「間違えたら→とっさにやり直し」は有害な癖

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ある日、

まちがえたところ、
音が外れたところ、
気に入らないところを



とっさに慌てて「吹き直す」ことや「やり直す」ことを一切やめてみました。



音を出す前に、

「どんなことが起きても、音が外れても、力んでしまっても、ただただ受け止めその体験を味わいきってみたら、どうなるだろう?」

と思ってから音を出すようにしてみたのです。



すると、自分がいかに、音が外れることを恐れ、そして実際に音が外れると自分を責め、はずれたということやミスをしたということ「無かったことにする」かのようにとっさに慌てて「吹き直す」ということをやっていたかがよく感じられました。

このときこそ、いちばん力んでいて、音楽のことはなにも考えられなくなっていて、最もダメな状態になっていました。

音を出すとき、出しているとき、ミスした瞬間ではなく、「ミスした後にとっさにやり直す」ということをしそうになっているときがいちばん、上達につながらない自分自身の在り方だったのです。



そういうわけであらためて、

「とっさに吹き直す」
「慌ててやり直す」
「無かったことにする」
「慌てて取り繕う」
「ミスを隠す」

のをやめてみることにしました。



すると、これまでどうしても手放すことができなかった、発音をする一瞬前の首や喉の力みがすごく減ったのです。

そして、スタミナが増しました。無駄な消耗が減ったのです。



バテてしまったら、それはそれで構わない。
バテて音が外れたら、それはそれで構わない。

その出来事をちゃんと受け止めてそのまま体験する。
必要なのはそれだけなのだと思いました。



考えてみると、音を当てるための身体的コントロールは、決して意識的な作業ばかりではありません。無数の情報処理が脳と身体に起き、それによって「望んでいる音」を生み出す身体的な動きが生み出されています。

音が外れたのなら、外れた瞬間にそれは分かる。
それで十分なのです。
起きたことを否定し、塗り隠すかのように「やり直す」必要はない。

なぜなら、外れたのならその出来事の体験が貴重な情報となり、脳と体は次のチャレンジにおいて入力を変えてくれて、望んでいるものにより近づくような動きを出力してくれるからです。



「外れた」
「失敗した」
「ミスした」

という出来事を否定し、覆い隠そうとすると、たいてい身体をがガチガチになっていませんか?

わたしは、この日を境に、一段と演奏に関しての身も心もラクになる方向に進みました。

もちろんいまでも緊張するようなことやガチガチになってしまうようなことはあります。でも、標準的に「抱えている」緊張や硬さは確実に減りました。



吹き直さなくていい。やり直さなくてもいい。

出来事を、失敗も不安も緊張も、受け止めて、体験する。

そして、その情報をもとに「次はさっきより何らかの面でうまくやってくれる」と自分の心身を信頼すればそれで事足りるのだと思います。


Basil Kritzer




11 thoughts on “「間違えたら→とっさにやり直し」は有害な癖

  1. その通りです!
    私はよく外します。
    でも、後悔はしても自分がしたい音楽に悔いが残ったことはありません。
    悔いが残る時は臆病になって表現ができなかった時だけです。

    もちろんミスがない方がいいのですが、ベターなだけでベストなワケではないです。

    もっと自分を出そうよ!

    • ほんとにそうですね、本番はミスした・しなかったではなく、やりきったか悔いが残るかですよね!

      Basi

    • 自己評価が大切です。

      自己評価を正確かつ肯定的にできるようにするのに、思慮が必要ですね。

      Basil

  2. ボクはホントによくはずします
    ホルンという補正を差し引いてもおそらく同じ年数吹いたホルン吹きでは一番音をはずしている自信があります
    だからこそこういう考え方ってすごく大事ですし、救われますよね
    普段からこうなりたいんですが、なかなかなれないです……(^^;
    一個ミスしたらすぐ怖がってしまいます

    • いりぼうさんの演奏を直接知っているけれど、あなたは変にはずしていません!
      アマチュア音楽家として、非常に「うまい」方です。

      情熱と努力により、ほんとうにすばらし演奏能力を身につけておられます。
      これから、もっと良くなっていくことでしょう。
      おたがい、これから30年一緒に上達し続けましょう。

      Basil

  3. 演奏会の中とかでも、全くミスなく演奏できる事など無いです。吹いた音はもう出ているので吹き直しはダサいと学生時代には言われたものです。
    コンクールとか緊張する場面でも、間違えたらどうしようと考えるより、音外しはそれほど問題にならないよと言われました。
    今思うと良い先生に教わったと思います。

  4. 気持ちばかり前のめりになって練習が苦しい日が続いていました。
    ブログを拝見して、とても救われた気持ちになりました。ありがとうございます。

  5. Pingback: 唇の力み過ぎ、MPの押し付けすぎの「メカニクス」 | バジル・クリッツァーのブログ

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