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『とらえ方・考え方』と『体の使い方・吹き方』の対応を見出すこと。これをきのうはレッスンで今までより濃厚に用いてみた。
それは非常に効果的で、有益だった。
きのうレッスンにいらした方のうちのお一人は、若くて熱心で上手なアマチュアトロンボーン吹き。もう一年くらい、月1くらいで通って下さっている。
きのうは『リップトリルがうまくいかない』というテーマ。
リップトリルは、上手なひとを観察していると
◎舌の形
◎舌の動き
◎顎の動き
◎唇の横の動き(もしくは張り)
◎唇の前後の動き(もしくは張り)
◎プレスの加減
あたりが主な類型で、ひとにより、あるいはアンブシュアタイプにより用いる主な方法が異なるような気がいま現在はしている。
レッスンでは、このうちの『唇の前後の動き』がこの方には相性が良さそうなことが分かり、まずひとつ進展があった。
しかしそれでも、やりやすいのは一回だけで、何回かやると一度構えをリセットしないとまたやりづらくなるという感じの状況は残った。
で、見ていると&聴いていると、これはレッスンの通い始めからあったことだが、
◎息の吹き込み過ぎ
◎発音または上がった音の2拍目からのわずかな音程沈降
◎ベロの押し下げ
◎腕肩の力み
という特徴がセットで見られる、固有な『力み』の様子がある。
息、ベロ、音程のところに介入してアンブシュアモーションの手伝いなども併せて使って、いったんこれらの傾向がない吹き方を何度か実行してもらうことができた。
力まないし、
音はスッキリとして輝かしいし、
なかなかサイコーである。
この、『こうも吹けるよね実体験』は、いよいよ普段の吹き方の力みの具体性と不必要性とを明らかにする。どこをどう力ませていて、そしてそれが無くても吹ける、無いほうがよっぽどお得!というのがはっきりするわけだ。
するといよいよ、『じゃあなんでそんなことしているんだろう』というところが本題になってくる。
レッスンでそこに話が及ぶと生徒さんはすぐに、「できないところを吹こうとするときにそうなる」と仰った。・・・コレだ!ここに『考え方』と『体の使い方』の対応がある。
こういうときにやってみるとよいのは、同じシチュエーションで、いつもとは異なることを敢えて人為的に思考すること。このレッスンのこの状況では『できないことを吹こうとするときに、「できなくていいや」もしくは「できないようにしちゃえ」とか「できてしまうもんか」』と唱えながら吹くこと。
変な言葉だしロジカルじゃないが、この生徒さんにとっての『できないことを吹こうとする』場面での、力みと対応したなんらかの考え方をブロックもしくは中和するような思考だ。
やってみると効果てきめん!高音がスッキリらくちんにスパーンと当たるし、リップトリルもやりやすくなった。
思考と奏法・体の使い方の対応。もっといえば世界観、概念との対応なのかもしれない。
こういうのはアレクサンダーテクニークの本領発揮だと思う・・・だから胡散臭いわけだが(笑)思考の是非ではなく、実用性実効性の面で思考を体の使い方との対応において代替・選択・訓練できるということだ。
Basil Kritzer