吹奏楽部後輩の教え方

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中学校や高校生の吹奏楽部で、後輩にどうやって楽器のことや演奏のことを教えたらいいのかよく分からず困っている先輩たちがたくさんいます。





これを読んでいるあなたもそのひとりかもしれません。

そんなひとたちに、後輩を教えることがいままでより楽しく、うまくいくことにつながるかもしれないアイデアをいくつか提案します。

また、吹奏楽部や合唱部、オーケストラ部の指導に携わっておられる学校の先生方や外部指導者の方々にとっても、役立つ内容があるかもしれません。



【苦行の伝統を続けない】

まず、楽器演奏と同じく、指導も指導するひと自身がラクに指導をできていることが大切です。

その出発点として、後輩自身が楽器や演奏に興味を持って、自分から「もっとうまくなりたい!」とやる気になってくれれば、先輩の仕事はとてもラクになります

そこまでやる気になっているひとは、自分からいろいろ調べて、自分からいろいろ工夫をするので、実際どんどんうまくなっていきます。

そういうひとには、あまり口出しをしない方がいいこともあるくらいです。

なので、一番避けたいことは、「後輩のやる気を失わせる」ことです。相手にやる気を出させようとすることほど、指導する側にとって負担といいますか無理のあることはありません。

ですから、

① 後輩のやる気が刺激されるようなことをする
② 後輩のやる気が削がれるようなことを減らしていく


という二つの観点から進めていくことが、効率的で指導する側にとってもラクで、変に気負わなくても済むような有意義な指導と練習の時間を生み出すことにつながると思います。


先輩であるあなた自身は、吹奏楽部に入った当初、

・どんな練習が楽しかったですか?

まずはそれをリストアップしていきましょう。

つぎに、

・どんな練習がつまらなかったですか?
・どんな練習が苦しかったですか?


こちらも紙に書き出していきましょう。

書き出していった練習内容を眺めます。

−それをやったおかげで上達できたものはどれですか?
−あなたにとって本当に役立ったものはどれですか?
−それをやったおかげで自由に演奏できるようになったとはっきり分かるものはありますか?

これらを、後輩にも教えてあげたり、やってみるよう提案したり、一緒にやってあげたりしましょう


反対に、

−ずいぶん時間をかけている割には効果が感じられなかった練習は?
−ひどく大変だったのに演奏が良くなるどころか楽器が吹きづらくなってしまった練習は?
−ちっとも面白くなく、退屈で、効果もなかった練習は?

これらは、あなたが後輩を教える立場になったら、廃止しましょう。

いくら大切な部の伝統であったとしても、あなたが後輩を教えるときに、あなた自身が効果や意義を感じられなかった、つまらなくて苦しいだけの練習を教えてしまっては、後輩の為になる可能性はとても低いのです。

みんなでうまくなり、良い演奏をすることが部活の目標なら、そういった練習を続けることは目標に対して逆効果になってしまいます。


多くの部活で、意味が無いし役に立たないと分かっていても、「自分はこういうことに耐えてきたし、部の伝統だから」という理由で、練習ではなく「苦行」が代々後輩たちに受け継がれていってしまうことがあります。

これは、後輩のやる気を失わせ、上達にブレーキをかけ、部の実力を損ないます。

それならば、あなたが先輩になったときから、その伝統を変えませんか?

あなたが後輩に教えてあげるのは、あなた自身に役立ち、あなたにとって意味があったことから始めましょう。

そういったものの方が、後輩の上達を助けることにつながる可能性がよっぽど高くなります。

それを今日から始まる新しい良い伝統にしませんか?



【分からないことは分からないと言おう】

多くの吹奏楽部で見受ける光景があります。


後輩が音を間違えると、

先輩「音を間違えずに吹いて」


後輩の音程が低いと

先輩「正しい音程で吹いて」


後輩の指が回らないと

先輩「指が回るように練習して」


…… 後輩は内心こう思っています。

「そんな言われんでも分かっとるわ!どうしたらいいか教えてくれよ!」

….(笑)


では先輩はなんでこんな分かりきったことを言うのでしょうか?

