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【大人の初心者への指導】
楽器演奏に関して、大人の初心者にどのように指導を行うか。
キーポイントは二つあると思います。
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①実際に「できるようになっていく」ことを助ける
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大人相手に、努力の重要性とか続けることの大切さを説いても、そのようなことは少なくとも頭では分かっていらっしゃるわけで、ただの「説教くさい」指導に堕ちてしまいかねません。
必要なのは、「おお、できた!」という体験まで確実に案内・サポートすることです。
それは小さなことで構いません。
確実に、「できた!」体験を重ねる。
何ができたか、どう変化したかをご本人が分かるようにする、認めるように促す。
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②「なるほど」という知的な理解を提供する
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もう一つ大切なのは、「何がどうなっているのか」「どのようなメカニズムがあるのか」「ルールや法則はなぜ・どのように存在するのか」といったことを知的に論理的に理解できるようにすることです。
大人は、理解することそのものを好みますし、子供より必要ともするのではないかと感じます。
理解があれば、自身で分析や応用ができます。
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〜愛好家による初心者への指導の実例〜
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音楽愛好家の方で、わたしのレッスンや講座に何度かいらした方がいらっしゃいます。
その方は仕事の関係上、普段やっている楽器とは別にトランペットを学ぶ必要がある状況なりました。それでレッスンに来られていました。
その方が、今度はトランペット演奏の完全な初心者(大人)に、指導をする状況になられました。
ご自身がまだ年数や習熟度の浅い楽器の演奏を、それでも状況的に最も経験があるということで仕事上、指導する立場になられたのです。
そこで、ご自身で様々に考慮され、注意深く、段階を経て丁寧に導入を図り実践につなげる指導案を作られ、実用されたところ、大変大きな成果があったとお知らせ頂きました。
大切なのは肩書きでも根性論精神論でもなく、よく考慮された中身と実際の反応を見ながら進めていく観察力・柔軟性であることを改めて感じました。
その指導内容を共有くださったので、まとめます。
その方自身の言葉です。
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【初日】
①三種類のアンブシュア・タイプ(超高、中高、低)→どれが一番ラクに吹けるかを探る
②金管吹奏の最低限の条件(口がしっかり閉じられている・マウスピースがしっかり圧着されている)
上記をメインに解説し、(それ以外のことは敢えて触れず)ラクに音を出す練習をさせてみました。
結果、全員が初日で(音域に差はありますが)ラッパらしい音を出すことができました!
「吹き方は一人ひとり違う」ことを理解させてから臨んだことが功を奏したようです。
他の指導者陣もこの成果に驚いています。バジル先生から教わったことがこういう場でも活きて、本当に嬉しく思います。
【二日目】
呼吸法
(息の入る場所、吹くときの腹をへこませる感覚等)
【三日目】
姿勢(見た目に拘らない)、
精神面(緊張への対処、人に聴かせる意識、自己肯定の重要性)
これらを順番に解説し、細かい感覚は奏者に委ねる方針で徹底して教育・訓練を行いました。
結果として、7名の内4名は必要な最高音(G管のソなので実音ではチューニングB♭上のDですが)を無理なく吹くことに成功し、他の者もそれぞれ最適なアンブシュアとモーションを見つけられているものと確信しています。
正直言って初週ここまでの成果が出たのはこの職場のラッパ教育史上初ではないかと思われます。
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「こうすればこうなる」と断定するのではなく、
「こうしたらどうなるか?」と試させる形で指導した方がよく理解させることができると実感しています。
(例えば音を上げるとき、息の量を増やしたら、減らしたらどうなるか?とか)
いい雰囲気ができています!
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この方からのメッセージは以上です。
こういった「指導スキル」に関するレッスンも行っています。
→詳細:指導スキル・レッスンhttps://basilkritzer.jp/archives/10259.html
また、学校吹奏楽部などでのレッスンも各地で行っております。
その学校や団体の許可があれば、「指導法を学ぶ」ために見学していただくことができるケースもあります。
興味がある場合は、どうぞご連絡ください。
ask@basil-k.com
Basil Kritzer