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演奏をするひとにとって、「心」という観点で最も大切だと思っているあることの「練習方法」をお伝えしたいと思います。
それは
「褒めてもらうこと」
です。
わたしたちが一番怖れていることは何でしょうか?
失敗する事?
怒られる事?
迷惑をかける事?
いいえ、
褒められることを恐れている
のです。
わたしたちが、音を奏でることを通じて、自分自身の輝きの片鱗を世界に見せたとき、わたしたちは世界から「感謝」をされます。
その「感謝」は、「褒める」という形でわたしたちに伝えられます。
それに触れたとき、わたしたちは、自分自身という存在が「感謝」されるものであることに驚いてしまうようです。
驚きのあまり怖くなってしまい、わたしたちは「褒める」という形で「感謝」を受けたとき、ついつい「いえいえ、そんなことはありません」と、その感謝を自分自身の魂の内部へと沁みわたらせることを妨害してしまうのです。
しかし、音楽の演奏という行為は、「自分自身の魂を露にする」ものです。それを行うことには、甚大なエネルギーを要します。
そのエネルギーはどうやって補給されるのか?
それは聴いてくれていたひとたちが拍手や褒め言葉を通して与えてくれる、「感謝」なのです。
ですから、この「感謝」を全身で骨の髄まで受け取る事をしないと、やがてわたしたちは演奏をすることに疲れてきてしまいます。そして疲れが次第に恐怖や嫌悪に変わっていってしまうのです。
「感謝」を受け取ることこそが、あなたを前へと進めてくれるのです。
受け取る事を拒むことに慣れたり、受け取ることを忘れてしまっているならば、受け取る練習が必要です。
こんど、演奏をしたあとに拍手や褒め言葉を頂いたら、それを全て受け取りきることを目標にしてください。
受け取ることを長らくし損ねているとすればきっと、拍手や褒め言葉を頂いたときに
「でも演奏の出来はダメだった」
「きっとこれは義理で言っているにちがいない」
「ほんとうはダメなんだけれど哀れまれているだけなんじゃないか」
「ここで舞い上がって調子に乗ってしまってはダメだ」
etc…
そういう声があなたの心の中でブツブツ呟いていることに気付くでしょう。
それに気付いたら
① 頭と首と呼吸をちょっとラクにしてあげて
② そうすることで身体全体を動けるようにしてあげて
③ 「この拍手/褒め言葉を、全身全霊受け取ろう」と思ってください。
あなたは、どんなときでも必ず、「感謝」を受け取る資格と価値がある存在なのです。
Basil Kritzer
誉め言葉を受取る。とても大事なことを書いて下さってありがとうございます。
Kaori さん
(^^)/
バジル先生こんばんは。
以前思考の毒抜きのお手伝いをしていただきました、丸本正夫です。今日嬉しい発見があったので報告させていただきたく、コメントする次第です。
というのも、自分はホルンを始めた1か月後ぐらいから「いい音を出さなければいけない」「いい音でなければ価値はない」という思考にとらわれていることに今日気づいたのです。そしてその思考が胸を内側へ締めるような動きをさせることにも気づきました。
そこできちんと思考の毒抜きのプロセスを踏んだわけではないのですが「いい音でなくてもよい」と意識的に思うようにして吹いてみました。すると体が楽になり、悩んでいたスラーのなめらかさが足りないことが改善されました。
また、「いい音でなくてもよい」と思うことで、さらに「自分は自分に許されている」と考えると楽さが体全体にしみ込んでいくような感覚がありました。
この「許す」が自分のキーワードになるような気がしています。
なにか、アレクサンダーテクニークとのかかわりの中で一皮むけたような感覚があり、この発見を先生に報告しないではいられなかったためコメントさせていただきました。
それでは失礼いたします。
丸本さん
深いコメントをお伝え頂き、心より感謝を申し上げます。
思考と、そしてその思考が身体にもたらしている影響を、はっきりと認識されたのですね。
記念碑的なことです。すばらしいです。
そしてそのあと、ご自身で分析し、「代わりのアイデア」を作り、それを実行してみて、
結果、ズバリよくなった。
祝福に値します。おめでとうございます。
先生、返信ありがとうございます。
そのようなコメントを頂けるとは・・・!
思わず小躍りしてしまいました。
本当にうれしいです。
先生のコメントをプリントアウトして額縁に入れ、飾りたいくらいです(笑)
自分はこのブログの中でたびたびお見かけする「マウスピースを自分の唇にしっかり持ってくる」というアイデアにとても惹かれ実践してきたのですがどうもうまくいきませんでした。
ですが、「いい音じゃなくてもいい」というアイデアと組み合わせて「いい音じゃなくてもいい、どうなっても自分が許すからマウスピースをしっかり自分の唇に持ってきて吹いてみよう」と考えて吹くとスケールで今まで出せなかった音が出せるようになりました。
「いい音でなければならない」という考えがマウスピースを持ってくることを禁止していたのかもしれません。
それと、今日ふと「ホルンの演奏能力等を超えたところで自分という存在には本質的に価値がある」というアイデアがよぎり、そう思いながら吹いてみました。
すると中低音で今まで出せなかった響きを出すことができました。
明日もこのアイデアをもっと使ってみたいなと思います。
重ねてご報告でした。
丸本さん
これもまた非常に高度で意義深い観察と実験です。
前のコメントと合わせて、匿名でも構いませんのでブログで紹介させて頂くことはできますでしょうか?
大変有益な内容だと思うのです。
コメント紹介していただいて構いません。
先生にそのように言っていただけること、とっても光栄です。
本当にありがとうございます。
丸本様
ありがとうございます。