David Wilken氏のウェブサイトより、記事「Brass Embouchures and Air Stream Direction」(原文こちら)の翻訳です。
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息の流れの方向と金管のアンブシュア
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1962年に、シカゴ交響楽団に在籍していた著名なホルン奏者であるフィリップ・ファーカスは「金管を吹く人のために」(The Art of Brass Playing )という本を出版した。副題には「金管楽器奏者のアンブシュアの形成と使い方に関する原則」(A Treatise on the Formation and Use of the Brass Player’s Embouchure)とあり、金管楽器のための正しいアンブシュアに関するファーカスの立てた仮説が含まれていた。
ファーカスによれば、正しいアンブシュアになっているときは下図のように息がマウスピースのシャンクへ真っ直ぐ吹き込まれるような状態になるように唇と顎の関係がセットされるという。
この仮説が実は正しくなかったことをファーカス自身が発見するのは、もっと後になって自身の仮説を検証した後のことだ。
1970年に彼はもっと短い本である、「A Photographic Study of 40 Virtuoso Horn Player’s Embouchures」を出版した。この本のためにファーカスが撮影した写真は、彼自身が以前に立てた仮説と異なる事実を物語っていた。
40人中39人が、息の流れが下向きの角度になるようなバズィングを行っており、1人は上向きの角度で演奏していたのだ。
ドナルド・ラインハルト がその頃にはすでに書いていたことを、どうやらファーカスは知らなかったようだ。
ラインハルトはすでに1942年の時点でこのアンブシュアの特徴に関して気がついていた。
またラインハルトは、アンブシュアが(息の流れが)下方流方向になるか上方流方向になるかを決定するのがマウスピースのカップ内での上唇と下唇の比率であることも探り当てていた。カップ内での上唇の割合が下唇より多くなるようなマウスピースの当てかたをすると息は下向きに吹き付けられることになり、下唇の割合が多くなると息は上向きに流れで吹かれることになる。
個々の奏者にとってどちらのアンブシュアがいちばんうまく機能するかは、個々の奏者の解剖学的特徴が最も重要な要因になるとラインハルトは感じていた。
(ラインハルト式アンブシュア分類法によるタイプ1とタイプ2)
(ラインハルト式アンブシュア分類法によるタイプ3とタイプ4)
1980年代のどこかの時点で、ロイド・レノが「マウスピースの中で唇はどのように振動しているか」という研究を行い、彼はそこで奏者によって上向きか下向きに息が流れるように吹いていることを発見して彼自身驚いた。
彼はハイスピード撮影技術を用いて、何人かのよく知られたトロンボーン奏者を撮影した。ロイド・レノ博士の息子であるマイケル・レノがレノ博士の映像をこの記事で紹介する許可をくれたので、ぜひ見ていただきたい。撮影中のレノ博士自身による解説も聞くことができる。全体で3部構成になっている。
わたし自身、論文執筆のための調査をしている過程でたくさんのトロンボーン奏者のアンブシュアを観察し、レノ博士の発見したことを確認できた。すべての金管楽器奏者が息の流れが上向きか下向きのどちらかになるようなアンブシュアで演奏しており、ほとんどの場合、奏者個々の解剖学的特徴によってどちらかがもう一方よりうまく機能するのだ。
奏者の息の流れの方向を決定するのはマウスピースの当て方であり、またどのような当て方がいちばんうまくいくかは奏者の身体的特徴による決まるので、自分以外の誰か別の奏者のマウスピースの当て方を模範にすることは、通常は間違った当て方になることになる。
その奏者の顔の形に適しない当て方・奏法をずっと続けると、演奏不可能になるほど深刻な問題を引き起こしかねないほどだ。
以下は何人かの異なる奏者の息の流れの方向を示した短いビデオである。
これらのビデオや参考情報はいずれも、アンブシュアという複雑なテーマの表面をさっとなでたものに過ぎない。質問や指摘があれば、遠慮なくコメントして頂きたい。また、アンブシュアに関する他の記事を今後も続けて参照して頂きたい。
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私は中高位のトロンボーンです。
今、高音域に困っています。
唇がよく、下唇が震えているのですが、上唇の方がいいのでしょか?
みくさん
高音に上がる時に、けっこう思い切り唇とマウスピースを下に引っ張り下げてみるとどうなりますか?
Basil
出なかったです…
一応ハイCまでは出るのですが、Dからがとても壁が高いように出ません。
これはアンブシュアが合ってないのでしょうか?それとも慣れたら出るようになるのでしょうか?
