高校生ホルン吹きの Bさん よりご質問頂きました。
【質問】
最近おなかから息を使って吹くということを考えながら練習を2か月ほど続けたところ、hiFまできれいに響くようになりました。(hiFはまだ力んでいますが…)
しかし早いパッセージの流れで確実に高音を当てることができません。(キャンディード序曲の後半に出てくるhiDです)
ゆっくり練習をするときは当てることができるのですが、何か考えないといけないことはありますでしょうか!?
教えていただけると嬉しいです。
【回答】
素晴らしい!
高1でハイFが手応え・響きを伴って出せるのはなかなか凄いことですよ!
私は 22歳になってやっと、でしたから….
まず大切なのは、近視眼的にならないことです。
たとえば1年後になれば、この調子で練習しているだけでも、いまよりよっぽど確実性が高まっていることでしょう。
ホルンの演奏技術は、ひととおり「基礎が揃う」まで10年かかると言っても過言ではないぐらいですから、「いまできないこと」に神経質になるより、「成長」や「手応え」が感じられるアプローチや練習法を続けて行く事が大切です。
そのうえでお答えしますと、速く複雑なパッセージは
①ゆっくりゆっくり、分解しつつさらう
②インテンポで、短いパーツに分解してさらう
③インテンポで、通す
の3種類を組み合わせるとよいと思います。
「ゆっくりゆっくり、分解しつつさらう」の意味・効果
・あたまの中で音が明確にとれる(ソルフェージュ面)
・パッセージを構成する各音そして各音程間隔(インターバル=音と音の距離)を演奏する肉体的感覚を知れる
インテンポで、短いパーツに分解してさらう
・速いフレーズは、実のところ、その内部まで細かく明確に「肉体的感覚」で捉えることはできません。
・「感じる」より速い速さで「ソルフェージュ(頭の中で歌う)」と「それを実際に音にする身体の動き」が起きるわけです。
・それに慣れるために、パッセージを分解して短くし、でもインテンポ(速い)で実行してみるのです。
・最初は音が外れたりしても、気にしない。個々の音を出す能力があって、ソルフェージュが明確であれば、繰り返しているうちに、少しづつできるようになります。
インテンポで、通す
「感覚で感じられるより速い速さ」で「吹ける」という事自体がちょっと「ドギマギ」します。ですから、パーツでさらいつつも、通しでもやっておくとよいでしょう。
クラシックのホルンのお話ですが、ジャズピアノの練習にも非常に参考になりました。
即興演奏と言っても、その場で、全部、頭に音が浮かぶとは限りませんし、それをその場で鍵盤で再現することができるとも限りません。
そのためには
1,与えられたコード進行なり、旋法に対して、典型的なフレージングを覚える。
2,それを自分の楽器(サックスなりラッパなりピアノなりベースなり)で再現する。
練習が必要となります。
そのとき、「音の並び方を覚える」練習、つまり、音階や旋法、コード分解、フレーズやヴォイシングを覚えることと、インテンポで、弾けるようにすることは、別個にやったほうがいいと思いはじめていたのです。
音の並びを覚えるときは、音の長さ、リズムは気にせず、頭に中に音を鳴らす、それを鍵盤で再現することに目的を絞る。(要はソルフェージュですね)
それをインテンポでやる、リズムやアーティキュレーションの練習は、それとはまた別個にやる。
このようにわけてやったほうがいいように思い始めています。
ピアノでも、頭の中に思い浮かべた音を、打鍵するのはソルフェージュ能力ですからね。
カエルさん まさに!ソルフェージュは厳密にするとともに、リズムやコードなどの他の要素もありますから、全部組み合わせる際はインテンポがよいのですね。