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高校生ホルン吹きから、音色・基礎練習・右手の入れ方についての相談を頂きました。
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【質問者】
最近からバジルクリッツァーさんのブログやメルマガを拝見させて頂いております!ためになることが多くて助かってます、ありがとうございます。
本題なのですが、私は今高校生で吹奏楽部でホルンを吹いてます。ホルンは中学からやっていて、今年で4年、5年になります。だんだんホルンにも慣れてきたところで、気になる点がいくつか出てきてしまいました。
わたしのホルンのパートは3人なのですが、その中の1人がものすごく上手いんです。音程もいつもピッタリだし、音色もすごくなめらかでキレイなんです。
私は高校に入って吹奏楽を続けて、そうしてもっと吹奏楽が好きになった感じで、中学の時は少し怠けていて基礎練習もめちゃめちゃ頑張ってはいませんでした。そのツケが回ってきたのかもしませんが、その子との差がかなり明確で私も最近上手くなろうと頑張ってはいるのですがなかなか自分がキレイと思うような音色に近づけず、悲しくなってきます。(その子は中学の時基礎練頑張っていたそうです)
そんな時にインターネットなどで調べてみた時に、音色には右手がかなり関係していると書いてありました。右手のことは気にはしていましたがそこまで関わっていないだろうと考えるのを怠っていました。
最近コロナで部活が出来なくて、この機会に絶対上手くなってやろうと思って手のことを特に考えているのですが、なかなか思うようにいかず、、
そんな時にバジルさんのブログを読ませていただきました。右手をまっすぐに…や、シュミット式…など色々あったのですが、いまいちよく分からず、、右手だけで解決できる問題ではないと思うので基礎練とかも頑張ろうと思うのですが、右手でも大きく音色とかにも関わることは分かっているので、そこを1番に教えて頂きたく相談させて頂きました。
私が目指したい音は密度のあるスカスカじゃない音で、張り裂けている音というよりは滑らかな音です。
また、関係あるかは分かりませんが、フルダブルのB♭管をいつも使っています。マウスピースはティルツのS8(Uカップ)です。楽器はヤマハになります。
また、基礎練も内容が今の自分に正しいのか少し不安があります。F管で倍音の練習、F管でリップトリルの練習、B♭管でタンギング、アーバンの金管教則本をやっています。
少しで良いので、基礎練についても少し触れていただけるとありがたいです。
絶対にまた部活が再開する時に少しだけでも上手くなって戻りたいんです…!
長々とした内容で申し訳ありません…よろしくお願いいたします!!
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【バジル】
こんにちは。
音の密度、張り裂けているかどうかということと右手は、それほど関係はないかもしれません。
あなたの右手がいまどういう状態なのかが動画などで音と一緒に見れたら、もし右手で損しているところがあれば指摘できますが、
一般論としては右手は音をこもらせたり詰まらせたりしすぎの状態になっている人のほうが、その反対よりは多いと思います。
学校か、自治体の図書館に行けば、わたしの書いた図鑑本で
という本があるかもしれません。3冊セットで、そのなかのパート別アドバイス編のホルンのページに図と写真入りでシュミット式が解説してあります。
また、シュミット式のシュミットさん御本人の解説動画がこちらです。
基礎練習については、その内容で変なところやバランスが悪いところはないと思います。
わたしも高校生のとき、どんな基礎練習をしたらいいか、と考えました。
よく考えると、「これさえやれば上手くなる」みたいなものがあるはずないと思いました。
また、自分の場合はそのとき、「基礎能力=出したいひとつの音を、いつでも出すことができること」と考えることに辿りつきました。伸ばす、つなげるなどはその延長とか応用に過ぎないからです。
だから、発音の練習を最重要視するようになりました。
いまでは、もちろんまたちがう考え方をしていますが、当時は自分でよく考えた内容でやったほうが、他の人がやってることを真似するより手応えがありました。
さて、ではあなたが考える基礎練習とはどのようなものでしょう?
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【質問者】
返信ありがとうございます。
私が最近考えるに私にとって基礎練習とは上手くなるための唯一の糧かな…と思います。
私はココ最近まで全然タンギングが出来てなくて、友達にも支えてもらいながらタンギング練習をし始めたらまだまだですが前より全然できるようになりました。やっぱり基礎練習は積んでこそ意味があるんだな〜って思い始めてます。
私もどんな基礎練習がいいんだろう…と思い、有名なホルン奏者の方の書いた本に書いてあった基礎練習をする、ということに今は納まっていて、前よりも少し上手くはなってきたのかなって思っています。
でもやっぱりこれで合ってるのかな…っていう気持ちはずっとあり悩み続けています…
右手の動画撮ってみました!
見えづらかったりしたらすみません…
この動画だと親指を人差し指の第2関節辺りに添えて三角形を作ってそこで楽器を支えている…という感じです。
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【バジル】
なるほど、できないことの技術的な要素を抜き出してその技術を練習してできるようにすること、それを基礎練習と定義しておられるわけですね。
では、基礎練習のやり方が『合っている・合っていない』の判断基準は何だと考えておられますか?
