きょうはストラップを使うことについて、です。
サックスやファゴット、オーボエなどストラップを使う管楽器の方々とレッスンしているなかでわかってきたことがあります。
【ストラップの役割】
重量のある楽器を腕だけで支えると、腕が重いものを持つモードになって指が固定・安定モードになります。
それはフィンガリングにあまり向かない状態です。
そこで、楽器の重さを一部胴体に預けることで、指が速く動かせる通常モードの腕の状態を保つ。それがストラップのやってくれることです。
胴体に重さを預けることの良さは誰でも、リュックサックと手さげカバンのちがいで実感していますね。
手で持つとあんなに重いものが、背中に背負うと全然平気に!これが胴体、軸の力に頼る良さです。
【重さを忘れることの弊害】
しかし皮肉にも、重量を忘れるくらい胴体・軸が頼れる存在であるがゆえに問題が起きることがあります。
それは、数ヶ月ストラップを使って演奏しているうちに、胴体・軸に重さがかかっていることを忘れ、胴体・軸が楽器の重さによって引っ張り下げられ、曲がってきてしまっているのに気づかないことです。
それなりの重さが胴体・軸にかかっていますから、相応に能動的にエネルギーを使って対応しないと、胴体・軸はバランスを失います。
リュックサックを背負って重さを忘れていても、階段を登ると急にゼエゼエして重さを実感することがありますよね。
ストラップも同じで、胴体・軸の力のおかげで楽器の重さをラクに感じられますが、重さが胴体・軸にかかっており、胴体・軸が自らエネルギーを使って対応しないと、全体のバランスが崩れ、肩凝りや腰痛、フィンガリングの不調や窮屈な吹奏感につながっていることがあります。
【重さに対応する技術】
大切なのは、楽器の重さに、胴体・軸においてアクティブに対応するということです。それができれば、楽器がすごく軽く感じられ、フィンガリングがスムーズで、自由に吹奏できる感じがします。
二つの遊びを組み合わせて、ストラップを通じて胴体・軸で支えている楽器の重量と、アクティブにバランスすることを思い出すことができます。
まず、友達に頭を真上から押してもらいましょう。押してもらう前に、『このままでい続けよう』と念じます。すると、真上から押される力に押し返すかのように、首から腰やお腹まで、軸のところで力が働くのを感じます。その状態で楽器を構え吹いてみます。どんな変化があるでしょう?
つぎに、ストラップから楽器を外した状態で『これから胴体に重さがかかるけど、自分のこのバランスを保ち続けよう』とよく念じながら、その意識を失わないことを最優先にしながらゆっくり楽器を付け、構え、吹きます。どんな変化があるでしょう?
この遊びを、楽団のパート単位や吹奏楽部単位で試してみてください。一見バラバラな多方面の問題がいっぺんによくなることもあります。みんなが持ってる真の力が出てくるかもしれません!