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あるときのセミナーにご参加下さった、あるサックス奏者とのやり取り。
話を伺ったところ、
「唇やアンブシュア、そして首に力が入ってしまう感じがする。それがどうにかなれば嬉しい」
とのことでした。
わたしが所属するBodyChanceでのアレクサンダー・テクニークのレッスンでは、決まった型や「教える内容」を画一的に押し付けることは無く、レッスンを受講するひとりひとりの問題や悩み、要望に寄り添ってレッスンを進めます。
大事なのは、
「いま・ここでその人が何をしているか」
です。
そこで、まずは実際に音を出してもらいました。
息を吐いて、実際に音を出しているときに身体で何をするのかをわたしたちBodyChanceのアレクサンダー・テクニーク教師はよ〜く観察します。
すると、
・楽器を構えたときに、楽器が前から後ろ(自分の方)へ向かう。
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・これにつられて、自分も後ろに動いてしまう(反る)。
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・倒れないようにするために、骨盤は前に押し出される。
↓
・腹筋が身体を、後ろへ倒れないよう引っ張り戻すようにして支えるために使われる。
↓
・息を吐くために使いたい腹筋があまり使えない。
↓
・アンブシュアなど身体の他の場所が「力仕事」を代行しはじめる。
↓
・硬さや力み、キツさを感じる。
ということが起きているのが観察していて分かりました
ちなみに、こういう観察と分析が教師には必要なので、資格を取るのに3年以上かかってしまうのです。なかなかそうポンポンと新しいアレクサンダー・テクニークの先生が誕生しないのはそういうことです。
こういった観察を基にして、サックス奏者の彼にとっては一見、アンブシュアとは無関係に思えることに取り組むことにしました。
・わたしが彼の後ろ側に立って
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・彼が後ろに反る力に合わせて彼の背中に手を軽く添えました
↓
・「わたしから押されているように感じますか?」と尋ねました。
↓
・「はい。前に押されているように感じます!」との返答。
↓
・「実は、私が前に押しているのではなく、あなたが後ろに押しているのですよ」
↓
・「ええー!まじっすか」
↓
・「そうなんです。なので、後ろに押すのをやめてみましょう」
すると、彼は後ろに反るのをやめ、身体が本当の意味での「まっすぐ」な状態に動いていきました。
・「これでまっすぐなのですよ」とわたし。
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・「ええー!すっごい前のめりに感じます!」と彼。
↓
・「いえ、いままで後ろに反っているのが当たり前に感じていただけなんです。試しに吹いてみましょう」。
そう言われた彼は「変な感じがするな…. 吹けるかな…. 」とつぶやきながら楽器を構えて吹きました。
すると….
「うお!めっちゃ音が鳴りますね!すっごいラクです!」
他の参加者も、音の明らかな変化に「おお〜」となっていました。
わたし
「アンブシュアや唇はどうですか?」
彼
「あ、そういえば全然ストレスが無いです」
わたし
「知らない間に、身体全体を後ろに反っていたから大変だったのが、その労力が無くなったので、とてもラクに感じるのです。」
彼
「なるほどー!すげー!ありがとうございます。」
こんな感じで、アレクサンダー・テクニークのレッスンは進んで行きます。
盲点を見つけるのは、自分でもできなくはないのですが、身体の動きや使い方、そして思考を観察し分析することの徹底的な訓練を受けたアレクサンダー・テクニーク教師に観てもらったほうが50倍は早いしラクでしょう。
盲点は、盲点であるうちは本当に厄介ですが、その「ありか」が分かり、対処法が分かると、とってもスッキリし前進できるようになります。盲点とはいわば引っ掛かっていたところですから、どう引っ掛かっていたかが分かってそれを外せば、スッと前進できるのです。
楽器演奏に関して、
・どうにもならない悩みに悩んでいるあなた。
・なぞの不調や壁を越えられずにいるあなた。
・なんだかレッスンを受けてみたくなったあなた。
ぜひ、BodyChanceやBodyChanceの卒業生のレッスンにいらして下さい。
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Basil Kritzer