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【レッスンしていて、生徒さんが音の改善・変化が分からないというとき】
指導・レッスンに携わっている方々の多くが経験しているであろう場面のひとつが、
『明らかに、音が変わって良くなったのに生徒さんがそれが分からない・気付かない』
というものです。
あれ?どうしよう?となりますよね。
わたしも、レッスンしていてそうなることが頻繁にあります。
ほとんどのレッスンをグループもしくは公開レッスンで行っていますから、その場に居合わせた方々がみんな「変わった!」「良くなった!」と言ってくれたり心底驚いていたりしても
『よく分かりません』
と言われることが時々あります。
理由や起きていることはその時々や個々人で異なりますが、
「音の聴き方のミニレッスン」
をしたうえでさっき上達や改善をもたらした方法を再実行すると、『あ、分かった!』となるケースが多いです。
その「音の聴き方」とは、『反響音を聴こうとする』意図を一度明確にしてみることです。
【反響音を聴くモードになる工夫】
①部屋・会場を見渡してもらい、いま音を出している空間を認識してもらいます。
②レッスン室・会場のその場で、ちょっと大きめの声で「あー!」と生徒さんに発声してもらいます。
③1で確認した演奏空間から「反響して返ってきている音を聴くつもりで」とお願いします。
④その時点で反響していることにまず大抵気づきます。
⑤部屋の中の場所や、声を出す向きを変えてまた「あー!」と発声します。
⑥反響は変わります。それに気付くか確認します。
⑦たいてい気づきますが、分からないようであればもう何箇所か移動して空間を見渡し、発声して反響を聴いてもらうようにします。
⑧この時点で、「反響を聴く」というモードになっています。
⑨改めて、いままでのやり方とレッスンで変化があったやり方を実行してもらい、そのちがいを「反響を聴こう」という意図で聴いてもらいます。
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これで多くの場合、生徒さんは変化・上達・改善を認識します。
また、興味深いことに、「反響を聴くモード」になるといままで通りのやり方のつもりでも、何かが改善することも多いです。
いずれにせよ、レッスン・指導の場面でこのような問題に行き当たったときは、ぜひ試してみて下さい。
Basil Kritzer