吹奏楽部顧問の先生より、生徒さんに関する質問を頂きました。
【質問】
本校の中3クラリネットの部員ですが、演奏中にのどの痛みが出てくる者がおります。
長い曲の通しでは、あまりの痛みに途中で吹けなくなるほどだそうです。
紐解いていけば、無駄な(演奏上必要でない)力がかかっていて、演奏するのに、適当な力や姿勢に戻れば解決するとは思うのですが、
どのように助言してやれば良いのかと、言葉に困ります。
そのような生徒さんは、これまでにいらっしゃいましたか?
また、どのように助言すべきでしょうか?
【回答】
いくつか考えうる可能性があります。
① 声を出すのと同じような感じで吹いているか、尋ねてみてください。
もし答えがYesだったら
→ 楽器は声を出すのとは全然べつの場所で音を出している。だから、声を出そうとしなくていいよ、声を出す作業は、「お休み」と思って吹いてみよう。息は、口の天井の硬いところまで吐く。それで吹いてみよう。
② 息を吸い込もうとし過ぎている、もしくは息が通る場所を奥に思い過ぎている
それに関して、ブログより文章を抜粋して貼付けます。
– – – – – –
〜息を吸い込もうとしすぎている〜
本当に不思議なのですが、吹奏楽部や音大では、「息の吸い方」ばっかり意識させられて、「たくさん吸う」ことばかり訓練させられ過ぎる傾向があります。
ひょっとしたらあなたも、その影響を受けて、
「息を吸い込もう」
としすぎているのかもしません。
それが原因で指が回らなくなっている可能性があるのです。
「吸い込み過ぎ」には3つのパターンがあります。
1:量的に多く吸おうとし過ぎ
2:位置的に奥まで吸い込もうとし過ぎ
3:その両方
〜量的に多く吸おうとし過ぎな癖を減らす方法〜
実は、楽器を構える途中でわたしたちは、かなり十分な量の息を無意識で吸っています。
そこで
1:これから奏でる音楽、フレーズ、音をを具体的に決めます。長さも。
2:それをイメージ(心の中で歌います)
3:楽器を構えます
4:構えたらそのあとは息を吸わずに、そのまま吹いてしまいます。
どうなりましたか?
・おそらく指が回りやすくなっています。
・息がよく通る感じになっています。
・音量が増したり、響きが豊かになっています。
・構えの動作に無駄がなくなった感じがするかもしれません。
・すごくお腹の仕事が増えて大変に感じたかもしれません。しかしそれは、無駄な力が減って、働くべき力が働いている証拠です。「お腹の支え」の真意をあなたは掴んだことになります。
このエクササイズをはじめは頻繁にやってみましょう。
そうすると段々、思っているより「吸おうとしなくてもいい」という実感が確かになってきます。
そうすると、量的に多く吸おうとし過ぎな癖は段々消えていきます。
〜位置的に奥まで吸い込もうとし過ぎな癖を減らす方法〜
多くのひとが、実際には息でなく食べ物が通るところで息を吸い込もうとしてしまっています。これは、位置的に置くまで吸い込もうとしすぎています。
そこで
1:唾を呑み込んでみてください。
2:そのとき使った筋肉や力は、息を吸うときには一切必要ありません!
3:息を吸うのは、思っているよりもっと前です。
4:のどぼどけの左右の両側に触れてみてください。息が通っていくのはそのあたりです。
5:口の天井を舐めてみてください。前の方は硬く、後ろの方は柔らかいですね。その柔らかいところまで息を吸い込もうとする必要はありません。硬いところで十分です。
6:耳たぶの下に、背骨が通っています。その前に食べ物が通る場所があります。さらにその前を、息が通るのです。「吸い込み先」のイメージをもっと前へと修正しましょう
(背骨、食道、気道の位置関係が分かりやすいイラストがこの本に載っています)
これで、イメージの修正が済んだので、
7:新しいイメージで息を吸い、音を出してみましょう。
いかがですか?
・おそらく指が回りやすくなっています。
・息がよく通る感じになっています。
・音量が増したり、響きが豊かになっています。
・アンブシュアがラクで反応がスムーズに感じるかもしれません。
・タンギングがやりやすくなっているかもしれません。
・ちゃんと吸えていない感じがして不安に感じるかもしれません。しかしこの不安感は、「変化できている証拠」です。実際に演奏するうえでは全く問題なく、むしろやりやすくなっていることに気付くと、不安は消えていきます。
まずは、試してみてください。
③楽器を持ち上げる作業が途中で終わっていて、その結果、顔が楽器の方に落とされ、それが喉を圧迫している可能性
これついても、ブログより抜粋致します。
〜顔を楽器の方に落としていませんか?〜
楽器を構えるとき、楽器を口の方へ持ってくる途中に、いつの間にか顔を楽器の方へ向かった落としていることがよくあります。
そうなってしまうと、指が周りにくくなるだけでなく、色んな面で吹きにくくなります。
① 頭を動けるようにしてあげて
② そうすることで身体全体を動けるようにしてあげて
③ そうすることで マウスピース/歌口を口まで持ってきて付ける or リードを口の中まで持っていく
と意識してやってみましょう。
その際、
「顔を楽器の方にやらないように気を付けよう」という否定文方式で考えると、硬くなります。
肯定文/能動文で考えるのが、身体にとってはスムーズにメッセージが伝わるので、あくまで 楽器(マウスピース/歌口/リード)を口の方へ動かすことを意識しましょう。
実際やってみて下さい。やってみると、いかがですか?
