私のメルマガをご覧になっている S さんより質問を頂きました。メルマガでは、私がこれまで出会った色々なホルン奏者や先生から教わった考え方や練習法を紹介しています。その中で、ロンドンのホルン奏者 Pip Eastop 氏の練習についての考え方を紹介しました。
その一部に、こんな説明があります
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【練習3】
内容:
半音から長10度ぐらいまで、あらゆる幅の音程の跳躍を上下ともにランダムに組み合わせた「モデル」をさらっていく。跳躍は、いっさいグリッサンドのない完璧なスラーで。タンギングを用いればそれは発音のし直しに過ぎないので、あくまでスラー跳躍。
意味:
息のコントロールと、唇の張りのコントロールを完璧に協調させることで、完璧な跳躍技術となる。これが出来れば、A&B&C&Dを実現することになる。
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これを受けて、S さんはこういう質問を下さいました。
【質問】
スラー跳躍の件で質問です。
オクターブの間隔でリップスラーをやるとどうしても間の音が入ってしまうんですけど、どうすればよいでしょうか?
【私の回答】
実はですね、管楽器演奏をしているとき、息を吐きながらも主に胸郭の「吸うための筋肉」を同時に働かせて、それで息が出て行く量やスピードを調整しています。これは、知らなくてもみんな無意識的にできるようになっていきます。
スラーを、いっさい間の音を入れずに完璧に聞こえさせるには、実はこの働きを利用するのです。音を変える(次の音のアンブシュアにする)一瞬前に、息を吐きつつ(息を吐く筋肉であるお腹の筋肉は ON にしたまま)、「息を吸う」筋肉をいつもよりもっと ON にして、「息が出て行かないように」するのです。つまりは、息を止めるということでもある。でも、のどを閉めて止めるのではありません。
これを全部考えてできるようにするのは、大学生くらいにならないと難しいものです。
ですから、試してみて難しければ、単純に音と音の間に8分休符あるいは16分休符を入れてみて、
スラーの後の音をブレスアタック(タンギングを用いない発音)で出してみましょう。
要領はこれと同じなので。
それができたら、ちょっとづつ休符を短くし、聞こえなくさせていきましょう。
そういう要領です。
アンブシャービルディングをおもいだしました。ありますね。そのえきそさいず!私が無意識のうちに出来ていた事を、簡潔明朗に説明していますね。素晴らしい。でもその練習って古典物やるときにやっていてよかったと思います。ナチュラルホルンでやると簡単なのに今のホルンでやると大変なのは不思議ですね。ナチュラルホルンの吹き方もそんな所にこつがあるのでしょうね。
阿部真美さん おはようございます。私は、高音の吹き方のコツを掴んだのは、ナチュラルホルンを知人が貸してくれて、家でいろいろ試してみているときでした。たぶん、楽器の軽さがまず呼吸をフリーにしてくれますし、楽器の重さを支える仕事がアンブシュアにおいても少ない。そして全てを息、唇、手と「自分の身体」で行うために、奏法が見つかりやすいのではないかと思います。
バジルさん、私昔、ナチュラルホルンを吹いたときに、ジーンライフ先生に、ナチュラルは左手の指の心配しないだけ楽に吹けます。音楽に集中できますよ。と言われた事があったこと思い出しました。
最近リコーダーをやるようになって、楽器が軽いとどれだけ自分の体と向き合う事ができるかが分かるようになった気がします。(まだATのレッスンは一度も受けた事ないので、あっているかどうかわかりませんけれども)いつもとてもためになる事を教えて頂きありがとうございます。
阿部真美さん 楽器が軽かったり、シンプルだったりすると、身体への負担は少ないですね。道具が原始的な方が、私たちの心身は適切に反応しやすいようです。道具が高度になればなるほど、便利は便利なのですが、心身の反応は難しくなると、F.M.アレクサンダーも言っています。