マウスピースのプレス。これについては、色々なところで様々なふうに議論されています。
まず結論から言うと、必要です。
「プレス」と言うと、強く押し付けることを思い浮かべがちですが、それは「やりすぎ」であったり「やり方がマズい」ということであって、「プレスをしてはならない」ということではありません。
問題はそのやり方なのです。
「プレスしてはいけない」といくら思っても、物理的に絶対マウスピースと唇が接着する必要があるのです。ですから、プレスしてはいけないと意識すると、いろいろな葛藤や緊張に悩んでしまいやすい傾向があると思います。
「プレスしてはいけない」と思うとどうなるかことがあるか。
必要な接着圧力を、自分の頭(顔)を マウスピースの方へ持っていてしまうのです。
これは、頭と脊椎との関係の中で体全体をとおして干渉的な力みを生み出します、
いわゆる「姿勢の悪い」状態につながります。
確認してみましょう
試しに、マウスピースを口から20センチ離してみて下さい。
そして、そこに頭を持って行って下さい。
かなり苦しい姿勢になり、呼吸が邪魔されるのが分かると思います。
これでは、フォルテや高音に必要な体の芯の支えや息のしっかりしたコントロールがとてもやりづらくなってしまいます。
「プレス」を悪い事だと思っていると、これをほんの数センチあるいは数ミリ、気付かないうちにやってしまいます。あるいは、とくにプレスに関して考えていなくても、癖のひとつとして、「頭を楽器(マウスピース)の方へ持って行く」ということをやっているかもしれません。
それでは、どうしたらいいのでしょう?
マウスピースを最後まで自分の方に持って行けばいいのです。
頭が動いて身体全体がついていきながら、腕や手を使って、マウスピースを唇に接触させればいいのです。
高音やフォルテでは、その作業をより積極的にやりましょう。
これが「プレス」です。「プレス」ですが、悪いプレスではありません。必要であり、そしてアンブシュアや呼吸を含む体の機能を邪魔しない「プレスのやり方」です。
より高い倍音に移行する際、なかなか上がりづらいことはありませんか?
もしそうなら、「音を上がろう」とする際、頭がどう動いているか観察してみて下さい。
もし、頭を動かす事がマウスピースと唇の接触を強くする主な要因になっていれば、頭と首は楽なまま、手や腕に手伝ってもらって、マウスピースをより自分の方へ動かしてみましょう。その際、息はたっぷり使いましょう。息の流れが音を生みます。
是非試してみて下さい。