出る出ないの前に、
・吹き心地
・音
・ハイCまでの質
などになにか違いは生まれますか?
また、高音をどのようにして練習するか、チャレンジするかという「計画」は持っていますか?
ないならひとまずこちらを参考にしてください。
http://basilkritzer.jp/archives/6886.html
中学生でテナーバストロンボーンを吹いています。
私は何ヶ月も前から音が揺れてしまうことに悩んでおり、解決策はないのかいろいろ試していたのですがなかなか直りません。
原因としては「力んでしまうこと」「唇の周りが震えてしまうこと」「息が真っ直ぐでないこと」だと思います。
私のアンブシュアは唇の上側と下側が膨らんでしまっていて逆に緩めずに吹くと合わなくなります。
今のアンブシュアの方が吹きやすいのですが変えるのが怖く、どうしても不安で仕方がないのです。どうしたら良いのでしょうか?
りんごさん
簡潔に、ひとまず伝えられそうなことを書いてみます。
・息は、唇から先は必ず「上」か「下」のどちらかに流れています。どちらに流れているかは、ひとによります。まずは「息をまっすぐに出そう」とすることをやめてたらどうなるでしょうか?
・つぎに、できればあなたの息の方向を調べてみましょう。調べ方は、つぎの二つの記事を参考にしてください。これhttp://basilkritzer.jp/archives/4934.html と これhttp://basilkritzer.jp/archives/6322.html
・アンブシュアを変えることをしなくても、アンブシュアの働き方をもっとうまくいかせることができると思います。まずは、この記事を参照に、「セッティング」を少しだけでいいので取り入れてみてください。http://basilkritzer.jp/archives/7477.html
・そして、「アンブシュアモーション」も調べてみてください。さきほど同じ、この記事です。http://basilkritzer.jp/archives/6322.html
返答遅れてしまい申し訳ありません。
ただひたすら息を真っ直ぐに出す。ということをずっと意識していました…。次に吹く時に少しそういう意識を捨ててみようと思います。わざわざ記事のURLもあって下さりありがとうございます!本当に助かりました…!
トロンボーンを吹いているのですが、マッピの大きさやアンブシュア的に金管が向いてないと言われました。具体的な事は言われてません。この場合、続けていった時に改善されたりしますか…?
金管に向いてない唇なんて、無いと思いますよ。
こんにちは。高3でトロンボーンを吹いている者です。私は高音域にいくと同時に下の歯が前に出てきてしまい、下の歯を上唇に当てて隙間を作って高音を出している。顎がしゃくれている。という感じになってしまっています。それでは、長持ちしないし、楽ではありません。どのような練習をすれば良いでしょうか。その吹き方でなれてしまっていて色々試してはいるのですが難しいです。
高音でおそらく息が上向きになっているのでしょうね。
それは間違ってないし、顎がしゃくれるのも問題ありません。
問題は、
◎その吹き方が合っているかどうか
◎耐久力や力みの原因がその吹き方なのか別のことなのか
です。
下の歯を上唇に当てているというのもはじめて聞きました。
実際にレッスン(オンラインもあります)で見させて下さい。
返事はくれないのですか?
はじめまして。
私はトロンボーンを吹いているのですが、高い音が出なくてこまっています。
正確には、その音単体だけなら吹けるのですが、曲の中(特に休みのない曲)に出てくると吹けません。
原因はプレスのし過ぎだと思います。
また、曲をずっと吹き続けるとリムが濡れ、滑ってしまい高い音が出せなくなってしまいます。
プレスのし過ぎに関しては、抜けるところで力を抜けるよう練習中です。
そして高い音の感覚をつかむためにリップスラーをするようにしています。
ですが最近はアンブッシュアが間違っているのではないかと思うようになりました。
中音域は唇の真ん中らへんにアパチュアがあるのですが、高い音を吹く時はどうしても左によってしまいます。
そのため舌の角度も左側をより上顎に近ずけた方が高い音がなりやすいのかなと思ったりしています。
また、上唇を前に突き出して吹いてみたりしています。
ですがこれらはなんだか間違っているような気がして、どう練習していいのか分かりません。
そしてこの記事を読ませていただいたところ、私はおそらく下唇の割合が多い、下向きの行きの流れのアンブッシュアだと思います。
やはり下向きだと息の上がれる高さが限られてくるので、上向きの人よりも高い音に限界があるのでしょうか?
読みにくい文章ですみません。
アドバイスなど頂けたら嬉しいです。
たかださん
お返事遅くなりすみません。
質問と悩み相談はこちらからお願い致します。
https://basilkritzer.jp/archives/10359.html