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金管楽器の細かい専門技術の話だが、
きのうレッスンにいらしたアマチュア男性ホルン吹きの主訴は、低音が鳴けらしにくくなったということ。
まず気付いたのは、マウスピースが唇から少し浮いていることだったので、プレスを増すために一度高音域を経由してみることに。
高音域に行くときは左上アンブシュアモーションだったのでそれを意図的にやってもらいつつ、どうも良い音が鳴るときのほうがマウスピースがそもそも少し左に当たっているようなので、わざとちょっと左に当ててもらったら、高音も低音も急に鳴りやすくなった。
低音ではさらに、唇の周りにあえて力を入れたまま、唇を少し突出すような動きでアパチュアを開く動作をしてもらったらこれも即効し、低音がまた一段良くなった。
さらに低音下降時の右下アンブシュアモーションを徹底してもらうととても安定した。
ここまで打った手はマウスピースの位置、アンブシュアモーション、アンブシュアの緩みの対応。
しかしながら共通もしくは端緒となる直接の原因はおそらくプレス不足。
では、このプレス不足の原因は何か?
左腕がお休みしていたことだった可能性が高い。
楽器の重さを左手で受け止める以上のことを左腕がやっておらず、楽器を動かしていなかったのだ。
左腕を動かせる、手にしているものを持ち上げることができる。
それを実感したら、プレスも左上アンブシュアモーションもしっかりできるようになった。
その前は第12倍音が少し音が暗くなり低くなり、音が広がる感じがあったが、それは左腕の関与不十分からくるプレス不足とアンブシュアモーションの屈折(12倍音ゾーンから、左上に行かずにわずかに左下に行く=アンブシュアタイプの変化)が原因だったのだろう。
左腕をオンにしたら、プレスとアンブシュアモーションが実行できて、第12倍音がキュッとフォーカスし輝かしく張りのある音に変わった。
どうも、奏法や体の使い方の何らかの不足、非効率、ズレなどがプレス不足とアンブシュアモーションの乱れに現れるような力学が金管楽器にはあるのかもしれない。
BasilKritzer