後輩の音程が悪いとき、後輩がどうすれば音程がよくなるのか分からないからです。

だけど先輩の責任として、何か指導をしなければ、と思っている。

だから、「悪いところを良くしろ」という、何の役にも立たないし、むしろやる気が失せてしまうような言葉を後輩にいちいち浴びせかけてしまうのです。


先輩であるあなたは、どうしたらいいかが分からないとき、まず「分からない」とはっきり認めましょう。分からないとはっきり口に出しましょう。

そしてそれに続く一歩として、こんなふうに言ってみるのはどうでしょうか?

「よし、ぜひもう一回やってみよう!」

「わたしは何か困ったとき、こういうふうにしてみるんだけど、やってみる?」

「いまはあなたもわたしもどうしたらいいかわからないけれど、諦めずに練習を続けたらきっと良くなるから頑張ろうね!」

前向きに再チャレンジすること。
自分のやり方を共有すること。
いまうまくいっていないことは認めつつ、前向きな態度を選ぶこと。

そういう選択の方が、「ダメだから直せ」という言い方・やり方よりよっぽど上達につながるでしょう。



【身体や姿勢に関することを言うのは、要注意!】

わたしの意見ですが、吹奏楽部では姿勢や身体に関する指導が多過ぎになっていることがあります。

楽器を演奏するときに、身体がどうなっているかとか、身体をどうしたらいいのか、というのは実は非常に複雑な話であり、科学的にもまだよく分かっていないことがとても多いのです。

なのに、何かがうまくいかないとすぐ、

「姿勢を良くしろ」
「肩甲骨を引け」
「お腹に力を込めろ」

といったことを言ったり言われたりすることが多いですよね。


しかし、あなたは先輩や先生から言われた身体や姿勢のことが、本当に腑に落ちたでしょうか?そして、言われたことが本当に何か良い効果をもたらしているでしょうか?

残念ながら、あまり役立っていないことや、むしろ演奏がしづらくなることが多いでしょう。

楽器の教本に載っている姿勢や身体の話ですら、役に立たずむしろ演奏には邪魔になってしまう情報の方が多いですから、これまで教えてくれた先生や先輩を責めることはもちろんできません。

相手の役に立つであろう明確な理由や、奏法・身体の仕組みの理解、あるいはきっと役立つにちがいないという強い確信があるのなら身体に関する指導もOKですが、そうでもないなら身体のことを言うのをちょっとやめてみましょう。

そして、その代わりに、もっと音楽の話をしましょう

・曲のストーリー
・曲の雰囲気
・リズムの面白さ
・その音楽に気持ちが向かっていけるようなこと

後輩を指導するときは、後輩が音楽に興味を持ち、細かいことを気にして萎縮せずに思い切って音楽を演奏することにチャレンジできるようにしていきたいですね。

音楽のことをもっと教えてあげる・一緒に取り組んでいくということは、それを大いに助けてくれます。

・どんどん一緒に吹いてあげましょう。
・合奏でやらない曲でも、好きな曲であればそれを一緒に演奏しましょう。
・同じ楽器同士のアンサンブル曲をいろいろ一緒にさらっていきましょう。


最初は後輩がほとんど吹けなくても構いません。同じパートを、横で一緒に吹いてあげること。それはとってもシンプルですが、もっとも根本的で効果的て有意義な「指導」のあり方のひとつです。


Basil Kritzer


P.S.吹奏楽・アンサンブル・オーケストラのレッスン

・演奏会・コンクールを前にバンド・グループの伸びや方向性に行き詰まったとき
・本番に向けて自分たちがいままでできなかった質と次元の演奏を実現するために。
・バンド・グループの創造性・芸術性を一気に引き出すために。

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吹奏楽部後輩の教え方” への21件のコメント

  1. 私はオーボエ奏者です。私がパートリーダーを受け持っているFl.Obパートは私とFlの子一人の合計二人で構成されています。
    私は人に物事を教えるのが嫌いで、また上手ではありませんが、今回このようなサイトを見つける事が出来てとても幸いです。勉強になりました。
    今後の指導に役立てて行きます♪

  2. 私はクラリネットを担当しています。パートリーダー、といっても同じパートの後輩は一人しかおらず、少人数でやっています。ですが、その後輩はあまりにもいうことを聞かずすごく困っています。もちろん私の指導の仕方にも良くない点があるのだと思いますが、敬語やあいさつ、態度など基本的なことさえも聞いてくれず…すこし諦めの気持ちが出てきたのですが、このサイトを見つけて楽しく指導することなどを学びました!ありがとうございます。長文失礼いたしました。

  3. 今年初めて初心者の中1を指導します。
    ひたすらドレミを出す練習で長い道のりですが、
    もっと音楽のことを教えてあげてできるだけ面白い練習になるよう工夫しようと思いました!
    大変参考になりました!ありがとうございます

      • 返信ありがとうございます。
        中1の子もやっと低い音が当てられるようになってきました。^^
        初心者に高音の出し方を指導する時の注意点などはありますか?
        今はドレミファソくらいまで出てラシドあたりを練習中です。
        変な癖がつかないように教えなきゃ、と思うのですが、
        特に注意することなどはあるでしょうか?

