今年2012年もキャシー・マデン先生が7月1日より3週間来日されました。今回も何度かレッスンを受けました。その学びを個人的備忘録としてここに記します。
タンギングに伴う仕事
・タンギングをするということは、明確な発音のために息をせき止め、圧力を高めてそれを解放するというプロセスである。
・つまり舌は高まる息の圧力を支え、そして解放するという仕事をしている。
・強い圧力の息がマウスピースの方へ突如流れ込むわけだが、その間もちろんマウスピースとアンブシュアは一定の関係を保ちたい。
・楽器は息によって押されている。
・息の圧力の高まりとその解放という、体内の力の変化や動きもある。
・その中でマウスピース(楽器)とアンブシュア(自分)の関係を一定に保ちたいということは、すなわち「安定化」のための仕事が為されていることを意味する。
・わたしはこれまで、タンギングをしているときの方がアンブシュアに負担がかかってしまいバテやすいという悩みを持っていた。
・どうやらそれは、先に述べた「安定化」の仕事をアンブシュア(唇や顔面、顎)で「代行」していたからのようだ。これはもちろん、アンブシュアへの負荷となっている。
・また、首の比較的大きく強い筋肉でも「安定化」をやっていたようだ。これは呼吸に影響してしまう。
・キャシー先生は、一旦私に片足で立たせて身体を動かすようにさせた。そのあと吹いてみると、ずいぶんタンギングしやすかった。
・これはつまり、タンギングに伴う「安定化」の仕事が、本来担当すべき「脊椎近辺」で担われたからだ。「支える」仕事は考えてみれば当たり前だが、脊椎が適している。
・脊椎の「支え」というのは不随意的システムで、やろうと思ってできるものでも、意識してやるものでもない(できないし、やろうとしても関係のない筋肉を使ってしまうだけ)。それが片足立ちで動くと、自然とその「支える」仕組みに仕事が増えるので、そのあとタンギングするとうまくいったわけである。
・この体験を通して、いよいよ明確に、タンギングにともなう「支え」の仕事が脊椎で為されているときと、他が代行しているときの差が分かった。
・やろとしてできるものではないのなら、どうこれから活かすのか。実際に練習で試してみたところ、「仕事は脊椎なんだな」と思っておく事、「タンギングに伴って増える『支えの仕事』はアンブシュアや首や呼吸のエリアが担わなくていいんだな」と分かっておく事が非常に有効だった。タンギングに関して本当にずーっと悩んでいた事やうまくいっていなかった事の変化と解決の道が開いたのを感じた。
・タンギングによってバズィングが狂う、タンギング時の方がアンブシュアがバテる、というどうにも解決が見出せなかった現象が、これらの新しいアイデアを使って練習したところ、確実に大きく軽減していた。