音楽の練習をするとき、練習をしている自分が好きでいられると、とにかくいろいろ物事が良好な循環になっていくように感じます。
自分のことを好きだと、あるいは言葉を変えると、自分をちゃんと愛して大事にしながら練習すると、次の三つの効果があるように思います。
・考えたいことを、イメージしたいことが考えやすく集中できる。
・体の動きが自由で柔軟になり、やっていて楽だったり気持ち良かったりする。
・だから上達が起きやすい
ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
①考えたいことを、考えられる
自分のことを好きでいられると、過去に気づいた大事なことや、技術的に取り組みたいポイント、先生に言われている注意すべきポイントのことなどがスムーズに思い出しやすいように思います。
たぶん、「自分が好き」という感覚が、プレッシャーを取り除いてくれるのでしょうか。
筆記試験中に焦ると、覚えていたはずのことがどこかへ行ってしまって頭が真っ白になったりしますよね。音楽の練習中にも同様のことが起きているのかもしれません。
だからプレッシャーが取り除かれると、実はどこかで覚えていることやわかっていることが意識に上ってきやすいのだと思います。
音楽の練習でも同様で、余計な考えがあまり浮かんでこなかったり、浮かんできても囚われずにいられるので、考えたいことにすぐまた意識が向くのだと思います。集中できているってこういうことなのではないかと。
②体の動きが自由で柔軟になる
自分のことが好きでいられると、考えや意識がとても自由になります。何をどう考えていても、そんな自分を「ダメ!」と叱っていないのですから。
起きること、感じること、思うことを自然に受け入れやすくなっています。
だから、自分が自分に課している様々な意識的・無意識的なルールや縛りが弱まっています。こういったルールは「正しい奏法」という大義名分が与えられていることが多いのですが、実態としては自分らしさや自然なことを禁じるものです。
そういうルールから自由になると、体の動きが増えたり、自由になったり、柔軟になったりします。
そのときに起きる音質や奏法、労力、表現力の変化を体験すると、
「そうか、こうやるといいんだ。こうやってもいいんだ」
という発見につながるように感じます。
③だから上達が起きやすい
こういった、考え・意識・体の動きの自由さと柔軟性は、当然ですが上達を促進しますよね。
自分らしいし、無理がない。それで技術的・奏法的にも良い兆しがあると、とても腑に落ちます。
腑に落ちると、自信になりますね。自信は、上達をさらに促進します。
まとめ:自分を好きで「ある」ことを練習する
自分を好きになる、愛することは、難しいようで実は簡単だと思います。
一瞬の決意だと思うのです。
確かエーリッヒ・フロムが「愛とは決意(決断)であり、感情ではない」ということを言っていたと思います。
だから、音楽を練習するとき、一音奏でるとき、ワンフレーズ練習するときに、あらかじめ、「自分を好きであろう、自分を愛そう」と思ってみるとよいのです。
その一瞬は、これまで記した三つの効果を一瞬生むと思います。
問題は、その決意がどれだけ続くか、どれだけ深いかということです。
ちょっとしたきっかけで決意が揺らぐことはいくらでもあるでしょう。
一瞬ラクに、軽やかになったのに、また硬くなることもあります。
そういうときは、再度決意します。自分のことを好きであろう、と。
するとまた一瞬、三つの効果が現れます。
この決意は、練習して強くしていけるものだと思います。繰り返し、決意します。揺らいでも見失っても、もういちど決意し直します。
決意するごとに、自分を好きであることは段々と「自分にとって普通のこと」になっていきます。だんだんと強くなるのです。
練習なんですね、これも。
いろいろな状況を想定して、決意の練習もできます。
・観客の前で。
・コンサートホールで。
・あるいは、苦手な人の前で。
そういった状況を想像したら、もしかしたら決意が揺らいだり弱まったりするかもしれません。
それならば絶好の練習のチャンスです。そこでもう一度決意しましょう。
そうやって、決意(愛)を試して、深めて、大きくしていけると思います。
何か響いたら、ぜひやってみてください。
Basil
はじめまして。
質問というかこのごろの悩みなのですが、私は部活で何かをふくたびに先輩から
何もできてないと全ての事を否定されてしまって、自分にとって取り得だった演奏も今となっては自分がどんどん下手になってる気がして今までは上手くなっていくのが楽しく、演奏で自分の気持ちを表現するのも楽しかったのです、今ではどうしたらいいのか分からなくなってしまってるのです。このままいくと、壊れていってしまうのではないかとも考えてしまいます。
端的に言って、いじめですよね。
先輩を無視できる心の強さがあれば、そうしてください。
あるいは自分を守るためだったら、退部も立派な選択肢です。
顧問の先生、ご両親、学校の保健室の先生など大人のなかで話を聞いてくれそうで助けてくれそうなひとに相談し、先輩のそういう振る舞いを止めてもらうことがとても大切です。
ピンバック: 周りと自分を比べて自分の長所が分からない….どうやったら自信がついて楽しく演奏できるようになりますか?Q&A | バジル・クリッツァーのブログ
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