アマチュアホルン奏者の Kさん より質問です。
【Kさん】
バジルさん
こんばんは、Kです。
仕事が忙しくレッスン行けないので、メールで少し相談よろしいでしょうか?
夏頃からの数回のバジルさんのレッスン後、音域の面ではかなり良くなってきました。
ただ、以前からの悩みである「音を外す」がとても怖いんです。
ここ数ヶ月で比較的プレッシャーのかかるソロをなんとか本番吹けて、少し自信持っていたのですが、先週また練習でソロがなかなか当たらず、落ちこんでいます。
ある曲のホルンソロなんですが、最初の音を外さないか、またブルってしまわないか、に正直ビビってしまってます。
普段から最初の発音がブルってしまうことがあるため、悩んでいます。
緊張しすぎもあると思います。
バジルさんのプログや本を読んで、気持ちの持ち方や練習への取り組みを色々試してはいるのですが。
とにかく、どんな場合でも音を外すことが凄く怖くて、どんな練習をしたらいいのかも悩んでいます。
音源聴いて歌ったり、リードになる同じ音をスコア見て確認して、その音を確認して吹いたりしますが、、。
こんなところでの相談で申し訳ありませんが、宜しくお願いします。
【バジル】
レッスンでお会いしていたときの記憶を含めた直感ですが、
たぶん感じている恐怖感はメンタル的なものというより、楽器の音程とソルフェージュしている音程のちがいから、音が外れる現象が起きているからな気がします。
・チューニングを、ソルフェージュしている音程に合わせる
・ソルフェージュしている音程に近い替指で吹いてみる
ことをやっているうちに、初めの運指でもツボが分かってきて恐怖感が減ってくるのではないか、と思います。
【Kさん】
バジルさん、返信ありがとうございます。
ご指摘頂いて、今日意識して吹いてみて、そうなんだろうな、と感じました。
結局は頭の中の音程と体が一致していないということでしょうか。
楽器演奏のセンスみたいなものでしょうか。
チューニングをソルフェージュに合わせる、というのは、たとえばF♯なら、F♯でチューナーに合わせて、ということでしょうか?
替え指で吹ける音をできるだけ最初の運指以外で吹いて替え指で音程をつかめるソルフェージュ能力を上げて、音程のツボをつかめ、ということしょうか?
【バジル】
いえ、もっと単純な話で、
通常の運指のときの管のチューニングがソルフェージュしている音程とずれていて、反射的に身体が音程を補正しようとして隣の倍音に行ってしまい音が外れてしまうということがよくあるのです。
ソルフェージュしている音程によりマッチしている替指を見つければスムーズに発音できます。
そうすると、チューニングを修正する方向が分かります。
【Kさん】
もとのチューニングが自分のソルフェージュの音程と一致していないのですね。
明日でもまたやってみます。
【バジル】
そうです、楽器の設定の問題の可能性があり、その設定のマズさに恐怖という形で気付いている可能性があるのです。
– – – 数日後 – – –
【Kさん】
バジルさん
こんばんは。
先日ご相談した音を外す件です。
今日、練習していて、ふと、楽器を顔や唇にプレスさせる感覚が分かり、いつもより少し腕を使って楽器を唇に寄せるように吹くと外す確率がかなり少なくなりました。
バジルさんがどこかで書いているのをみたと思うのですが、頭を楽器に押し付けるのでなくて、楽器を頭?というか、顔?唇?に引き寄せるとよい。プレスはしていいというようなことだったと思うのですが。
また明日も時間作って確認したいと思ってますが、今日の感じでは、自分でも驚くほど音を外さなくなった気がしています。
プレスしなさすぎても音が外れる確率は高くなるのでしょうか?
また、バテることはないのでしょうか?
