つい先日、レッスンに初めていらっしゃたホルン演奏愛好家の方。
inF表記の第三間ド(実音F)から上から変に音がかすれがちな傾向が。
変、というのはキレイに出るときもあって、どういう文脈でその差が出るのかイマイチ分からない。
ひとまず、いつものように調査・テストした。
◇◇◇
【アンブシュアモーション】
・音の上行でのマウスピースの上下位置の移動
・音の上行でのマウスピースの左右位置の移動
・音の下降時はそれぞれの反対方向
【息の吸い方】
・体全体をフグのように膨らませて吸い、保つ(=基本呼吸)
・体の上の方に息を入れて上の方で支える(=胸式呼吸)
・1番下の肋骨のあたりに息を入れて体を横向きに拡げて支える(=下部肋骨呼吸)
・体の下の方に息を入れて下の方で支える(=腹式呼吸)
【息の吐き方】
・シラブル主導
・息圧主導
・息の流れ主導
◇◇◇
3つの側面いずれも、すごくハッキリとはしないところが興味深かった。
どれが効果的かが音域の途中までだけしかハッキリしなかったり、音が当たりやすいやり方と本人がしっくりくる感じがちがったり、客観的に音質が良いやり方がとても不慣れに本人は感じたり。
何か、特殊というか不思議だなあ、と思って、なんだろう?と観察していると、楽器の構えの脇の開きに違和感を感じた。脇が開くのが間違いなのではないが、それに伴い何か力む感じがある。
楽器を構えたまま三角筋の力を抜いてもらうと、楽器を構えたまま肘が降りて脇が閉じた。
その状態はもうその時点でけっこう全体的に力が抜けていた。そして吹いてもらうと、かすれる回数が減る感じがあった。
おそらく、脇の開きに見た違和感は、楽器を口元からの遠ざけるような体勢・力のかかり方があったことに伴うのでは?ということが見えてきた。
そこで『マウスピースの硬さを感じられるくらい、しっかりマウスピースを歯にグッグッとくっつける』ことを構えの過程でしてみてもらってから吹いてもらうと・・・
なんと、ハイEがめちゃクリアな立ち上がりと充実した音色で鳴らせるようになった!
「はじめて出ました!」
とのことだったが、はじめてなのに完璧だった。
ということは、そのレベルまでもう習熟は進んでいたのだ。
マウスピースが口元から離れてしまう力のかかり方、のせいでその発揮が阻害されていたというのが正しいと思う。
ほんとに驚いた😳
そして、このハイEが鳴らせる吹き方だと、アンブシュアモーション、息の吸い方、息の吐き方のいずれもが、元々やっていた感じそのままで、機能して
本人もしっくり感じられたようだ。というか、考える必要もあまりないくらいだった。
マウスピースが口元から離れる力がかかりすぎているという条件だと、それらとは異なるやり方のほうが機能的だった。
テストしたり比較したりして、どれが機能的かしっくりくるか、という結果はそのときの条件状況に応じたものであるということ。条件状況が変われば結果は変わるということ。
その可能性はもちろん考えていたが、その極端なほどに顕著なケースだった。面白かった!
Basil Kritzer