つくづく、音楽を演奏するなかでのあがり症や強い苦手意識という問題と向き合うにあたっては、複雑なパズルを読み解き、ほつれた糸を一本一本解きほぐすような作業を要することがあると身を以て実感している。
恐怖や面目、評価されることより大切なことにつながりながら演奏するというそこに至る道。
自分がなぜ、なんのために音楽をするのかという『動力源』の再発見または明確化する作業。
その動力源につながることを阻む、深く沈澱して当たり前になってしまい認識しにくい『思考の毒』を毒抜きし、血清を作る作業。
それがあがり症や苦手意識を乗り越える地道な両輪だろうな。
飾らない自分。勝とうとしていない自分。負けることを気にしていない自分。ありのままの自分。
その姿をチラチラと繰り返し目にしつつ、そんな自分の居心地のよさと支えの強さを感じること。
あがり症や苦手意識のほつれた糸がひとつひとつほぐれる度にその自分を徐々に再発見していく。