ブログでも少し見た気がしますが、またご教示お願いできれば助かります。
【バジル】
こんばんは。
そうですね。わたしは最近、プレスと言わずに密着と表現します。
密着が薄いと、息もれその他いろいろな機能不全が起きがちです。自分がいちばん吹きやすいような密着の角度、面、強さをそのときどきに応じてアジャストし、能動的に作り設定するものだと思います。
演奏技術なんですね。
密着させすぎによるバテは、実際はあまりないのではないかと思います。
密着させすぎは、無理矢理に高音を出さなきゃと焦ったり、日常的な練習量からしてアンバランスな量的負荷をかけた時に起こっていることが多く、つまりは密着させすぎが問題なのではなく、密着させすぎを引き起こすメンタリティが問題になっているからです。
そして、プレスしちゃいけないと思っです陥る密着度合の不足や密着状態の不正解さは、それをカバーする負担がアンブシュアに回ってそれがバテにつながるケースがとても多いと思います。
意図的意識的な密着は、プレスしている感じは敏感に感じやすくなる一方で、
無意識にカバーしてやる、頭からマウスピースに向かうようなプレスや胴体を窮屈にしながらのプレスは、プレスの感覚が少なくてもプレス量は良くない意味で過剰になりがちと思います。
【Kさん】
バジルさんこんばんは。
返信ありがとうございます。
そうですね、プレスより密着の方がイメージ良いですね。
今日、1時間ほど、マウスピースを唇に密着させることを意識してスケールとリップスラーをゆっくり目に、そのあと、音を外すのが怖かったソロなどを少し練習しました。
やはり一昨日迄とは違い、明らかに音を外す確率が減ったようです。
単にソロのメロディーとかだけでなく、スケールやリップスラーの時にも外したり、発音がブルったりすることも減ったような気がします。
一昨日までは普通の分散和音のリップスラーなどでも音が外れたり、変な音が出たりしていました。
自分では意識しているつもりはなかったのですが、プレスし過ぎないようにしていたのかもしれません。
密着させることで、唇の振動を自分で感じることが今日は出来た気がします。
音もまっすぐ出て、発音時と伸ばしてる途中で音程が変わることも少なくなったように思います。
いまのところ良いイメージを持てているので、この感覚を覚えるように少しでも練習を毎日しようと思います。
バジルさんに教えていただいた楽器のチューニングも確認したのも良かったんだと思います。
またしばらく続けてみて報告させて頂きます。
お忙しいのにご指導ありがとうございます。今後も宜しくお願いします!
こんばんは、10月にレッスンを受けさせていただきました松本です。
この記事を読んで変え指で演奏してみました。R.シュトラウス1番1楽章ですが、いつもハイB♭とハイE♭が思った音程より低いのが気になっていました。そこでハイB♭は2,3番、ハイE♭は解放で吹いてみると自分がイメージしていた音程に近い音程の音が出ました。
今まで変え指で音を出すのはダメなことだ、本当は正しい運指があるからそれ以外の運指で音を出すのは邪道だ!と思っていました。しかし実際にやりたいことは何なのかを考えると、そこまで正しい運指にこだわらなくてもよいし、むしろ自分がやりたいことに添っている為か、体全部が少し楽な感じすらしました。
とりあえず何日間か続けた後、元の運指に戻してみて変化があるか実験してみようと思います。失礼します。
松本さん
お返事遅くなってすみません。
>>今まで変え指で音を出すのはダメなことだ、本当は正しい運指があるからそれ以外の運指で音を出すのは邪道だ!
そう思っておられたのですね….!
実際には、すくなくともわたしが接してきた師匠達やオケのプレイヤーたちは、実にたくさん、替え指の工夫をされています。
しかも、その話をするときはとても楽しそうだったり、得意気だったりして。
こちらもワクワクしてきます。
数日経ちましたが、その後いかがでしょうか?
Basil
こんばんは、松本です。facebookでご紹介いただき大変恐縮しております(汗)
その後の経過ですが、まず体に少し余裕が生まれた感じがします。そして今日、元の運指に戻して吹いたところ、以前に比べてかなり音程が改善されたと言うか、音程の幅が広がったように聞こえます。他人に聞いてもらったわけではないので実際どのように聞こえているかは分かりませんが。。。
また変え指を使うことで音程の高い低いではなく、音の響き方によって他人に伝わる音のイメージ(音程も含む)も自分が思っているよりかなり違うように思いました。もしそうだとすれば表現の幅をもっと広げていけるのかなと思いました。
今後は色々な変え指を発見するのが楽しみになってきました。
ありがとうございます!
松本さん
>>>また変え指を使うことで音程の高い低いではなく、音の響き方によって他人に伝わる音のイメージ(音程も含む)も自分が思っているよりかなり違うように思いました。もしそうだとすれば表現の幅をもっと広げていけるのかなと思いました。
それはいい発見をされましたね!!
深く首肯します。
Basil