タンギングの問題に悩んでいる方々へ

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吹奏楽部員や吹奏楽・管楽器を楽しむ大人、
そして管楽器を学ぶ音大生が同じように悩みがちなことのひとつが

『タンギング』



ですね。タンギングついての悩みや問題の解決、あるいは技量の向上に役立つかもしれないアイデアを提案してみたいと思います。



【アレクサンダー・テクニークを使って、やってみる】

アレクサンダー・テクニークのとても便利なところは、どんな技術的な問題でも、それを分析したり直接変えようとしなくても、アレクサンダー・テクニークを使いながらもう一度やってみたら、改善や解消につながることがあるところです。


アレクサンダー・テクニークに関する詳しいことは下記の記事をお読みください。

アレクサンダー・テクニークとは
ひとりでやってみるアレクサンダー・テクニーク
・マンガとイラストでよく分かるアレクサンダー・テクニーク入門


ここでは、いきなりアレクサンダー・テクニークを使ってタンギングに取り組んでみましょう。


1:タンギングが必要になるフレーズをひとつ選んで下さい。
2:ただいつも通り吹いてみます。

→どうでしたか?
・正確性
・音質・音色
・吹き心地

3:そのフレーズをソルフェージュし、心の中で明確にイメージしてから吹いてみます。

→どうでしたか?
・正確性
・音質・音色
・吹き心地

⭐︎次に、同じフレーズを吹く際にアレクサンダー・テクニークを使ってみましょう。
 
4:頭は大部分が目の上、耳の上にあります。
5:その頭に対し、「固定しなくていいんだ、動いていいんだ」と思ってみます。

6:頭が動いて身体全体をついていかせながら、
7;そのフレーズをソルフェージュし、心の中で明確にイメージ
8:マウスピース/リードを口のなかに運び、
9:さっきと同じフレーズを吹いてみます。

→︎1回目、2回目と比べて、どんな変化がありましたか?
・正確性
・音質・音色
・吹き心地


A:ただ吹くだけ
B:明確にイメージしてから吹く
C:アレクサンダー・テクニークを使いながら明確にイメージして吹く

それぞれの

・吹き心地
・身体の労力
・タンギングのやりやすさ
・音の成果

を比較してみましょう。


音に関しては、誰かに聴いていてもらうと良いでしょう。
周りから聴いていると明らかな音の変化や向上があっても、吹いている本人は気付かないことがあるからです。



【イメージの視野を広げよう】

タンギングがうまくできなくて悩んでいるひとの多くに共通しているのは、

舌のことばかり考えすぎて、イメージの視野が狭くなっている

ということです。


タンギングに使うベロは、体のいろんな場所と直接・間接につながっています。

タンギングを伴うフレーズに取り組むとき、着目したり意識したりする「身体のエリア」をもっと広い範囲に広げることが、問題解決や改善のきっかけになることがあります。


そこで、タンギングのイメージを広げていきましょう。その際、「舌骨」という骨に着目してみます。


真ん中の方にある黄色く目立たせてあるのが「舌骨」です。




舌は、舌骨と下あごをつなぐ「おとがい舌筋」から始まっています。
思っていたより、長かったり、深かったりしたのではないでしょうか?

そして、この舌骨が、おどろくほど身体のあちこちにつながっているのです。


〜舌骨のイメージ作りとタンギング〜

1:のどぼどけに触れて、少しつまんだり押したりしてみてください。

2:そのすぐ上に、舌骨があります。ひとによって、触って分かる場合度そうでない場合がありますが、そういう位置関係にあるのだな、ということを指で触る事でイメージを作っていきましょう。

3:タンギングを伴うフレーズを演奏するとき、タンギングに関係するエリアをこの舌骨から思い浮かべ、イメージを大きく広くして演奏してみてください。

⭐︎いつもと比べて、どんな変化がありますか?
・音はどうなりましたか?
・息の通りはどうなりましたか?
・タンギングの質はどうなりますか?


〜アンブシュア・腕・呼吸につながるタンギング〜

この舌骨から、実は身体の色んなところに筋肉がつながっています。
そのうちのいくつかを紹介するので、イメージ作りに役立ててください。

舌骨は筋肉を介して、頭や顎とつながっています。





ここから、

→顎ってつまり、アンブシュの下半分。タンギングは、アンブシュアとつながり合っている!
→頭や首の動きがタンギングに関係してくる!

ことが分かります。

だから、アレクサンダー・テクニークを使いながら(=頭が動いて身体全体をついていかせながらタンギングをするようにしてみることが、タンギングの行き詰まりを解消してくれることがあるのだと思います。


舌骨から見えてくるつながりは、まだまだあります。

何と、腕とも関係しているのです。
意外にも、舌骨と肩甲骨を結ぶ筋肉があるのです。






これは何を意味しているかと言うと、楽器の構え方もまた、タンギングがやりやすいかどうかに関係しているということです。

タンギングにブレーキをかけるような持ち方になっていたとすれば、それはどうしたら変えられるのか?


