高校生のホルン吹きの方よりご質問頂きました。
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こんばんわ。
ホルンを吹いてる高校2年生です。
バジルさんのブログでいつも勉強させてもらっています(^^)
首の後ろが楽になるように、頭と首の付け根をイメージしながら楽器を吹いたところ今まで出したことのない柔らかい音が出て今までならなかった高音も驚くほど楽に吹けてどの音もよく響くようになりました。
それが毎日続いてくれたら嬉しいのですがなかなか続きません。次の日にはうまくいかないことが多いです。自分が心地よく吹けている時が楽しすぎて、うまく吹けない時はとても辛くて全然楽しくありません。
こうしないといけない、という考えすぎが逆効果になっているのでしょうか。また頭の位置や頭と首の付け根にあたるところを意識しすぎてなのか余計に力が入ってしまうようなのです。
これを考えたら確実に間違いないという自分が確信出来るものを探しています。
アドバイスお願いします_(._.)_
【返答】
前の日の「感覚」を思い出そうとしたり、再現しようとしたりすると、だいたい力んで失敗します。
前の日の感じを一切期待せずに、うまくいった「イメージ」そのものをすることで、前の日とはまた別の感覚でうまくいく感覚が生まれるでしょう。
あと、頭の位置や首の付け根を意識するより、頭そのもの、その頭が動くことを意識する方がよいです。
大学のオーケストラサークルに参加している者です。
いつも楽しくブログを拝見しております。
今回の記事に関して疑問に思うところがございましたので、コメント致しました。
まず、アレクサンダーの教師の方々の見解に関して不明な点がございます。頭を意識する際、頭の位置や付け根よりも、頭そのものを意識して、動けることを思った方がよい、とのことですが、頭の付け根の位置を大切に考える先生もいらっしゃるように感じております。
これは、アレクサンダーテクニックの教師の方々の間でもまだ意見が一致していないということなのでしょうか。先生のご見解をお聞かせいただければ幸いです。
次に、頭の意識の考え方に関して質問がございます。
頭の位置よりも、頭そのものが動くことを意識したほうがよい、とのことですが、両者の違いは具体的にはどのようなところにあるのでしょうか。
最後に身体の情報に関して質問がございます。
頭の位置や、頭と首の付け根など身体の情報の正確さは、先生もある程度は重要視しているように感じております。ただ、身体の情報をきっちり考え過ぎるなど、正確な情報を持っていてもうまくいかないケースがあるようです。
アレクサンダーテクニックを使う上で、こうした身体の情報が持つ機能について、先生のご意見をお聞かせいただければと思います。
Sさま
コメントありがとうございます。
・頭の動きが、身体全体の動き・状態・バランスに大きな影響力を持ちます。
・したがって、頭の動きの認識がとても役立ちます。
・その際、「頭」を意識しようとするときに、では頭はそもそもどこにあるか、という「次のレベルの詳細さ」に属するのが、付け根の位置などの情報です。
重要度としては、頭や頭の動きの重要性の認識よりは下位にあります。重要でない、というわけではないですが。
また、この質問者が位置などにこだわる事自体で余計に緊張を抱えているであろうことが容易に推測できました。
したがってなおさら、細かい位置にこだわらないことが、実質的に頭を意識しやすく、そのひとにとって役立ちやすいと判断しました。
二点目の疑問に関してですが、なぜ位置よりは動きなのかということ。
そもそも、身体は動くシステムです。固定的で静的な位置というものはありません。
身体を固定的かつ静的に考えると、身体は緊張しがちです。
したがって、身体について何かを意識するとき、身体の動くという性質に沿って、動きで考えた方がなじむのです。
実質的に、位置で考えると身体が硬くなりやすく、動きで考えると動きやすくラクになりやすい傾向があります。
参考になれば幸いです。
お忙しいところ、返信していただき、ありがとうございます。
頭の位置で考える場合も、動きで意識する場合も、頭の位置は指令に入っているのですね。両者の違いは、頭の正確な位置と動きのどちらを優先して考えるかということにあるのでしょうか。
実際に試したところ、確かに位置で考える ( どこが頭の付け根で、てっぺんはここまでで、幅はどれくらいあって…) よりも、そういった情報にはあまり拘らず、動きを認識することに重点を置いた方が、身体が固まることが少ないようです。
ただ、頭の位置をイメージする場合に比べて、頭の動きを意識する場合は、具体的にイメージすることが難しいようです。
身体は動くシステムであり、静的なものでないからには、当然動きを優先して考えることが、実際上有益と思います。
ひとによって、静的な位置をイメージすることが得意だったり慣れているひともいれば、逆に動的な動きをイメージする事の方が得意なひともいます。
能力としては、動きをイメージする方がより初歩的で簡単なはずだと思います。
ただ、頑張って静的で厳密な位置を考えるように習慣付けられることが多いのもまた事実です。
静的な位置を考えたり、動きを考えるレベルでも、習慣が働く場合があるのですね。
もしかすると、静的な位置で考えることの方が慣れているために、動的なイメージはそれに比べて普段の厳密さがある意味失われるので、何だか間違っている、うまくできていないような感じがしているのかもしれません。
お忙しいところ、丁寧に説明していただき、本当にありがとうございました。
それは有意義な気付きですね。
こちらこそ、ありがとうございました。