高校生 Tuba 吹きのAさんよりご質問頂きました。
【質問】
Tuba歴3年半になる高校生です。自分は奏法について全く知識が無いもので、練習では良い音のイメージを作り、リラックスして息を出してイメージしている音に近づけようとしています。
そこで最近気にし始めているのが「のどと頬の膨らみ」です。楽器を吹き始めた頃からずっとそうなのですが、リラックスすればするほど膨らむのです。
のどを広げるのはあまり良いことではないと聞いたことがあり何度も直そうとしたのですが、のども頬も意識して膨らませているわけではないので直せたとしてもすぐに膨らみます。
ただ、果たしてこの癖は直すほどの悪い癖なのだろうか、と思うこともよくあります。
分かりづらい文章で申し訳ありませんが、こういったことは直すべきなのでしょうか?また、どのようにして直すのかも教えて頂ければ幸いです。
【回答】
はじめまして。
のどと頬の膨らみに関して、実際に貴方の演奏を見ない事には何が起きているか、どうしたっていったらいいか分かりませんが、一般的に言えることをここではお答えしていきたいと思います。
実は、いくつか言えることがあります。
①全く問題ない可能性もある
のどや頬が膨らんでいても、まったく問題ない場合があります。
とくにトランペットやホルンなどマウスピースが小さい楽器に関しては、演奏すているときに喉や頬が膨らんでいるが全く問題なく素晴らしい演奏をするプレイヤーがたくさんいます。
チューバの場合、頬の膨らみは本当に多くのプレイヤー、私の印象ではプロのプレイヤーの半数以上でごく普通に見受けられますから、頬のふくらみを解消したほうが明らかに確実に演奏が向上する場合を除いて、直そうとしない方がよいのではないか、と思います。
②顔をマウスピースに近付けていくときに、股関節を使えていない可能性がある
多くのひとが、股関節(座っている場合、イスから10センチくらいの場所にあります)の存在を忘れたり、あるいは股関節を動かさなくなってしまっています。
その結果、わたしが「ニセ股関節」と言っている場所、胴体の真ん中やウエストのあたり、あるいは首から身体を曲げることをしてしまっていることが多いのです。
のどの膨らに関しては、その可能性があります。
というのも、顔をマウスピースに近付けていく際、股関節を使わずに、ニセ股関節や首ばかりでまかなおうとすると、胸郭や気道のあたりがぐにゃっと曲げられていて、たくさんの息を吐くときになかなか息が通りにくくなっていることが多いのです。
そのせいでのどが膨らんでいるケースをこれまで何度か見たことがあります。
楽器を構えて、口をマウスピースに付けるとき、股関節から胴体をまるごと一個で動かすような意識で吹く体勢をととのえてみるようにしてください。
股関節の発見方法、エクササイズについてはこちらをご覧ください
→ 『背スジを伸ばしなさいは禁句』
また、9月5日に学研より『バジル先生のココロとカラダの相談室〜吹奏楽部員のためのアレクサンダーテクニーク〜』楽器演奏編&メンタルガイド編を発売します。
その楽器演奏編において、楽器別アドバイスを書いています。チューバもありますので、それもとても参考になるかと思います。
『バジル先生のココロとカラダの相談室〜吹奏楽部員のためのアレクサンダーテクニーク〜』楽器演奏編
『バジル先生のココロとカラダの相談室〜吹奏楽部員のためのアレクサンダーテクニーク〜』メンタルガイド編
また、ひょっとしたら、「リラックス」を徹底し過ぎている可能性も関係しているかもしれません。
リラックスしようと考えるより、「使いたい力を好きなだけ存分に使おう」という意識の方が、矛盾なく楽しく前向きに練習しやすいように思います。
お腹の力、ドンドン使うといいですよ!
参照→『息の圧力の作り方』
ぜひ試してみてください。