ラクになる勇気

私は学生時代、ドイツの音楽大学でホルンを専攻していました。

その1年目の夏に、強烈な腰痛と背筋痛を経験しました。

その症状そのものは、高校生のときにも短期間経験していましたが、今回はもっとひどく、長く続きました。

私の場合、痛みの原因と経過は以下のようなものでした

①練習をもっともっとやらなきゃ、時間が無い、身を削ってでも練習を頑張らねばという「焦り」

②「焦り」に伴い、身体に緊張が生じる

③その焦って緊張している状態で、疲れを圧して練習する

④焦って緊張しているのだから、練習がうまくいくわけでも成果が上がるわけでもない。そしてもっと焦り、もっと緊張し、もっと無理を重ねる

⑤身体の緊張がさらに強まる

⑥痛みが出る。

①〜⑤を繰り返すので、⑥の痛みが強化されて行く。
↓ 
⑦心身の疲れが溜まり、活力が殺がれ、軽度ではあるが抑鬱状態になることもあった。

このようにかなり明白に、私の場合は「精神的ストレス」が原因となっていました。

ひどい痛みだったのですが、練習をせずリラックスした気分になれた時は、不思議と痛みもほとんどなく、逆に練習のことが気になり出すと痛みもやってくる・・・。

それに気が付いた時、「考えている事」と「身体でやっている緊張パターン」 につながりがあるのが分かりました。

それまでも、アレクサンダーテクニークに関しては強く興味を持って書籍を読んでいましたが、この自分自身のパターンに気が付いた時、アレクサンダーテクニークの本に書かれてある事とぴったり一致していたので、レッスンを受けることにしました。

レッスンを受け始めて2回目には、もうそういうひどい痛みには悩まされなくなりました。

それは、「緊張しているときにやっている自分の身体の動き」 をレッスンで理解できて、その緊張が過度に積み重なってくる前に、原因となるような動きのクセに気が付いてやめられるようになったというのが大きいです。

さらに自分にとって重要だったのは、
「焦って量に頼った無理な練習をする」という思考・行動をやめる勇気を持つようになったことです。

実はレッスン後にホルンを吹くと、ものすごくラクで気持ちよかったのです。そして、それまで身体で苦しい作業をやってなんとかできるかできないかというような事も、レッスン後は苦しまずにできました。 

そうすると、極端な言い方ですが、私には

選択肢1:
「焦って苦しんで練習して、成果は少ない or マイナス」

選択肢2:
「焦るのは辛抱強く我慢して、ラクな状態のときだけラクに練習して、成果は大きい or 確実」

のどちらかの選択肢ができたわけです。

レッスンを経験してからは、後者を選択するようになりました。当たり前と言えば当たり前ですが、はじめはかなり勇気が必要でした。

レッスンを重ねると、どんどん後者の選択をすることが自然になってきます。

そして、その選択肢の中身も洗練されていきます。すると、いまでも「もっと良い新たな選択肢」が現れることがあります。その度に勇気が必要です、今でも。

私は腰痛・背筋痛をきっかけにアレクサンダーテクニークを学び始め、いまではパフォーマンスの向上の基盤になっています。                                
アレクサンダーテクニークと痛み・・・そこには学ぶひとそれぞれのストーリーがあります。
「痛み」をきっかけに、映画より面白いストーリーが生まれます。

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