・おそらく指が回りやすくなっています。
・息がよく通る感じになっています。
・音量が増したり、響きが豊かになっています。
・そうしようとしていないのに、楽器が高く構えられているように感じるかもしれません。
・肩こりが減るかもしれません。
ぜひ試してみてください。
④のどや口を広く開けようとしているのが原因になっている可能性
こちらの記事をご覧下さい→ 「のどを開ける=のどを締めない」
お役に立てれば、幸いです。
ホルン歴1年の者です。
現在、高音をだす時に喉を締めずに楽に吹きたいと思っているのですが、上手くいっておらずここでのエクササイズでも楽になった感じがしなかったので、ご相談させて頂きたいです。喉を楽にして、もっと楽に吹けるのではと、考えた根拠は以下の2つです。
現在、ハイB以上の音を出す練習をする際、その下のF.Gより反響音が弱く聞こえ、もっと、きれいに部屋ごと響かせたいと思っています。
加えて、ハイC以上の音を練習していると、喉の痛みを感じることがあります。原因を探るために演奏中に動画を撮ってもらったところ、喉仏が上に動く動きが特に観察されました(それより下の音でもすこし喉仏が上に動いています)。他の長年演奏している複数の友人の演奏では、喉仏の下への動きが観察されています。そのため、この違いは喉の痛みを形づくる何らかの動きが関連しているのではと考えています。
何か喉を楽に吹く、他に感覚を身につける方法はありますでしょうか? 自分でも意識はしているのですが、楽になった、よく反響している、という感覚を得たことがありません。
それとも的外れな可能性が高いでしょうか?
ご返信をお待ちしています。
捕捉で、喉仏の上への動きが喉を締めてあると判断したのは、唾を飲み込む際の喉仏の動きに酷似していたためです。
吸うとき、マウスピースを使わずに息を吐くとき、歌うときはこの動きは観察されません。
あと、私は中高位置タイプのアンブシュアです。
オーケストラのホルン吹きさん
喉仏の動きについては、たまたま周りのひとと逆なだけで、あなたと同じひとで問題ないひともいるかもしれませんから、
それだけで例外的かどうか、問題かどうかは判断できないですね。
息を吸う時、「ツバを飲み込むとき」とおなじ「感覚」はありますか?
Basil
少しあります。言葉にするのは難しいですが、唾を飲み込みかけ、あるあは飲み込みはじめ、のような感覚
です。
なるほど….
試しに、その感覚の気配がちょっと出てきたときに、次ぎの二つを試して比べてみてください。
① その感覚を「もっと増やす」ようなつもりで、ベロと息を口の天井の硬いところめがけて押し上げるようんつもりで音を上がる
② その感覚を「打ち消す」ようなつもりで、ベロと息を口の天井の硬いところめがけて押し上げるようんつもりで音を上がる
やってみると、何か変化はあるでしょうか?
Basil
①についてですが、高音域では、やりすぎなのか、息が吐けなくなりました。中音域では音が響きにくくなり、少し音程が上擦ります。
②についてですが、出そうと思った音(ハイc)が出なくなりました。ハイBや、A(F管)に音程が落ちます。
また、その時は恐らくマウスピースではハイcのバズィングをしながら、上記の音が出ています(吹いてる間に楽器を外してみた結果)。
①でわざと喉をしめてみた結果、高音で必要な息圧を補おうとしているのかなと思いました。ただ、高 音域では腹筋がとても疲れるので、もう少し効率をあげないといけないのではないか、とも思っています。
なるほど、②の方が結果が悪いということは、たしかに声門を閉じたりベロを上げたりして息の通り道を狭くしたり圧力を上げたりすることに、
「飲み込む感覚」を感じるときにやっている何かが関わっているのかもしれませんね。
とりあえず、飲み込む感覚や喉が上がる動きを消そうとしたりやめようとするのは良い結果には結びつかなさそうですから、
それがあってもそこをどうこうしようとするのじゃなくて、普通に上達のための工夫や努力をしていくろいいでしょうね。
Basil