音は息を吐いて、それが唇というリードに作用して唇が振動することでしか生まれない。
マウスピースを口につけて、
息を吸って、
息を吐く。
という動作によってのみ唇が振動し、音が生まれている。
それ以外の
- 音を出そう
- 音が出そうな体の感覚を準備しよう
などといった余計なことも、もちろん考えたりやりたくなったりしてしまう。
でもそれらには音を発生させる機能はない。
息を吐いて、その吐いた息がリードに作用することにしか音を発生させる機能は備わっていない。
だから それだけをやる。
それを意識してやる。
その時に音が鳴った時のその感覚や音の鳴り方が「正解像」。
本当の意味での基礎練習とは
音を出せるようにするのが基礎練習ではなく、
音を狙ったタイミングで出るようにするのが基礎練習なのでもなく、
「正解像」を実体験し、知ることが本当の意味の基礎練習。
「音が鳴る仕組みの純粋な体験」を何度も更新していくということ。
ただ音を外さないためだけに、あるいはただタイミングを合わせるため、体をあちこち力ませ、様々に小細工してひねり出した音は「正解像」ではなく、結局実用性がない。
「正解像」を体験すると、記憶があるうちは音が外れにくくなるし、タイミングも合わせやすくなる。
だから、「正解像」をいつも・いつでも・何度でも探し直し、見つけ直していけばいい。それが基礎練習。すぐに応用が効き、実用性がある基礎練習。
今日はそんな考え方に基づいて進めていくことで良い進展が得られたレッスンがありました。
タンギングと息の関係
金管のプレイヤーによっては、息を吐いて唇というリードに届かせることそれ自体にタンギングを利用するプレイヤーがいます。
こういう人は、息を吐くこととタンギングをすることがそもそもセットなので、デザートのフレーズでもリップスラーを用いずに全ての音をタンギングしていたりします。
こういう人の場合は、タンギングと息吐きが不可分の「正解像」がベースにあります。
ただこういう人は相対的には少数派です。より多くの人は、タンギングをせずに息だけを吐いた時に唇というリードが振動し始めるところに「正解像」があります。