「のどを開けなさい」!
….という指摘・指導はよく聞かれます。
オペラ歌手が喉を開けて素晴らしく声を響かせているように聞こえるように、管楽器でもやりたいわけです。
わたしもかなり長い間、「のどを開けよう」としていました。高校生のときから。
大学に行ってフランク・ロイド教授に「のどがキツくなっていて響いてない。のどを開けなさい」と言われました。素晴らしく楽に豊かに響く音の実演付きで、すっかり「これだ!」と思い込んで、数ヶ月の間「のどを開けよう」と四苦八苦しました。
しかし、なんだか開けようとすればするほど、音が鈍くなり、動きが重くなってくる。
なぜだろう?
そしてあるとき、ふと「開けよう」と努力するのをやめて、吹いてみたら、急に今までにないぐらい楽によく響きました。
その音の響き方は、ロイド教授とのレッスンで理解していった事にマッチしていました。
レッスンで尋ねてみても、「それそれ、その音質」というフィードバック。
かなり混乱しましたが、とりあえず響く音は出るようになったのだからいいや、というこで「のどの開閉問題」は記憶の彼方へ風化していきました。
ですが最近、解剖学書を読んでいて「のどの開閉問題」にやっと理解が生まれました。。
まず、つばを飲み込んでみて下さい。
そのとき、口の後ろや舌の後ろの方で、動きを感じませんか?それが咽頭収縮筋の働きです。
わたしが「開けようと」していてやっていたことは、この筋肉を働かせて「口の中が広い」感覚を作ろうとしていたんです。
しかしですね、これは「のみこむ」筋肉であって、声や音を出すことに何も能動的に関係しない筋肉なんです。
つまり、誤解していたのです。
音を響かせるために「のどを開けよう」として、「のどのあたりの関係ない筋肉」を使いすぎていた。
これでは、さらにいわゆる「のどが締まった」状態を助長してしまいます。
そういえば、レッスンしているときにこの傾向を持っている人、けっこう見かけます。
「のどが開いている」という言い方は、「演奏をしながら口腔ー喉頭ー咽頭ー舌ー首が過剰に緊張せずお互いにバランスをとって楽に連動している状態」と解釈すると良いでしょう。
「開けよう」として、さきほど指摘した「のみこむ筋肉」を使わないようにしましょう。それは音を出すプロセスと関係していません。むしろ余計にのどが締まってしまいます。
ただ、今から思い返してみると、そういったラクな連動関係とバランスが見付かったから、音が響くようになったので、そういう意味では、「のどを開こう」という間違いをして、無駄ではななかったです。
やはりポイントは「音」です。響く音を、「身体でなにかやる」ことではなしに、「意識」で探してみるとよいのではないでしょうか?
そうすれば、身体は自ずとそのためのバランスを見つけ、覚えていくと思います。
ピンバック: のどが痛くて吹けなくて困っている生徒….どうしたらいいの? | バジル・クリッツァーのブログ
サックス吹きです。
「暖かい息で吹け」というような事はよく言われますが、それを実践しても上手くいかず、同じように逆に首を締めているような感じがします。
暖かい息というのはどういう事なのでしょう?
サロメさん
分かりません!
そういうことを言われたことも言ったこともないので….。
息を思いっきり、強く速く吐き出すことでとりあえず雑に鳴らすのではなく、
という意味なのかな、という感じです。
Basil