【声を労わる「聴き方」と「息」】

〜効率のよい声の出し方〜

わたしはレッスン・セミナーを仕事としているので、1日に何時間も、何十人何百人に聴こえるような声を出し続けるようなことは頻繁にあります。

しかし、子供の頃から喉や扁桃腺が腫れやすいので、長時間大きめの声を出し続けることは、
人一倍声の出し方を効率的にやっていかないと仕事の体力が持ちません。

きょうは二つ、わたしが自分で意識していることをお話しします。

【①響きを聴く】

まず、「響きを聴く」ということを役立てています。

これは、そのとき声を出している場所や会場の「反響音」をよく聞きながら声を出すということです。

まず大事なのは、「声」というのは「音」なので、「音」の性質として実は「飛ばす」とか「届ける」ということは
実際にはできません。イメージとしては、もちろんよくわかりますが。

「音」は、生み出されたらあとは音本来の性質として空間に伝達していきます。
ですから、「音を飛ばす」のではなく、「伝達していくような音を生み出す」ことを考えるのです。

「伝達がよい音・声」は、反響音を聴いていると聞き分けることができます。

「よい」かどうかの判断は、これには「響いている音はこういう音なんだ」と、お手本になるような生音を、
間近くで聴くことで自らの中にその教養を育てていく必要は、確かにあります。

そこが、音楽のレッスンの最も重要な役割のひとつでしょう。

しかし、判断はできなくても、「聴く」ことはだれでもできます。

判断はしなくても、ちがいを認識する練習をしてみましょう。

〜響を聴く練習〜

いまいる部屋の、いみる地点で「アー!」と大きな声を出す
反響が聴こえるはずです。よく響く部屋も、あまり響かない部屋も。
向きを変えて、また「アー!」と大きな声を出す
反響の感じが変わります。
いろいろな向きで、声を出しましょう。毎回微妙に、反響が異なるはずです。
向きだけでなく、立つ場所もいろいろ変えてみましょう。
そうやって、「反響に関心を向けて、ちがいがあることに気づく」。その時点で、反響音を聴くことができていることを意味します。

この練習で、すでに「響きを聴くモード」になっています。

その状態で、声を出すようにするのです。
あるいは、声を使っている間、自分の声の反響を聞きながら声を出し続けるのです。

それにより、それほど意識しなくても、「その空間に対してちょうどいい声量、声質、または方向」で声を出せるように感じています。

十分聞こえてるのに必要以上に張り上げるでもなく、
聞こえづらいのにそれに気づかず、人に「聞こえない」と言われて焦って無理するでもなく、
声が吸収されてしまうような向きや立ち位置にいるのに気づかず過ごしてしまうのでもなく。

だから、効率的に声を出していけるわけですね。

【②息と声帯のバランス】

声帯の調子も、息の調子も、日々変わっていきます。
時間帯によっても変わります。

ですから、いつも同じような感覚で声を出そうとすると、ズレが生じるわけです。

その時々、「どれぐらいの意と、どれぐらいの声帯の力で声が出るか」というのをちょっと探ると、
そのバランスを見つけなおすことができるし、声のウォームアップになるようにも感じています。

〜息と声のバランスエクササイズ〜

ラクに出せる高さと声量で、「アー」と声を伸ばします。
同じ息のまま、徐々に声帯を緩めます。声はその結果「ハー」という、声のしない息の音だけになります。
「ハー」から初めて、徐々に声帯の力を強めていきます。ちょっとガラガラした振動のような声が出始めると思います。そしてやがて「アー」になります。
こうして、「アー」と「ハー」を、声帯を緩める⇄力を戻すということを行き来します
声と息の「境界線」を探るわけです。この行き来が、はじめよりすこしスムーズになるまでしばらく続けます。

これを、セミナー前や、ちょっとした休憩のときなどにほんの1分〜2分だけでもよいので、
やるようにしています。

声の負担がだいぶラクになるように感じています。

Basil Kritzer

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