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新訳:Singing on the Wind です。前回はこちら
【集中力】
集中力とは実のところ、それが外部からの影響によってであれ内面の思考によってあれ、やっていること以外のことに気を散らすことを自分にさせないことを指します。
わたしたちはだれしも四六時中、自分の中で止むことのない会話をしています。
なんのことかよく分からないですか?
いま、「どういうことだ?」と思ったその思考がまさにあなたの中の会話です。
わたしたちはずっと、自分の中で問いを持ち、意見を作っています。
この会話は、すごく集中力を阻害することがあります。
特に、それが例えば自分のホルン演奏に対して持つ意見のように、否定的なものであると集中力をさらに阻害します。
演奏会で、なかなか良い感じで演奏していたのに、前触れも理由もなく音を一箇所ハズしてしまったとしましょう。
そんなとき、あなたはどんな反応をしますか?
「うわ!なんてこった!ハズしてしまった!」
「なんて恥ずかしいことをしてしまったのだろう!」
「こんなことを起きてはならなかったことだ!」
「もっと練習しなきゃ!」
演奏しながら、こんな思考をしょっちゅう、いつも考えていますよね。
しかし、もう起きてしまって変えられない出来事に対しての、あなたのこのような反応によってあなたはあなたの集中力をすっかり損なってしまっているのです。
これと似た状況に、これから外しやすい音、たとえばハイC#から始まるパッセージを演奏するというときに、こんな心配がよぎるような場面があるでしょう。
「もしここでハズしたら、いったいどんなふうに聴こえてしまうだろう?」
「ここでハズしたら、恥晒しいがいのなにものでもない!」
こんな会話もありますね。
この会話には、二つのことが含まれています。
まずひとつめは、ハイC#のための準備や集中を実は行っていない、ということ。
ふたつめは、あなたのエゴ(「恥晒しになってしまう!」という意識)が目の前のやるべきこと、究極的には音楽の邪魔をしているということです。
まさにこのふたつのことにこそ、解決策もまた存在します。
・目の前の仕事に集中しましょう。やるべきことと関係のない思考に、自分の気を散らさせない。
・たとえば音をハズすというようなことが実際に起きたときに、ハズしたのが自分でも共演者でも反応しないように!それはもう起きたことであり、もう変えることはできません。なので、目の前のやるべきことに集中しましょう。
そもそも、もし音をハズすことがなければ、みんなホルンは簡単に演奏できる楽器だと誤解してしまいますからね!
自分自身の集中力を試したければ、たとえばこうしてみましょう。
エチュードを一曲選び、演奏します。
最初から吹き始めて、いったいいつまで思考が演奏以外のことに流れ始めずにいられるか、そういった思考や何かほかのことの影響によって気が散らされてしまわずにいられるか、観察してみましょう。
おそらく、少しくらいは集中力の練習をして改善させる余地がすぐ見つかることでしょう!
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続く
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