トロンボーン奏者の K さんからメールでご質問頂きました。
【質問】
ブログ記事『アンブシュア形成における「口を閉じる」ことの役割』内で「口を閉じる」ことを提唱されておられましたが、私もこれをしてみたところ唇の振動が大変安定しました。この事による精神的な安堵感も大きいです。
一方、以下のような不安、疑問を感じております。
①唇の振動密度が無くなった(唇の振動が荒くなった)。
②息を出す時に詰まった感じがする。
③ブレスをする時どうしても唇を広げてしまう。
①②については息の量を増すと解決するかもしれませんが、③はいわゆるクセで解決に時間を要することになるかもしれません。
現在は音質・音色については目処(個人的にですが)が立ってきましたが、音階や曲の1フレーズを演奏するのも困難な状況です。
少し前のブログ記事『40代の金管プレイヤーを襲う、謎の不調』がまさしく自身の状況に合致してます。
折角好きで続けてきたトロンボーンを断念はしたくないのでこれからも先生のアイデアで少しでも改善できればと思っております。
【回答】
こんにちは。このたびはメールありがとうございます。
>ブログ記事『アンブシュア形成における「口を閉じる」ことの役割』内で「口を閉じる」ことを
>提唱されておられましたが、私もこれをしてみたところ唇の振動が大変安定しました。
>この事による精神的な安堵感も大きいです。
なるほど。逆に、音はすごくよくなるんだけれどもすごく慣れない感触で「不安」を感じるというひともいたので、なかなか興味深いフィードバックです。K さんの場合、基本的に、「口を閉じてもよい」という考えが役立ちそうですね。
ご質問の①と②に関してどちらも、
1:口を閉じる
2:マウスピースをくっつける
そのあとに
3:しっくりくるようアジャストをする
というもうワンステップを挟んでみるとどうなるでしょうか?
ひょっとしたら、いままで身につけた「振動の技術」も OFF になっているのかもしれません。
それは作動させてよいわけです。それがステップ3なのです。
ご質問③に関してですが、
ブレスを、楽器を持ってくるときにやればどうなりますか?
分解すると
1: 楽器を持ち上げながらブレスする
2: 口を閉じる
3: マウスピースをくっつける
4: しっくりくるようアジャストする
5: 発音する
となります。
あるいは、「息を吸う」という意識が強すぎるのかもしれません。
実はわたしたちは、楽器を持ち上げる時点で無意識に息を吸っています。
そこで提案なのですが、「考えること」を「発音に関係することだけ」にしてみてはどうでしょうか?
1: 楽器を持ち上げつつ
2: 口を閉じて
3: マウスピースをくっつけて
4: しっくりくるようアジャストして
5: 発音する(息を吐く)
ということを意識化するわけです。
そうするとたぶん、「息を吸う事」を何にも考えなくても、「どこかの時点で吸っちゃう」と思います。
その「吸っちゃう」分でよいわけです。その吸っちゃうタイミングが一度口を閉じたあとで結果的に唇が開いても構いません。
また、「口の横から吸う」というアイデアも試しに使ってみてください。うまくハマるかもしれません。
参考になれば幸いです m(-_-)m
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