演奏と練習の関係についての考察

いままで 10年、「成果が出る練習」「プラスになる練習」「マイナスにならない練習」は何なのか、どんな構造をしているかを調べ、実験し、追求しつづけてきた。

ちかごろ見えてきたのは、その鍵は「『練習』はせずに、『音楽』をする」ことにある、ということ。

上達する、うまくなる、というのは私たちに必ず備わっているメカニズムであって、自分でコントロールしたり頑張ってやるところではない。

内蔵天然自動上達システム。これは何に対しても発動する。わたしたちはこれを演奏に関して発動してほしいわけだが、そのために必要なのは演奏することだ。

演奏するとは、題材、場所、環境を選ばない。したがって、ひとりで、ある一音を奏でるときも、それは演奏として行う。

演奏できるようになるために練習するのではなく、演奏したいから演奏したいものを演奏する。それをしていれば必ずその都度なにか変化があり、上達する。

このチャレンジがある特定の日のパフォーマンスの機会をモチベーションに行われているときや、ひとりで行われている場合だけたまたま練習と形容される。

上達は、自分自身にチャンスを与えたときに起きる現象である。チャンスを与えるとは、結果に一切執着せず、自己批判をせずに、ただただやりたいことをいちどやってみることを意味する。

練習というものを、直すこと、修正すること、合格ラインに達すること、聞くに値するものにすること、というふうに捉えていると、私たちは萎縮し、緊張し、力と希望を失う。

アレクサンダーテクニークのレッスンは、私たちが備える上達システムが十分に働くための条件を整えたり、システムを阻害しているスパムアプリを探知してアンインストールする作業だと思う。

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