弓と弦の接点が生み出す、あたかも「ひとりで」の動き。

バイオリンを演奏されている小倉徹二さんからご質問を頂きました。

【質問】

こんにちは。以前体験セミナーでお世話になった小倉です。あのときにいただいたシンプルな言葉で大きな方向性の修正をすることができそうです。ありがとうございます。

さて、質問を一点。

昨日、楽器を久しぶりに長い時間弾いてある手ごたえを感じましたが、スピッカートが続くような細かい音型の時にまだ肩が固まるような感じが出てきます。どういう点に注意するとよいでしょうか?速い動きの場合も鎖骨からの動き、という考え方でいいのでしょうか?

【回答】

こんにちは!お久しぶりです。メッセージありがとうございます。実は、スピッカートというものを知らなかったのですが、いま Youtube でいくつか調べて観ました。

観たところ、スピッカートは通常弓の操作の延長にあるように思います。

それが「固まる」ことにつながっているとすれば、ひょっとしたら、「音の短さ」「音を短くしよう」というところに意識が行き過ぎて、いつの間にか動きを止めようとしている可能性があります。

「止める」のに使われているのが僧帽筋など肩の大きな筋肉です。

とすると、短くしよう、音を止めようと考えているかぎりは、「止める」働きが作動します。

なので、大事なのは、音を「響かせる時間」をよく具体化することです。つまり、時間的には短いけれども、頭の中でその時間の間は他と同じように「響いている」音をイメージしてみてください。

その音のイメージがからだへの指令です。

まずは試してみて下さい。

【小倉さんから返信】

弦独特のお話を説明なしにして申し訳ありません。

なるほど。音を短くするだけでいちいち止めない、ぐらいに考えればいいだけなんでしょうかねえ?思った以上にシンプルな解決法ですね。

ついでなのですが、下のパガニーニのように音は短くないけど指の動きに合わせて弓の激しい角度の変化がある場合、こんなむつかしい曲でなくともバッハとかでも出てきますが、困難が生じます。もし簡単な注意点があれば教えてください。

映像の例はこちらです。

【回答】

小倉さん こんばんは。

映像見ました。実は腕の動きはさほど大きくないですし、(だからといって腕の動きを小さくした方がよい、ということはありません)特に複雑なことをしているわけではありませんね。

技術、スキルは、弓の位置と角度の移動が頻繁であることだと思います。移動の大きさや激しさではなく、頻度。これが、頭の中の仕事を増やします。

試しに、腕や移動に着目する代わりに、どの音を弦のどこと弓のどこを当てて弾くのかを意識しながらやってみてはどうでしょう。音を追い、接点を追う。音がソルフェージュで、接点が技術の思考です。接点を意識すると、移動は結果として起きるような感覚が生まれるかもしれません。

【小倉さんよりさらに返信】

ありがとうございます。昨日のスピッカートの件も、メールを読んだあと弾いてみて、感覚がずいぶん変わりました。

何だか自分でできなくしている、という要素が多いみたいですねえ。

こういうことを教えてくれるバイオリンの先生があまりいない気もするんですよね。教えてくれてはいるんですが、どうもわかりにくいというか。。。

まあ弾ければ良いというものでは、決してありませんけどね。。。

余計な思考を払拭することは必要なことを考えるためにとても大切なことだと信じます。
また色々相談にのってください。

では。

【回答】

おはようございます。スピッカート、さっそく効果があって何よりです!

バイオリンの先生、というだけでは、思考と身体の相関を言語を頼りに推測して、また身体的に make sense し、質問者の思考に沿って言語情報を提供するという技術は身につけるのがなかなか難しいかもしれません。

アレクサンダーテクニーク教師でもそこの訓練を全員がやっているわけではないですし‥
だから弦楽器奏者のアレクサンダーテクニーク教師の育成が急務ですね。今後数年以内に誰か現れるとは思いますが。???

何はともあれ、またいつでもご質問下さい。

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