目を白黒させるほど一回で大改善した。
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メトロポリタン歌劇場管弦楽団でトロンボーン奏者を務めるデイビッド・ラングリッツ氏と、ユージーン交響楽団チューバ奏者マイケル・グロース氏の対談の中盤より。

