【繰り返し指摘されることこそ深いこと】


レッスンしていて、『ああなってるね、こうしてみるとどうなるでしょう』という指摘と提案が、過去のレッスンで既出のものだったときに、受講者によっては「そうならないように気をつけなきゃ」という反応になることがある。「二度とそうならないようにしなきゃ」ぐらい重く受け止めることも。

でも、指摘と提案は『向上の可能性』を見出すものだからそもそも避けるべきことやってはならないことという文脈で行っていない。そして既出のことがやた浮上するならば尚更、そのことはただ気をつけるだけでは制御されないような深さや重要性があることを意味する。少なくとも、その可能性がある。

となると、その事柄は実はまだケアや対応されていないことだったり、仕組みが未解明な謎、解き明かしたい課題として存在していると捉えるのが望ましい。過去の指摘と提案だけでは解決しなかったわけだから、もっと解像度の高い観察と効果的な提案をしたいのだ!

例えば金管アンブシュアモーションの上方向への移動の不足による音の潰れ。実際にあった事例だが、最初は『意識して多めに上に動かす』案で効果的だったのが、しばらくするとまた不足気味に。直接の原因は、肩が下に引き下げられて腕が持ち上がりにくくなっていることにあった。

多めに動かす案は、動きの不足を対症療法的には効果的に解決したが、動きにくさは解決していなかった。だから、動かすように意識しなきゃ汗マークというのはこの場合解決にならないのだ。更に、その肩の押し下げにも原因があった。背中を反っていたのだ。

『構えるときに、少し背骨をまげる』

これをやってみると、急に音が柔らかく明るく響き始め、アンブシュアモーションもスルスルとできるようになった。

しかも、この意識を辿り直すと繰り返し同じ効果が得られた。

そうなると受講者の方はこの方法が俄然気に入ったようで、

意識しなきゃ💦
ではなく
毎回意識したい!!

に変わった。

こうなれば、指摘と提案はもう本人のモノになったと言える。

そして、そもそもの背骨の反りの原因も実は未解明であるから、このテーマの探求は終わっていないのだ!

一筋縄でいかない問題や癖は、他人に対しても自分に対しても叱ってもあまり意味がない。

深く、興味深い探求の入口であり論理、知識、観察、実験、直感を駆使して解き明かしていく豊かなテーマなのだ。

Basil Kritzer

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