  4. 後輩にどのように接すれば分からなく、たまに何も悪くないのにきれてしまったりとか合ったんですけど、やっと解決できました!
    教え方もゆっくりから。急いで教えるより、ゆっくり教えながら理解した方が身につきますもんね!
    本当にありがとうございます!

  5. ピンバック: これから先輩になる吹奏楽部の君に!後輩と上手に付き合う3つのポイント | GONLOG

  6. ピンバック: 吹奏楽部に入りたい!楽器初心者におすすめの楽器をご紹介! | わかるダロウ

  7. 今更ながらコメントしてすみません。
    吹奏楽部の中2です。
    2年は私1人なのですが、1年生は4人。
    先輩はあと1週間で引退なのに、私も教え方がわからないし、周りと差がつけられている子もいるのでどうしようかなぁ…と思っていた時、このサイトを見つけました。
    そういえば、確かに私も先輩に「音程がちょっと変」などと言われて、でも直し方がわからなくて…ということがあったなぁ、と。
    後輩と一緒に楽しくフルートを練習していきたいなと思います( ^ ^ ♪
    ありがとうございました。

    • コマさん

      メッセージありがとうございます(^^)
      役立ったことを知れて、ぼくも励みになります。

      Basil

  8. 今更コメントしてしまってすみません。
    私は高校2年生です。
    同じパートにもう1人2年生がいるのですが、私や後輩に対し「いる価値がない」「吹かないで」「何回同じこと言わせれば分かるの」という風に言われてしまい挙句の果てには無視をされたり、悪口を言われたり…とても部活をやめたいなと思っています。
    そこでこのブログを拝見させて頂いてとてもためになりました。
    このブログを教えてあげたいと思います。
    私も嫌な思いをしたくないし後輩にも嫌な思いをさせたくありません。
    少しでも変わればいいなと思っています。
    このようなブログを書いていただきありがとうございます!少し元気が出ました!

    • あるとさん

      大変ですね(>_<)

      あるとさんや後輩と、「もっと健全にマトモにやっていこう同盟」を結成しちゃえばいいんじゃないでしょうか。

      実は本当にかわいそうなのは、その2年生ですから、「かわいそうなひとだな」という視点で、
      放っておいてあげるのが一番かもしれません。

      そっから変わるかどうかは、本人の責任ですしね。

      Basil

  9. 今日和、中3のフルート吹きです。
    私も物事を他人に教えるのが苦手で、なかなか自信が持てず、伝えたい事や叱りたい事をなかなか1つ下の後輩に言えず、甘々とした練習になってしまい、パートの空気が私が上になってから変わってしまいました。今年ももう一人フルートが入って来たのですが、不安で仕方ありません。此処のサイトを参考に指導していきたいと思います。ありがとうございました!

  10. 高校2年生のクラリネット吹きです。
    私の学年のクラリネットは元々4人いたのですが、私以外が皆やめてしまい現在は1人です。ですが、後輩の学年は全体の人数も少なくないのでクラリネットが6人います。来年もおそらく4人以上の新入生がパートに入ってくると思います。
    パート練習もしているのですがなんとなく1対6に… ただ私の言うことに頷くか無反応です。
    今のところ私がトップをつとめていますが、上手い子もいて焦ります。また、後輩がどんなふうに思っているのか気にするとあまり何も言えなくなってしまいます。

    でもとにかく提案して見ることから始めようかと思います。ありがとうございます!

    • くらりるんさん

      はい、そうやって自分の不安を知っていること、そしてそれでも「とにかくやってみよう」と勇気をもってチャレンジしていること。
      それが後輩にとっては何よりも頼りになり、勉強になる先輩の姿勢です(^^)

      Basil

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