〜姿勢を気にしてはいけない!〜
レッスンしていてよく生じる場面が、こんな感じのやり取りです。
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バジル
『これこれこうして、こうしてみてください。……演奏はどうなりましたか?』
生徒さん
『高い音が楽に弾けて、ミスが減りました。』
バジル
『効果的でしたね!では、そういうやり方を今後はしばらく取り入れて下さい。』
生徒さん
『でも先生、これだと姿勢が悪い気がするんですが、いいんでしょうか?』
バジル
『・・・目的が、演奏の改善なら、それでいんですよ。』
生徒さん
『でも、姿勢が気になります。』
バジル
『極論ですが、姿勢が悪いけれど世界一の演奏か、姿勢は美しいけれど凡庸な演奏かならどちらを目指したいですか?』
生徒さん
『良い演奏の方を目指したいです。』
バジル
『もしそうなら、演奏がどうなるかだけを判断材料にする必要があります。姿勢の見た目が良いか悪いかを気にするエネルギーは、気にする分だけ演奏の向上からは遠回りです』
・・・わたしは実は中学生の頃からこの事がすごく気になっていました。
目にした教則本に、妙にピンと背中を伸ばした、そんな演奏の姿勢なんか見たことがないような体勢の演奏姿勢の写真が「お手本」に載っていました。
でも、そうやっても演奏しづらいので、演奏家の演奏写真を見ると、全然ちがう姿勢なんです。背中を反ってなんかいません。
それを見てわたしが思うことは….
「どっちやねん!」
でした。(笑)
いま言える答えは、「こっちやねん!」です。
素晴らしいプレイヤーの演奏写真の方が、「見た目が良いか悪いか」を示すお手本写真よりよっぽど演奏の参考になります。
姿勢に限らず、
・動きすぎなんじゃないか….
・左右非対称でダメなんじゃないか….
・ラクしすぎているんじゃないか….
そういうことでも同じような気になり方になっていることはよくありますね。
そういうときは、とにかく「自分の演奏にとってはどちらが良いか」を、演奏の結果や質で判断するようにしましょう。
Basil Kritzer
演奏中に身体がよく動くことについては二律背反のところがあるように思います。無理に動かさなくすることで余計な力が入ってリラックスできなくなったり、大きなブレスではどうしても身体も大きく動きます。反面、動かし過ぎは呼吸行動やサウンドに変な脈動がついたり、アンサンブルでは首席がリードを取るべき時にセカンドやサード奏者が動き回ることはとてもやりづらく迷惑でもあります。オーケストラでは、アメリカでは身体を不必要に揺することはしませんが、ドイツのオーケストラでは皆さんかなり自由に動き回ります。私はトロンボーンなのでどちらかというと動かさないほうが自分には有利に感じています。
じゅにさん
・動く/動く、どちらが良いか?
という問いと、
・どのような範囲・種類の動きが有益か?
とい問いは異なる問いですね。
そして、
・何を以って良い・有益と判断するか?
という問いもまた別の問いです。
全部必要な問いですね。
Basil