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ツイッターで、@puchnerさんととても興味深いやり取りをしました。
大変寛大にもそのやり取りを紹介することをお許しいただけたので、ここに掲載します。
@puchnerさん、本当にありがとうございます。
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重心って、なんのこと?
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始まりはわたしの次のようなツイートからでした。
以下、やり取りを記します。
BasilKritzer:管楽器の関係で出てくる『重心を下げる』という話のほとんどは、横隔膜の息吸い運動のことを指している場面が非常に多い。その場合、あくまで横隔膜の運動として説明できて、生徒さんには横隔膜の運動として理解実感できた方が誤解や将来的制限は減り、有用性は高まると思う。
@puchner:ご無沙汰しております。身体が緊張、とくに上半身の肩周りの緊張のため、結果として重心が上半身に移行し、胸式呼吸となるため、呼吸の自由度を保つため重心を下げるという話になるのかと思っていました。
BasilKritzer:計算上・概念上の重心が上半身に移行するなんてことは逆立ちしないと起きないと思います。だから上半身の力みへの対処イメージとして使う『重心』は実際には重心ではないのは確実でしょうね。
@puchner:そうなのでしょうか?力むことで肩や頭が体の中心より前に出る、場合によっては身体が伸びて爪先立ちのように前かがみになる。
それにより重心が上方へ移動する。
よって結果として上半身へ重心が移動すると考えています。
直立の場合はおっしゃる通りだと思いますが、楽器を構えたときだけでなく、変に力んで集中している時は、身体は地面に対し垂直ではなく前かがみになっていることが多いのではないかと思います。そうすると重心が上半身へ移動することも考えられると思ったのです
よって重心が上半身へ移動する→重心が高い→不安定な体勢→柔道なんかで崩しやすい体勢である、というのはあながち間違いではないのではないかと思った次第です。
BasilKritzer:重心というのはその場合もあくまで感覚的なもの、あるいは比喩でしょう。実際に重心という実体は存在せずあくまで計算上のもののはず。前屈みなときも脚の使い方によってはむしろ重心は計算上、下がると私は想像します。
本論に戻ると、管楽器の現場で言われる『重心』の感覚は、横隔膜の運動により骨盤の方に圧力がかかることを指していることが多いと思われるので、それなら横隔膜のこととして説明理解できた方が良さそう、というのがわたしの考えです。姿勢、力みの話はまた別です。
補すると、この「前屈みなときも脚の使い方によってはむしろ重心は計算上、下がる」の「下がる」は、体内においてというよりは空間内において、です。地面に近づくということですね。体内の重心というものが姿勢によって本当に移動するのかは、わたしは知らず分かりません。
@puchner:補足を含め理解しました。体と地面で作る空間と考えればその通りだと思います。
しかし重心を下げるが横隔膜が骨盤に与える圧力と捉えるのは考えたこともなく新鮮でした。感覚的な面で言うと、体の中の意識の中心が重心と捉えています。
よって力みが入ってしまうと体の意識の中心は活動の中心が上半身になるため、上半身へと向かいます。
意識が上半身へ向かうことにより、足元が疎かになり不安定な体勢となる。つまり重心が上半身へと移動している状態なんだと思ってました。
僕は重心について教わったのは呼吸と言うよりは、構えについてでした。どっしりとした構えにするため重心を下げなさいと言う感じでです。安定した、変化に柔軟に対応できる構えにと言うことなんだと思います。
ものごと一つとっても色々な捉え方があるんだなと改めて感じました。勉強になりました。
BasilKritzer:大まかには重心=身体感覚のフィードバック、と定義されているように読めました。
@puchner:その通りです。しかし、考えてみれば、からだを自由に動かせる状態なら、重心?は平常状態になるので楽に構えたら?の一言で良いのですね。
BasilKritzer:身体の上部からの感覚的フィードバックに意識が過集中することを『重心が上がる』、フィードバックが比較的少ないと考えられる下半身にあえて意識を向けることを『重心を下げる』と表現されているわけですね。
わたしは教え方の汎用性と普遍性を求めるうえで、横隔膜の運動感覚にしても、身体感覚のフィードバックに向ける意識についても、それを『重心』という別の定義の言葉で比喩するより、正確に描写する工夫を続ける選択をしています。
ディスカッション頂き有難うございました。とても自分にとって勉強になったので、ブログでやりとりを紹介したいのですが、いかがでしょうか?
@puchner:こちらこそありがとうございました。無駄に難しく、感覚的な説明をしていたことに気付けました。掲載、問題ありません。
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ディスカッションを終えて:SNSはその性質上、揚げ足取りや嫌がらせの意図を持って関わってくるひとたちがいるので、最初コメントもらったときはその記憶から、「ドキッ!」としてしまったのが正直なところでした。でも、そこを落ち着いて普通に受け取って、ちゃんとお返事したら、とても良いディスカッションをしてくれる方だということが分かってとてもホッとしたし、嬉しく思いました。今後もう少し、SNSへの恐怖感が減りそうです。
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参考記事:呼吸と重心に関して:
呼吸の誤解を大掃除〜これできょうからもっと吹きやすくなる〜
腹式呼吸を教えるときの注意点
呼吸ウォーミングアップ&エクササイズ
息の支えって、なんだろう?
Basil Kritzer