右手、よくわかりました。
この右手で音がこもる、詰まるはあまり心配ないと思います。
ただ、これだとたぶん持ちにくいですね。右手をわりと伸ばして、もしくはもう少し平たい形にして、右手の親指人差し指側と小指側の両方が楽器に当たるようにできますか?たて向きでも横向きでもななめでも構いません。
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【質問者】
基礎練が合ってるか合ってないか、それは練習して効果が出てくるか出てこないかで判断してます。もし基礎練習をずっとやっていて、周りの人から「音変わったね」とか、「上手くなったね」とか言ってもらえたらそれはこの基礎練が良かったんだ!って思えます。
まぁ、なかなかそういかないのが現実なのですが、、私自身結構早くに成果を求めてしまうタイプの人間で、初めてやってみる基礎練でも1週間ぐらいやってもなかなか上手くいかない時は別のに変えてしまうっていうのが正直なところで…(ほんとに恥ずかしいです)
そういうところも治していかなきゃなって思っているので根気よくやっていこう!って思ってます!
右手、教えていただいたようにやってみました!分かりづらいかもしれませんが…
吹いてた感じ、あまり塞いでるつもりはなかったのですが楽器を支えようと思ってたからか写真見てみると結構塞ぎめになってしまってるような気がするのですがどうなのでしょうか…?
見づらいかもしれませんが、人差し指と小指はベルの外側に付けてます!
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【バジル】
基礎練習についての考え方、よく分かりました。
人から言われたことと、少なくとも同じくらいには自分で感じることも大事なのですが、自分で効果があると感じることはありますか?
また、一週間効果がなければやりたくなくなるのは、おかしいことではないと思います。
一週間効果がなければ、ほかのことを試すことには大事なメリットもあって、新しいことを見つけられることです。新しいことをそうやってよく試していると、知識や発想が増えるし、のちのちお互いが結びつくこともあるでしょう。
焦りはもちろんよくないですが、ぼーっと同じこと続けるのもよくないわけです。
効果があることand/or楽しい・面白い・興味を感じることが続けやすいことですよね。
構え方について。
手の入れ方変えて
→音は変わりましたか?
→吹き心地は変わりましたか?
→構え方は変わりましたか?
→良い変化はありますか?
→悪い変化はありますか?
良い変化ばかりなら、下記の『さらに試せること』は無視して下さい。
写真を見た感じだと、右腕はけっこう体に近く脇は閉じていて肘は後ろに行ってますかね?もしそうなら、
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試せること
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その1
【ホルン座奏の構え方・便利ガイド】
①自分我立ち上がりやすいように座る。脚は閉じ気味でないほうが大抵立ち上がりやすい。
②楽器を太ももの前のほうに置く。膝のほう。
③両腕を対称的に使って垂直に楽器を持ち上げる
④ちょっと左にあるマウスピースに顔を持っていく(ちょっと左を向く)
その2
その3
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【質問者】
自分で基礎練とかしていて上手くいってるのかよく分からない時が多いです。音が昨日とか前よりも自分の理想とする音に近づいてたらなんか今日調子いい!みたいには思えるのです。
が、、なかなか変化に気づけてないだけですかね…?
手の入れ方
最後の動画を見させていただいてその入れ方をしてみたら音がスッてでるようになった気がします!
ただ、たまにビーンみたいな音がするのはアンブシュアか息の入れ方が悪いのでしょうか…?
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【バジル】
つまり、音が良くなったときはそうだと分かるということですね?
ここまでのやりとりから推測すると、
○音が良い音がどうかだけに関心がある
か
○やっている基礎練習の内容が音を良くするためだけのものになっている
可能性があるかもしれません。
ビーンというのは、口元から聴こえるのですか?それともベルから聴こえるのですか?
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【質問者】
なるほど!!
全て音のためだけの基礎練習になってしまっていたんですね。よく分かりました。
こうやって考えてみると基礎練習を通して技術を向上していくのと同時に音も良くなっていくのかなと思うので音だけにこだわらず技術向上にも目をちゃんと向けたいと思います。
ビーンの音はベルからしています。
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【バジル】
たしかに、管楽器は、「良い音」と「吹きやすい、コントロールしやすい、うまくいきやすい」は繋がりが強いです。
しかも「良い音」を探る、見つける、出せるようにしていくことが、うまく吹けるようになっていくことにつながり、その逆の、うまく吹けるようにしようとして良い音につながることの方が少ないと思います。
ですから、良い音の追及は基本的に賛成です。
もしかしたら、良い音に近付いたときに、他の要素も良くなっているかどうかを確認してみるといいかもしれません。
それが抜けているのかも。
そこを確認したら、音と技術をひとつのものとして取り組んでいけますよね。
ビーというのがベルからしているのであれば、それが手の入れ方の変化からきているのであれば、元々そういう音が鳴っているのであって、前はそれがこもって鳴らなかっただけの可能性はありますね。
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【質問者】
なるほどです💡
これからはちゃんと理想とする音色を求めつつもっと上手に吹けるようにたくさん練習していきます!
音色ばかり気にしていたということを見つけていただいて、本当に納得しました。今までモヤモヤしていたことが晴れた気がして今日はぐっすり眠れそうです(笑)
本当にありがとうございます。
ビーンの音の改善の余地はたくさんありそうですね!音色を追うことと並行して直していきたいなって思います。
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【バジル】
ビーン、は楽器がちゃんと鳴ってる正しいのものかもしれないし、どこかのハンダが緩んでいるのかもしれないし、優しいプロの奏者か音大生、または優しくて経験や知識が豊富なアマチュアの大人のホルン吹きの方にチェックしてもらうといいと思います。
この度は有難うございました。
また質問があったら、いつでもどうぞ。
Basil