昨日は、アレクサンダーテクニークの教師養成クラスでした。
10:00?17:00なんです、いつも。
クラスでは、授業の単位によって学ぶ内容が変わります。
また、担当する教師によっても得られるものが変わります。
大きく分けると、アレクサンダーテクニークのレッスンで必要とされる「動きの観察」の基盤と
なる解剖学/運動生理学のクラスと、アレクサンダーテクニークの変化のプロセスを主導する「思考」や「アレクサンダーテクニークの手順」を学ぶクラスがあります。
そしてどちらのクラスのときも共通してあるのが、教師養成クラスに参加する教師のたまごたちがそれぞれ、「アレクサンダーテクニークを使ってやってみたいこと」をやってみる時間です。
この時間は、参加者全員の前で、交代で一人一人が教師と一緒に探求してみたい活動を実際にみんなの前でやります。公開レッスンのような感じで、それによって「アレクサンダーテクニークを自分で使う事」と「レッスンの教え方」を両方学んで行くわけです。
その時間、ぼくはほとんど毎回ホルンを吹きます。
なぜなら、ぼくがアレクサンダーテクニークの力を一番必要としていて、アレクサンダーテクニークを使う事に一番興味のある分野が楽器演奏だからです。
きのうも例によって演奏をみてもらいました。
すると、息の吐き方のクセに発見がありました。
吐きながら、胴体を左下後方へと捻っていたんです。
これは、ホルンを持ち上げるときの腕構造の使い方とも関係していました。
持ち上げる時に、左腕を肩甲骨から若干、うしろ/下/左横へ引き下げていた。
これはどうやら広背筋(仙骨から背中を通って肩甲骨と上腕へ付着する筋肉)や前鋸筋(肩甲骨と肋骨をつなげている筋肉)などでやっていたようですが、腕の筋肉って、密接に呼吸と関連しています。
腕に関係する筋肉の大半が、肋骨や胸骨、胸椎など呼吸をになっている場所とつながっているからです。
そういうところから始まって、息を吐いて行くと、若干胴体を左下後方へと捻って行ってました。
この状態では、左の肺の入っている胸郭左側の動きが制限されています。
自由じゃないし、無理がある。呼吸能力が損なわれているんです。
そこで、このクセに気が付いた上で、それをせずに吹いてみると。
努力感や頑張りなしに、音のレスポンスとボリュームが随分増しました。
それだけ、息の流れに干渉していたわけです。
不具合があると、どうしても必死になったり練習を頑張ることで解決しようとしてしまいますが、
そもそもの「やり方」に無理があると、それは「自分の本来の能力」を制限していることになります。
その「やり方」をさらに頑張って強めると、それは制限が強くなっていくことを意味します。
悪循環ですよね。
そういう袋小路に入らずに、
自らの観察と意識で自分自身の「やり方」を変化/選択し、できることを実現していく。それがアレクサンダー・テクニークの醍醐味だなあと思います。