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上手に演奏できるひとがまぶしくてまぶしくて…
そして自分自身がふがいなくて悔しくて…
「うらやましい」という感情は音楽人生において、とーっても大きな要素です。
そんな羨望感情について、しっかり考え、向き合い、プラスに働かせる方法を考察していきます。
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【羨望はよいもの】
音楽をするひとにとって、羨望の感情は素晴らしいエネルギーです。まっすぐ迷わずそのひとの成長すべき方向を示し、そのための努力を促してくれるから。
羨望は、そのひとが得られるはず・持っているはず・辿り着けるはずの性質を見たり聴いたり感じたりするときに生まれます。
肝心なのは、羨望は人や物品対象じゃないこと。ある人や物品に感じる何らかの性質を羨望している、というところのです。
楽器がうまいAくんでなく、Aくんの上手いという性質に羨望がある。素敵なパートナーがいるBさんでなく、人生を共にするその幸せに羨望している。Cさんの高い洋服でなくその洋服の素敵さや上品さに羨望しているのです。
ですから、羨望のエネルギーは美しいものや素敵なものの良さを感じとるセンサーがあるという意味で、とても良いことなのです。
【対象の特定】
羨望の対象になっている性質は、必ず自分にもふさわしいものだったり到達できるものだったりします。それが何かを見付けるのが肝心。絶対到達できないものに意識が向いているならば、それはあなたにとっての羨望の真の対象ではないのです。
羨望の対象になっている性質が見つかったら、あとは、その性質に向かうための努力をいますぐにほんの僅かでも実行すると、感情が落ち着いて晴れやかになります。
【羅針盤】
ですから、羨望があるときはこまめにその感情を晴らす適切な行動していれば、必ず成長し夢の実現に近づけるということ。とてもアテになる羅針盤なのです。
注意したいのは、羨望の感情の放置。羨望感情のエネルギーを放置し溜めると、腐って毒になります。その毒が他人に向くと悪質な嫉妬にな、自分に向くと何らかの自己否定になるからです。羨望エネルギーは使ってなんぼ!なのです。
【実例】
わたしも、しょっちゅう人や物事に羨望感情を経験します。
その対象は実に幅広く、多様です(笑)
なんと、あのリオネル・メッシ選手(現代最高のサッカー選手のひとり)のプレーや映像を観ているときにすら感じることもあります!
ここでもし、わたしが「リオネル・メッシ選手」のことが羨望感情の中心であると誤解すると、大変なことになります。
リオネル・メッシ選手になってなることも近づくこともできないからです。わたしはしがないホルン奏者。彼は現代最高のサッカー選手。話になりません…!
そこでわたしがやるべきことは以下の通り。
1:ゆっくり落ち着いて観察・考察する。
「メッシ選手を観ているときに、どんなことを考え始めるだろう?」
「どんな気持ちになっているだろう?」
「自分の中のなにが刺激されているんだろう?」
「メッシ選手の本質的魅力やメッセージ性ってなんだろう?」
2:羨望エネルギーのボタンを押している本質的なものを見つける
「そうか、あんなに有名で、ぶっちぎりで上手くて、賞賛されて、お金持ちなのにいつも『全試合フル出場しないと幸せじゃない』と言っている。シンプルにサッカーが好き、サッカーがやりたい、でプレーしている。その純粋・素朴さと、それがもたらしているパワーに感嘆しているんだな」
「超一流の選手たち相手でも、簡単にドリブルで抜き去ったり、観客ですらスリルでどうにかなりそうな状況でものすごいちからの抜けたプレーをあっさりやっちゃったりする。その自然体・遊び心にウキウキするんだな」
3:その性質に向かって自分なりに進むためのいますぐできる簡単な努力する
「よし!自分の場合はブログの書き方や講座のやり方に当てはめられそうだ」
「講座がすごくうまくいっていて、大人数がいて、拍手や賞賛のコメントをいただいている状況でも、あらたまってしまわずに心の赴くままに冗談のひとつやふたつ言ってみよう!」
「講座に来ているひとがすごく自分に期待しているとしても、分からないことは『あーそれは全然知りません、分からないです!』、苦手なことは『苦手なんですよ〜』と正直に言うようにしよう!」
ここまでくれば、羨望感情は消えています。
相手でなく、自分のことに関心が向きます。
相手と自分の比較や優劣をいつの間にかまったく気にしなくなっています。
そして、何より素敵なのは、「自分がこれからどうするか・どうしていきたいか」に関して等身大の、でもとても効果のある努力や工夫のポイントが見つかっているのです。
それが羨望エネルギーの役割なのです。
Basil Kritzer