これから数ヶ月、演奏や練習において、自己肯定的に取り組んでいく方法を考えていきたいと思いますが、それにあたり自己肯定的な練習方法をわざわざ考えねばならないような状況にさせている、習慣的な「自己否定方式」について見ていきます。
【有害な自己否定とは】
わたしが問題視し、それに代わる選択肢を得たいと思っているのは、「有害な自己否定」です。
どうして「有害な」という形容詞をつけているかというと、文章として自己否定的な文章でも、それがその文章を使っている(思考している/採用している)本人にとって、必ずマイナスになっているかというと、もちろんそんなことはないからです。
単なる文体や言葉としての「自己否定」を取り扱うのであれば、それに代わるものははこじつけたような「ポジティブシンキング」だけになってしまいます。自己否定や自己肯定について考えようとしても抵抗を感じるひとは多くの場合、とってつけたようなポジティブシンキングをさせられるのではないかと危惧しています。
わたしが考えていこうとしているのはもちろん、そのようなことではありません。
目的は、
・やりたいことをもっとやれるようになる
・楽器がうまくなることを実際に助けてくれる
・音楽に本来あるはずの喜びや幸福を再び感じられるようになる
そんな選択肢を模索することにあります。
たとえば、
「こんなんじゃダメだ!もっと頑張らなきゃ!」
「こんな自分はもう嫌だ。もっと自分に厳しくやっていくぞ」
という決意を持ったとします。
このとき、その決意は文字面としては「自己否定的」です。しかし、それを思っている本人がこの決意をしたときに
・やる気を感じて
・やりたいこと( or やらねばならないと思っていること)をやり遂げる力が強まって
・楽器がうまくなって
・音楽をする喜びがもっと高まる
のであれば、この自己否定は有害ではありません。
しかし、全く同じ「言葉」を使って考えていたとしてもひとによっては
・大きな不安を感じる
・身体が硬くなる
・練習することが辛くなる
・演奏することが怖くなる
・心身が疲れてくる、不調になる
・音楽をすることが苦痛になってくる
ことがあります。
その場合の「自己否定」は全く以て有害であり大きな問題になります。
そういう意味では前者は実質的には自己肯定であり、後者は自己否定であると、わたしは定義付けます。
わたしが「自己否定」として扱うものは全て、その結果を以て「自己否定」としています。文字面や言葉尻の問題ではなく、
そのとき自分が実質的に何を考えていて、その結果どうなっているか
が重要なのです。
【これを読むべき、読まないべき?】
おそらくこの記事のタイトルを見た時点で、
「これは何か救いになるかもしれない!読みたい!」と感じたひとと、「….. うーんなんだかなあ…..」と抵抗あるいはうさんくささのようなものを感じたひとがいるかと思います。
もしあなたが、後者に当たるとすれば、おそらくあなたは上記の定義で言えば「自己否定方式」を使っていません。したがって、この記事やこれから数ヶ月このテーマで書く記事群を読む必要はないと思います。
ひとつだけ、読むといいかもしれない理由があるとすれば、あなたが指導をしている場合です。
それはなぜかと言うと、あなた自身は自己否定的な「言葉」を使って実質的に自己肯定をしておりそれにより成長し前進していたとしても、その言葉をあなたの生徒さんに対して使った場合、生徒さんはその言葉を使って自己否定をしてしまうかもしれないからです。あるいはすでにそういうことが起きているかもしれません。
したがって、指導をするうえで役に立つかもしれないという気がすれば、ぜひ読んでください。ただし、きっとあなた自身とはかなり感覚や思考パターンが異なるひとたちに向けて書いていますので、理解に苦しむことがあるかもしれません。その場合は、あくまで結果(=前進できているか、ハッピーになれているか etc)が重要であることを思い出して頂ければ幸いです。
ある種の(そして想像以上に多くの)ひとたちにとっては、あなたにとっては理解しづらいことや受け入れがたい考え方が、成長や前進のために早急に必要とされているのです。
あなたが、前者のタイプであれば、ぜひこれから数ヶ月にわたりで書いていく内容を「使って」みてください。
自己否定をやめる、自己肯定をする、そんなこととてもじゃないけれどできそうにない、と感じることはしばしばでしょう。
しかし、気持ちがついてこなくても、とてもできるとは思えなくても、「やってみる」と意外なほどに何か変化や成果があることでしょう。
提案されていることを「やってみる」「使ってみる」というアクションは、、普段何も意識する事なく使っている「自己否定的自分モード」を少しだけ保留して隙間を作り、「少しだけ自己肯定的な自分モード」でやってみることになるからです。
楽器の練習と同じです。少しづつ「やってみる」のです。それが段々と、できることを増やしていきます。
わたしが提案していくのは
「少しだけ自己肯定的な自分モード」で楽器を演奏・練習するための練習方法
なのです。
【次回予告:わたしの自己否定体験】
次回の記事では、わたし自身がどのように自己否定方式を使い始め、その結果いかに自らの演奏能力にブレーキをかけ、演奏者としての自分を傷付け、いまでも回復の途上にあるか。その体験と歴史を振り返ります。