やはりアレクサンダー・テクニークが役立ちます。


1:頭が動いて身体全体をついていかせながら、
2:マウスピース/リード/歌口が口に触れるまで最後まで自分の方に持ってくる事を意識して構えて
3:吹いてみる

とくに「構える」動作に対してアレクサンダー・テクニークを使ってみよう、ということです。

⭐︎いつもと比べて、どんな変化がありますか?
・音はどうなりましたか?
・息の通りはどうなりましたか?
・タンギングの質はどうなりますか?


そして最後はなんと 、呼吸です

舌骨と胸骨もまた、筋肉によってつながっています。
胸骨は肋骨とつながっていて、呼吸に密接に関わります。

舌骨からの筋肉は、胸骨の裏側につながっているのが分かりますか?





また、舌骨は、のどぼとけの軟骨とつながっています。



この軟骨を介して、やはり胸骨とつながります。




1:頭が動いて身体全体をついていかせながら、
2:マウスピース/リード/歌口が口に触れるまで最後まで自分の方に持ってくる事を意識して構えて
3:「舌と呼吸はつながっているんだな」と思いながら
4:吹いてみる

⭐︎いつもと比べて、どんな変化がありますか?
・音はどうなりましたか?
・息の通りはどうなりましたか?
・タンギングの質はどうなりますか?


〜息の吸い方とタンギング〜

呼吸の仕方でタンギングが邪魔されているときは、

◎息の吸い方ばかり意識し過ぎる
◎息をたくさん吸おうと思い過ぎている
◎あとで息がもたないかもしれないから吸っておこう、という心配に基づいたやり方になっている


ときが多いように、わたしのこれまでのレッスン経験から思えます。

もし、自分もそうなっているかも、という気がしたら、つぎのことを 試してみてください。


1:頭が動いて身体全体をついていかせながら
2:これから奏でる音・フレーズを心の中でひととおり歌ってから
3:マウスピース/リード/歌口が口に触れるまで最後まで自分の方に持ってくる事を意識して構えて
4:ちょっと足りないかも?っていう気がするくらいラク〜に息を吸って
5:息を吐き続けることを頑張る


これをすると、5のところでお腹をはじめとして、いつもより力を使う場所があるかもしれませんが、それは息を吐く=音を生み出すための労力ですから、よいトレーニングになります。

そうやって頑張って吐いた直後の息の吸い方を観察してみてください。肋骨がたくさん動いて一気にたくさん吸えるかもしれません。


〜タンギング・舌骨・体のイメージまとめ〜

では最後に舌骨から見える広範なつながりをイメージしていきましょう。





1:頭が動いて身体全体をついていかせながら
2:「 頭、アンブシュア、呼吸、構えの動作が全部つながっているんだな」と思いつつ、
3:マウスピース/リード/歌口が口に触れるまで最後まで自分の方に持ってくる事を意識して構えて
4:吹いてみる。

⭐︎いつもと比べて、どんな変化がありますか?
・音はどうなりましたか?
・息の通りはどうなりましたか?
・タンギングの質はどうなりますか?


ぜひこれを参考にイメージを広げていってください。



【息を吸うときやアンブシュアを作るときに、舌を後ろや下に引っ張りすぎていないか】

タンギングが重くなったり遅くなったり詰まったりして悩んでいるひとたちと接する中で、

息を吸うときやアンブシュアを作るときに、後ろや下に引いている

というケースが多いことが分かってきました。


その原因としては、

1:口の中を広くしようとしている
2:息を奥まで吸い込もうとしすぎている
3:その両方


が、いまのところ思い当たります。


〜口の中を広くしようとしているひと〜

こういうひとは、口の中のスペースを大きくする事が「響く音」の条件だと感じていることが多いようです。

しかし実際には、これをやろうとしている結果、むしろ舌を緊張させて響かなくさせる結果に逆になってしまっていがちです。

わたしの提案は、口の中を広くしようとする努力をやめちゃってみてもよいのではないかということです。

1:頭が動いて身体全体をついていかせながら
2:これから奏でる音・フレーズを心の中で歌いつつ
3:楽器を構えて
4:「口の中を広くしようとするのを、いったんお休みしていいんだ、やった〜!」と思いながら
5: 吹いてみる

ぜひ試してみてください。


〜息を奥まで吸い込もうとしすぎている〜

こういうひとは「どこまで息を吸い込むか」のイメージを修正するのが役立ちます。
多くのひとが、

・喉の奥まで吸い込み
・お腹まで息を入れる

ことを頑張ってやろうとしています。


そこで

・まず口の天井を舐めてみてください。
・前の方は硬く、後ろは柔らかいですね。
・その前の硬いところ「まで」息が来れば十分
・息は胸骨の上のくぼみに入れば十分

と思って吹いてみてください。
きっとかなりラクで、発音がスムーズになるでしょう。

そうすると、タンギングもスムーズになります。

ぜひ試してみてください。


Basil Kritzer



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