トロンボーンを吹いていると左手首が痛い….どうしたらいいの?Q&A

– – – – – – – –
からだや姿勢に関しては、図形や形で考えると身体が硬くなる
– – – – – – – –

アマチュアトロンボーン奏者の方からご質問を頂きました。

【質問者】

トロンボーン・アンサンブル、吹奏楽、オーケストラで、演奏を楽しんでいます。
さっそく質問させていただきます。

左の手首が、痛かったり、だるかったりします。

トロンボーンを持つ姿勢が良くない気がしています。頭とひじで正三角形を描くように姿勢に気をつけてみたりするのですが、良くなりません。

どこか変えて、痛みが改善しませんでしょうか。

【バジル】

メールありがとうございます。

いまちょうど、別のトロンボーンの方とも、左手のつらさについてかなり詳細なメール相談が進行中でした。タイミングが重なって、興味深いですね。

まずはいくつか確認したいと思います。

・楽器を「左手」だけで支えよう、と思っていませんか?

楽器は、左「手」だけでなく「左腕、右腕、首など楽器と身体が触れているところ全体で持っている」のが事実です。たいてい、事実に沿った意識の持ち方のほうがうまくいきます。なので、「左腕、右腕、首など楽器と身体が触れているところ全体で支えているんだな」と意識して吹いてみてください。そうするとどうなりますか?

・正三角形の意識が、不必要な量の脇の開きにつながって疲れを生んでいるかもしれません。

現実には、正三角形でない優れた奏者がきっとたくさんいるのではないでしょうか?Youtubeなどでいろんなプレイヤーの吹き方を観察してみてください。

こういった図形的な意識は、身体を硬くさせやすい面があるとわたしは感じています。「形」は静的なものだからです。身体は動的です。ですから、図形意識を動き意識に置き換えていけるといいですね。

正三角形を意識することで、おそらく脇が開いているのかな?また、肩を必要以上に落とす(下げて固定する)ようなことにもなっているのかもしれません。

次のような順番と意識で動いて、構えてみてください。

1:肘を曲げる・たたむ
バナナを口の中にいれるような、手で顔を覆うような動きをするとできる

2:胸の筋肉で、左腕全体を少し内側に引き寄せる
距離的にはわずかです。でも力グッと使います。距離がすくなければ、それで力むことはないと思います。これができると、マウスピースが口の方に寄ってきます。

(注意;ここまでで手首を曲げたり、脇を開く動きが出ちゃったら、やり直し。)

3:1、2でマウスピースが口に近づいているので、マウスピースをしっかり口にくっつける。

4:マウスピースが口にしっくりくっついた後に、脇を開きたいだけ開く。
ただし、ここでまた図形意識にならないように。脇を開くのは、呼吸の都合や楽器保持のバランスなどで自分自身がその必要を感じる場合です。その必要性に沿ってやるよう注意してみてください。とくに必要を感じなければ、脇を開く必要ありません。

お返事お待ちしております。

【質問者】

別のトロンボーン奏者の方も、似たつらさがあるのですね。

さっそくやってみました。

左の手首に血が流れてリラックスするのを感じます。
今まで、まわりの筋肉が手首を圧迫していたのでしょうか。

胸の筋肉で、左腕全体を引き寄せる、という感覚は、初めてです。続けてみます。

さらに練習しているうちに、いつもより楽器が響いているのに気づきました。
なぜか、右手の動きもスムーズです。

【バジル】

>>さっそくやってみました。左の手首に血が流れてリラックスするのを感じます。

いいですね!
さっそく効果的だったようです。

>>今まで、まわりの筋肉が手首を圧迫していたのでしょうか。

肘曲げ・胸筋での腕引き寄せをあまり使っていなかったのでしょうね。
でもマウスピースを持ってきてくっつけておくうえでいちばん基本的な動きなのです。

代わりに、脇を開く(=腕を持ち上げ胴体から離す)動きがたくさん使われていたのでしょう。
こちらは、マウスピースを持ってきてくっつけておく動きではなく、どちらかというと引き離します。

それをカバーすべくがんばっていたのが、手首(前腕)だったのでしょうね。

>>胸の筋肉で、左腕全体を引き寄せる、という感覚は、初めてです。続けてみます。

ぜひ。周りのひとにも教えてあげてください。

>>別のトロンボーン奏者の方も、似たつらさがあるのですね。

はい、実に多くのトロンボーンの方が同じことに悩んでいます。

>>さらに練習しているうちに、いつもより楽器が響いているのに気づきました。なぜか、右手の動きもスムーズです。

構えが整理されると、とても効果的なのです。
構えは、アンブシュアや呼吸より優先度として上位にくる大切な技術なんです。

参照:
構え方をこうやって理解すると、とても吹きやすくなる!https://basilkritzer.jp/archives/4246.html

【質問者】

丁寧にお返事をいただき、ありがとうございます!

そして、次に質問させていただこうと思っていた「音の震え」について、教えていただいたブログを載っているので、興味深く読んでいきます。

ブログでは読めない話もたくさん!ぜひメルマガをGET♪

レッスンの申込や出張依頼などについては、こちら!

トロンボーンを吹いていると左手首が痛い….どうしたらいいの?Q&A」への3件のフィードバック

  1. 私の場合、左腕で支えるというより首の左側から左腕・左脇までの全体に楽器を乗せる感じになっています。
    そうすると結果的に肘を張ることもなく、楽器全体を体のほうに(口のほうに)持ってくることが自然なやり方になりますし、プレスが必要なときにガッツリできます。
    ただ、右手で支えることはありません。スライドアクションに支障が出ますし、最悪の場合、スライドが変形してしまいます。

    • じゅにさん

      >>左腕で支えるというより首の左側から左腕・左脇までの全体に楽器を乗せる感じになっています。

      いいですね、それをやってる上手なプレイヤーは多いという印象を持っています。
      胴体や頭を左に傾けているように見える例も、実は同じことだろうと考えています。

      >>右手で支えることはありません。

      息が肺に入っている実感はなくお腹にむしろ入っている感覚の方が実感には近いの同じですが、

      あくまで空気は肺に入っているのはかわりないのと同様、触れている・持っている限りかならず重さはかかり、そしてそれはかならず支えています。

      ですから、ボディマッピング的な観点からは、「事実認識」としては「右手で支えない」という実感・イメージから出発するより、
      「右手でも支えている」という事実認識から出発した方が普遍性や効果の高いアイデアを見つけていきやすくなります。

      Basil

      • ありがとうございます。
        ブレスと関連づけると、奥にある意味がよく理解できました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です