先日もご質問を下さった音大生ホルン吹きのBさん。今回もまたご質問を頂きました。
(先日の質問:「高音で口を閉じ過ぎてしまう…どうしたらいいの?」はこちら)
【質問】
おはようございます!度々すみませんが質問よろしいでしょうか?
facebookでのバジルさんのコメントを見て気になることがありました。
「息をちゃんと使っていたら、全部自然とはまってくる」とのことでしたが、
私はそれ以前の問題で、「息を使って吹く」という意味がまだよく分かっていないのです。
色んな人から、もっと息を使って吹けたら、アンブシュアらへんも楽になりそうなのにね、と言われますし、自分でもそうだと思うのですが、身体をどう使ったら息がするっと入るのか分からないので…
それでアレクサンダーテクニークを使って、「頭~身体~お腹を使って息を上に~」と一通りやってみるのですが、「息を使って吹いた音」をイメージすることができないからなのでしょうか、なんだか頭がこんがらがってしまっています。
バジルさんの立場からみて、他に何か意識に入れてみたらいいんじゃないかと思ったことがあれば、是非教えてください。
【回答】
おはようございます。
楽器を吹くとき、いちばん「力仕事」を担うのは、息を吐く力を出せる場所。
つまり、おなかがへこむような絞るような動きをする筋肉です。
そこ、使ってる実感ってありますか?
もし無ければ、これ試してみて下さい。
クリックして読む
↓
『管楽器奏者のための簡単な呼吸エクササイズ』
楽器を吹くとき、まさにこのエクササイズで「使ってる」のが分かるのと同じ部分を使います。
最初は、「積極的に吐く(ただし吐く仕事はお腹で)」ことを意図的にやるのが役立つかもしれません。
ちょっとイメージだけ一生懸命になって、「吐く」という「やる」ことを忘れているのかもしれません。(たいへん大雑把な言い方をすれば、考え過ぎになっている、ということでしょうか)
試しに、
①「この音を出すぞ」と決める
② 積極的に息を吐いて吹く
これだけに単純化してみてはどうでしょう?
まずそれをやってみて、音や吹き方に良い変化があればいいですね。
仮に、良いんだけれど何だか腰にくるとか、身体がしんどいとかも付随するなら、
そのときにアレクサンダーテクニークの出番です。
①頭を動けるようにして、そ身体が動けるようにしてあげよう
②「この音を出すぞ」と決める
③ 積極的に息を吐いて吹く
そうすると、痛みや不快感にはつながらずに、でも力一杯吹けるかもしれません。
ただちょっと気になる事がひとつ。
これまでレッスンのときはとても手応えがありますよね?
でもひとりになると、なんだか思考も奏法も不調になる….
進路のこととか、もっと根本的なことで悩みや不安を強く感じていませんか?
先生や学校の周りのひととの関係はうまくいっていますか?
そういう生き方とか人間関係の未解決なことやストレスは、暗雲がのしかかるように
心身の調子や奏法に影を落とします。
ひょっとしたら、もっと全体的に「気がラク」になる必要があるかもしれません。
バジル先生、初めまして。
いつも楽しくFBやブログを読ませていただいています。
27からトランペットを初めて10年が過ぎました。
学生さんのように長い練習こそ出来ませんが、少しずつ吹けるようになって、今は自分の所属する北海道の市民団体で、多くの仲間と吹奏楽を楽しんでいます。
ところで最近、とても上手な後輩が入って来ていろいろ指導してもらっていますが、このブログにあるように「息の圧力が足りない」「息が入っていない」とよく言われます。
実は昔、息が入り過ぎてオーバーフロー気味な音になってしまい「息をコントロールしなさい」と言われていました。自分ではコントロールしていたつもりが、逆に息を入れなくなってしまい、とても細い音になっていたようです。
そこで、今度は息を入れるように心がけ始めたのですが
1.苦手な音域(上も下も五線外の音)になると、突然楽器が詰まったかのように息が入らなくなってしまうことが多い。
2.合奏中歌うように意識して、周りの音も聞きながら、息を入れるように吹いているつもりなのに「響きが低い」「音程が低い」と言われる。実際に録音を聞いても、音がぶら下がっていたり、完全に周りとの音程があっていなかったりします。
チューナーで合っている音を吹いても「低い」と言われてしまい、
「速いスピードの息を入れたら高くなる」と言われても、息を入れる事が出来ず。入ったとしても、自分ではいい音が鳴っているとは思えません。
何をしていいのか、全く分からなくなってしまいました。
何か、イメージ不足なのでしょうか?
アドバイスいただけたら幸いです。
迎さま
はじめまして。
まず「息を入れる」というのは、「息を吐く力を強めることで、息の圧力を高める」ことを実現するためのイメージ上の比喩です。
実際には、楽器に息はそんなに入りません。
お悩みの「2」は、「息を楽器に入れよう」とすることで、口が開いて音程が下がっているのだと重います。
そして「1」も、楽器にあまり息は入らないのに無理やり入れようとしているからかもしれません。
「息を入れる」とイメージするより、
「息を使う」
「積極的に歌う」
という言葉で考えてみるとどうなるでしょうか。
ほんとなら、息をコントロールの対象として意識することすら、余計な緊張を生み出す要因となります。
1:音楽で心の耳をいっぱいにして
2:マウスピースを口につけて
3:そのままエイっと歌ってみる
ことの繰り返しのなかで、息も口も、自然かつ自動的に、やりたい音楽を実現できるようにすべく変化し上達がだんだんと進んでいきます。
もしあえて息や口のことを意識するとすれば、
・マウスピースを口にしっかり密着させ続ける
・口は、しっかり閉じ続ける
・息を吐く力のメインはお腹を凹ませる/絞るような力
・トランペットの場合は、舌がいろいろ動いてくれるおかげ(位置ではなく動き)、息にさらに圧力がかかる
・息の目的地は、唇の先端まで。それ以上先や下にまで息を吐こうとしなくていい。全体的には、息は肺から口先まで斜め前上方向へと流れている
といったことになろうかと思います。
このやりとり、ブログで掲載してよろしいでしょうか?
早速のお返事、ありがとうございます。
ブログの件は問題ありません。
とても分かりやすいお返事をいただき、イメージしやすくなりました。
先生にいただいた中で
パッと、自分が不足しているなと感じるのは
「口を閉じる」と
「舌が動くおかげ」をイメージする事です。
今までは、マウスピースを当てているんだから、口は「閉じている」と勝手に思っていましたし
音が出ているんだから、「舌は動いている」と思い込んでいました。
ですが、よく観察してみると(今日は楽器は吹けなかったので、マウスピース練習だけでしたが)
・口を閉じる力を使っていない
・息をたっぷり入れようとして、口の中を広げ過ぎている(舌が下がり過ぎている)
ことに気付きました。
息については、実際に楽器を吹いてみて観察してみたいと思います。
明日は吹けますので、また、良ければご相談に乗ってください。
ありがとうございました。
はい、またいつでもどうぞ!