あるとき、BodyChance校長のジェレミー・チャンス先生のレッスンを受けたときのこと。
ホルンの練習に関して質問をしました。
質問は「練習内容の選択」に関するもの。
毎日どんな練習をするかを考えていたり迷っていたりするときに、微妙に体が緊張しているのに自分で気がついていたので、気になってそれを相談したのです。
アレクサンダー・テクニークのレッスンは(特にBodyChanceのレッスンでは)「メンタル面」や「思考」から働きかけることがあります。
緊張や力みの根源に何らかの感情的な圧迫や恐れがあるのは、音楽をやっているみなさまはご存知かと思います。
ジェレミー先生と話をしている中で、先生は私が「正しい練習」と「間違っている練習」というような善悪二分の考え方を練習にあてはめていることを指摘してくれました。
そこで客観的に自分の考え方を把握できました。
間違いを恐れ、正しさに自分を押し込めていては緊張して当然ですものね。
「でも、その日その時間に『やりたい』と思う練習をやっていると、ちゃんとなにかこなせているのか不安になる。どうなっていくのが分からないので、直感に従うのが怖い」私は言いました。
するとジェレミー先生は
「どうなるか分からないという感覚こそが、能力の最前線で変化と成長が起きている証拠だよ。無意識が直感という形で与えてくれる練習のインスピレーションを使って練習した方が、型をこなしてメニューを消化することばかり考えるよりはるかに成長が起きるよ」
と言いました。
そこで、実際に直感に耳を澄まし、ふと思いついた音を吹いてみました。
すると、いつもはもっと時間をかけないような唇のコンディションが最初からできあがり、レスポンスもとてもよく、なにより「これだ!」という感覚がありました。
こういうレッスンを自分もいつも心がけています。
Basil Kritzer