【レバーの「コツン」で発音がクリアに!】

〜ボコボコ・ぷるぷる・グチャグチャ発音問題のヒント〜

チューバとホルンの多くは、ロータリーヴァルブシステムな訳ですが、それ故に共通する悩みとしてよく接するのが、

「速いフレーズで発音・タンギングが汚くなる」

というものです。

発音の質が、なんだかボコボコ・ぷるぷる・グチャグチャしているときに、かなり頻繁に見かけるのが

「タンギング(発音)とレバーを押すのが同時になっている」

ケースです。

チューバやホルンのロータリーヴァルブは、その中で弁が回転しきったところで、管の長さが切り替わって音を変えることができます。

ということはですね、発音するのはその回転が完了した後でないと、中途半端な管の状態で発音していることになるわけです。

で、実際そうなっている場面にレッスンでよく出会います。これはキーボードを押せば音が鳴るようなイメージになってしまっているからでしょうが、レバーを押す・動かすタイミングとタンギングが同じになっていて、ロータリーの回転が完了していないタイミングで発音しているんですね。

その結果の音は、管が中途半端なタイミングで始まるのと、その一瞬あとにさらに回転が進んで管の状態が変わるのが相まってか、ボコボコ・ぷるぷる・グチャグチャとした音になってしまってるようなのです。

そういう生徒さんには、原理的には

①アンブシュアと息を用意
②レバーを動かし切ってロータリーの回転完了(管を用意)
③発音・タンギング

というのが金管楽器の仕組み(ピストンやスライドも、②のところを当てはめれば同じこと)なんですよ、と説明します。

そして、それを実感する練習法が次のようなものです。

レバーをなんどか押してもらいます。そして、レバーを押したら一瞬遅れてロータリーが「コツン」あるいは「トン」と止まって回転が完了するのが、指に伝わってきます。当たる・止まるようなごく小さな衝撃の感覚です。

①「コン」を感じたら
②「発音」です

と説明しながら。

音階やいまとりくんでいるフレーズなどで、ゆっくりそれを意識しながら吹いてみてもらいます。

すると、発音の濁りが減ったり、発音時の吹きづらさが軽減するのが吹いているひとにはわかります。

あとは、頭の中で「原則としてコン→発音、コン→発音なんだぞー」と思っておいてもらいつつ、インテンポで演奏してもらいます。たいてい、それだけで最初よりずいぶんクリアな演奏になります。

大事なのは、「回転完了が発音より先にあるんだ」という仕組みを理解してもらうことです。その理解が出来ると、キーボード的なイメージは薄くなって金管楽器の仕組みに合ったイメージに変わっていけます。

どんな楽器でも、自分の楽器の仕組み・特性に合致した理解・イメージってとても重要だし、いろんなストレスを減らしてくれるんです。

Basil Kritzer

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